Celles-sur-Ource / セル=シュル=ウルス

セル=シュル=ウルスは、全シャンパーニュ産地のなかでピノ・ブランの栽培比率が最も高い村として知られる、コート・デ・バール南部の異色の産地です。格付けはオートル・クリュ(85%)、主役はピノ・ノワールながら、希少品種ピノ・ブラン100%のシャンパンを複数の生産者が手がけるという、他の村ではまず出会えない個性を持ちます。ローズ・ド・ジャンヌのような世界的に注目される小規模グロワーも生まれたこの村のシャンパンは、一度飲むと「次もこの村を探したい」と思わせる力があります。

基本情報

地域圏(Région)Grand Est
県(Département)Aube
区(Arrondissement)Troyes
郵便番号 : 10110
面積 : 9.59 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Neuville-sur-Seine, Buxeuil, Polisy, Bar-sur-Seine, Polisot, Landreville, Merrey-sur-Arce, Ville-sur-Arce,

「Celles-sur-Ource」のぶどう畑

テロワールCôte des Bar
- Barséquanais
格付け85% Autre Cru [?]
栽培面積309.1 ha
- Chardonnay33.7 ha (10.9%)
- Pinot Noir250.8 ha (81.1%)
- Pinot Meunier5.6 ha (1.8%)
- その他19 ha (6.1%)

特徴

栽培面積の約81%をピノ・ノワールが占め、骨格のしっかりした赤系果実の風味が軸になります。しかしこの村の最大の個性はピノ・ブランにあります。メロンやトロピカルフルーツを思わせる純粋なフルーティさが特徴で、シャルドネのような強い花香や鋭い鉱物感はなく、もっとなめらかで親しみやすいテクスチャーを持ちます。品種100%のバリエタル・ピノ・ブランは他の産地ではほぼ出会えない珍しいスタイルで、ピエール・ジェルベの「L'Originale」やPaul Dangin & Filsの「Cuvée St Cyr」などが代表例です。 一方、ローズ・ド・ジャンヌのセドリック・ブーシャールは単一畑・単一ヴィンテージの手法でピノ・ノワールの緊張感ある酸とミネラルを前面に出したスタイルを貫いており、同じ村から全く異なる表情のシャンパンが生まれる懐の深さもこの村の魅力です。果実のやわらかさを求めるシャンパン初心者にも、テロワールの純粋表現を追うマニアにも、それぞれの入口があります。

テロワール

セル=シュル=ウルスはバルセカネエリアのウルス川沿いに位置し、その土壌はランスやエペルネ周辺のチョーク(白亜)主体の地層とは根本的に異なります。シャブリに類似したキメリジアン紀の石灰岩と粘土の混合土壌が広がり、この組成が保水性と排水性をほどよく両立させます。ブドウ畑はウルス川の右岸(北側)と左岸(南側)の両岸に展開し、南向き斜面が多いことでピノ・ノワールの完熟を後押しします。 気候はケッペン分類Cfb(温帯夏冷涼型)で、年平均気温は11.4℃、年間降水量は約747mmです。コート・デ・バールの南端に近い立地から、同じオーブ県でも北寄りのバル=シュル=セーヌ周辺と比べてやや大陸寄りの気候となり、冬は1.5℃前後まで冷え込み秋冬には霧が頻発します。この冬の冷涼さが酸を保ちながら夏の南向き斜面の照射でしっかりと糖度を稼ぐという、バランスのとれた熟度管理を可能にしています。 特筆すべきリュー・ディとして、北〜北西向きのBeauregard、シャルドネとピノ・ブランの混植が続くLe Champ du Clos、1904年植樹のピノ・ブラン古木が残るLes Proiesなどが挙げられます。モンターニュ・ド・ランスのチョーク土壌が生む鋭い鉱物感とは対照的に、石灰岩+粘土系のここの土壌は果実のふくよかさを引き出し、それがセル=シュル=ウルスのシャンパンに独特のやわらかい丸みを与えています。

詳細

セル=シュル=ウルスはコート・デ・バール南部、バルセカネ(Barséquanais)エリアのウルス川(Ource)沿いに位置するコミューンです。行政上はオーブ(Aube)県トロワ郡に属し、郵便番号は10110。コミューン面積9.59 km²、人口は約490人(2023年)と小規模な農村です。村はウルス川の左岸(南側)に立地し、川はすぐ下流でセーヌ川と合流します。北東にヴィル=シュル=アルス、東にランドゥルヴィル、南東にヌービル=シュル=セーヌ、南にビュクセイユ、南西にポリジー、西にポリゾ、北西から北にかけてバル=シュル=セーヌメレ=シュル=アルスが隣接します。

テロワールの最大の特徴は、シャブリ(Chablis)と同じキメリジアン紀の石灰岩と粘土の混合土壌です。マルヌ県のランスエペルネ周辺が白亜(チョーク)主体であるのに対し、バルセカネ全体が石灰岩+粘土系であり、その典型がセル=シュル=ウルスです。排水性と保水性のバランスが良く、ブドウに安定した水分供給をしながら余剰水を逃がす特性があります。ブドウ畑はウルス川右岸(北側)と左岸(南側)の両岸に展開し、南向き斜面がピノ・ノワールの完熟を助けます。右岸のLa Côte Bricardや左岸のLes Bodonnots・Le Bruyant・Les Caurois・Presle・Le Val d'Eviéeなどの区画に加え、以下の特記すべきリュー・ディが存在します:北〜北西向きのBeauregard(ピノ・ノワール100%の単一畑生産が行われる)、複数の生産者が区画を持つLe Champ du Clos(シャルドネ+ピノ・ブランの混植)、1904年植樹のピノ・ブラン古木が残るLes Proies(ピエール・ジェルベが保有)、シャルドネ主体のロゼ生産に充てられるLe Suchotです。

主要品種の栽培比率を見ると、ピノ・ノワールが約81%と圧倒的多数を占めますが、この村がシャンパーニュ産地内で特異な地位を持つのはピノ・ブラン(約6%・19 ha)の存在感です。全シャンパーニュ産地のなかでバリエタル・ピノ・ブラン(ピノ・ブラン100%のシャンパン)を複数の生産者が商業的に手がけているのはセル=シュル=ウルスをおいて他にありません。

ローズ・ド・ジャンヌ(Roses de Jeanne)はセドリック・ブーシャールが手がける、この村を代表する小規模グロワー(RM)です。全てのキュヴェが単一畑・単一品種・単一ヴィンテージで構成され、醸造はステンレスタンクまたはホーロータンクのみ使用(オーク不使用)、通常より低圧の4.5気圧で瓶詰めするという徹底したテロワール表現型のスタイルを貫きます。代表キュヴェにはCôte de Val Vilaine・Côte de Béchalin・Les Ursules(以上PN)、Le Creux d'Enfer(ロゼ・セニエ)、La Haute-Lemblée(CH)、La Bolorée(PB)、Presle(PN)があり、国際的に高く評価されています。2000年に祖母ジャニカへのオマージュとして創業、2014年よりRoses de Jeanneのブランド名に統一されました。

ヴーヴ・シュルラン(Veuve Cheurlin)はウルス渓谷で最も歴史ある大手ネゴシアン(NM)です。1898年にエドモン・シュルランがブドウ栽培を開始し、1919年にジャン・アルノウルがオーブ県最初のシャンパンハウスとして創業しました。1978年にアラン・シュルランが現ブランドを確立し、セル=シュル=ウルス・ランドゥルヴィルほか周辺コミューンに計3 haの自社畑を保有しています。

  • ポール・ダンジャン・エ・フィス(Paul Dangin & Fils)(NM):オーク熟成シャルドネ100%のキュヴェのほか、ピノ・ブラン100%の「Cuvée St Cyr」を生産する。
  • ピエール・ジェルベ(Pierre Gerbais)(NM):1904年植樹のピノ・ブラン古木(Les Proies区画)から造る「L'Originale」はピノ・ブラン100%の希少キュヴェ。
  • アルノー・ド・シューラン(Arnaud de Cheurlin)(NM、旧Comte de Cheurlin):単一畑3キュヴェ——Le Champ du Closのブラン・ド・ブラン(CH60%+PB40%)、Le Suchotのロゼ(CH90%+PN10%)、BeauregardのブランBdN(PN100%)——を手がける。
  • ジャン・ローラン(Jean Laurent)(RM):約16 haの自社畑を保有(PN75%・CH25%)。
  • アンフロレッサンス(Inflorescence):コート・デ・バールの個性を前面に出した生産者として国内外で注目を集める。
  • リシャール・シュルラン(Richard Cheurlin)ルー・ベアティトゥディネム(Lou Beatitudinem)ジョセフ・デプロワ(Joseph Desprois)も村に拠点を持つ生産者として知られる。

ウルス川流域のブドウ栽培はローマ時代まで遡るとされています。1156年にはシトー会修道院(アベイ・ノートル=ダム・ド・モール)が村内のモール(Mores)地区に設立され、中世におけるワイン生産の基盤を築きました。1250年には同修道院が寄進によって村の領主権を完全に掌握しています。現在の地名に「sur-Ource」が付加されたのは1897年1月30日の政令によるものです。長らくコート・デ・バールは北部マルヌ県の「補完区域」として扱われ、ここで収穫されたブドウの多くが大手メゾンへ原料として供給されてきました。21世紀に入って小規模高品質生産者が急増するなか、セル=シュル=ウルスはバリエタル・ピノ・ブランの一大産地かつ個性派グロワーの集積地として、コート・デ・バールを代表するコミューンのひとつに数えられるようになっています。

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「Celles-sur-Ource」を拠点とするシャンパン銘柄

RMRichard Cheurlin
リシャール・シュルラン
RMRoses de Jeanne
ローズ・ド・ジャンヌ
NMPaul Dangin & Fils
ポール・ダンジャン・エ・フィス
RMArnaud de Cheurlin
アルノー・ド・シューラン
NDInflorescence
アンフロレッサンス
NMPierre Gerbais
ピエール・ジェルベ
MALou Beatitudinem
ルー・ベアティトゥディネム
NMVeuve Cheurlin
ヴーヴ・シュルラン
RMJean Laurent
ジャン・ローラン
NMJoseph Desprois
ジョセフ・デプロワ
RMSimon Devaux
シモン・ドゥヴォー
RMMarcel Deheurles & Fils
マルセル・ドゥールル
NMDeclos Freres
デクロ・フレール
RMMichel Furdyna
ミシェル・フルディナ
NML & S Cheurlin
L&Sシュルラン
NMDangin Fays
ダンジャン・フェイ
RMHuguenot Tassin
ユグノー・タッサン
RMPhilippe Fays
フィリップ・フェイ
NMBaron Deloches
バロン・デロッシェ
RMSophie Debarrois
ソフィー・デュバロワ
NMBrocard Pierre
ブロカール・ピエール
RMDelot Pere & Fils
デロ・ペール・エ・フィス
RMFumey Tassin
フュメ・タッサン
RMJean Sandrin
ジャン・サンドラン
NMGaston Declos
ガストン・デクロ
RMMarie Tassin
マリー・タッサン
NMComte de Cheurlin
コンテ・ド・シュルラン
RMJulien Prelat
ジュリアン・プレラ
MARoux de Beauces
ルー・ド・ボーセ
RMMarcel Vezien
マルセル・ヴズィアン
NMCheurlin Dangin
シュルラン・ダンジャン
RMDaniel Deheurles
ダニエル・ドウルル
NMCheurlin & Fils
シュルラン・エ・フィス
RMEric Legrand
エリック・ルグラン
RMBaroni
バロニ
NMDe Lozey
ド・ロシェ
RMGautherot
ゴテロ
NMJean Vallong
ジャン・ヴァロン
RMMichel Brocard
ミッシェル・ブロカール
RMEmmanuel Tassin
エマニュエル・タッサン
RMLionel Carreau
リヨネル・キャロー
Legrand Freres
ルグラン・フレール
NMGyéjacquot
ジエジャコ
RMEric Patour
エリック・パトー
RMEric Maitre
エリック・メトレ
Andre Fays & Fils
アンドレ・フェイ・エ・フィス
RMJean Claude Bouchard & Fils
ジャン・クロード・ブシャール・エ・フィス
RMBenoit Tassin
ブノワ・タッサン
RMCedric Bouchard
セドリック・ブシャール
RMDes Moutiers
デ・ムーティエ
RMDidier Langry
ディディエ・ランジェリー
RCGerard Pilloud
ジェラール・ピロー
RMJean Luc Carreau
ジャン・リュック・キャロー
RMLoiselet Longuepee
ロイスレ・ロングピー
RCMarin Lasnier
マリン・ラスニアー
RCRobert Jaillant
ロベール・ジャラン
RMEdme Costes
エドム・コスト
RMEtienne Sandrin
エティエンヌ・サンドリン
Jean Arnoult
ジャン・アルヌール
RMNakada Park
ナカダ・パーク
RMVaucelle
ヴォセル
NMLouis Beaumand
ルイ・ボーマン
NMCharles Dubauris
シャルル・デュボリス
NMJean Charles
ジャン・シャルル
NMComte Deprele
コント・ドゥプレル
MACharles Clarence
シャルル・クラレンス
RMThomas Cheurlin
トマ・シュルラン
NMVeuve Marianne
ヴーヴ・マリアンヌ
RMBruno Dangin
ブリュノ・ダンジャン
Karine Prelat
カリン・プレラ
NMComte de Montaigne
コント・ド・モンテーニュ
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