Inflorescence / アンフロレッサンスは、フランス北東部のシャンパーニュ地方で生産されるシャンパン(発泡性ワイン)の銘柄です。
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目次

Inflorescence / アンフロレッサンス

Inflorescence

アンフロレッサンス

アンフロレッサンスは、コート・デ・バールの造り手セドリック・ブシャールが、父の畑のブドウを買い取って醸した銘柄です。単一区画・単一品種・単一年、糖を加えないゼロドサージュという徹底した方針で、畑の個性をそのまま瓶に映しました。2012年にその役目を終えた、いまはもう造られない名です。

基本情報

地区Côte des Bar / コート・デ・バール
- Barséquanais / バルセカネ
村10110 Celles-sur-Ource / セル=シュル=ウルス
所在地-
公式サイト-
製造業者種別ND
生産者表記Jean-Pierre Bouchard
関連銘柄Cedric Bouchard, Roses de Jeanne, Jean Claude Bouchard & Fils

商品更新情報

特徴・スタイル

アンフロレッサンスのシャンパーニュを一言で表すなら、「引き算」の美学です。ひとつの区画、ひとつの品種、ひとつの収穫年。ブレンドという足し算でスタイルを組み立てるのが一般的なシャンパーニュにあって、この名は逆の道を選びました。 仕上げに糖を加えるドサージュを行わず、樽の風味も借りません。清澄剤も補酸も使わないため、味わいを決めるのはブドウの熟度そのもの。収量を近隣の平均の半分以下まで抑えて育てられたピノ・ノワールが、余計な化粧を落とした姿で立ち現れます。同じ造り手のもうひとつの銘に比べると、若いうちから親しみやすい表情を見せる一本として語られてきました。

歴史・ブランドストーリー

アンフロレッサンスの物語は、2000年に始まります。醸造学校を出たセドリック・ブシャールは、パリのカヴィストとして自然派やビオディナミの潮流に触れたのち、故郷コート・デ・バールのセル=シュル=ウルスへ戻り、父が所有するポリジーの畑の耕作を引き継ぎました。 やがて彼は自分名義の畑も手にします。父の畑から買い取ったブドウで醸すワインと、自らの畑のワインを区別するために生まれた名が、アンフロレッサンスでした。2012年、ブシャールは父の畑を引き継ぎ、ブドウを買い取る立場ではなくなります。役目を終えたこの名は静かに幕を下ろし、2014年以降、同じ畑のワインは彼のもうひとつの銘のもとで造られています。

詳細

アンフロレッサンスのブドウが育ったのは、シャンパーニュの南端に位置するコート・デ・バール、ポリジーの南向き斜面「ヴァル・ヴィレーヌ」(Val Vilaine)です。1974年に植えられたピノ・ノワールが単一の区画をかたちづくり、この一枚の畑だけがブランドの原料となりました。所有していたのはセドリック・ブシャールの父で、ブシャールはそのブドウを買い取って醸造する立場、ネゴシアン・ディストリビュトゥールとして登録されていました。自らが所有する畑のワインをレコルタン・マニピュランとして手がけていたのとは、法的な立場が異なります。

2000年に故郷へ戻ったブシャールは、就農当初から栽培をビオディナミ的な方向へ大きく転換しました。なかでも徹底したのが収量の抑制で、近隣の平均の半分以下という水準まで実の数を絞り込んでいます。凝縮したブドウを得るためというより、樹に無理をさせず区画の性格をそのまま果実に写し取るための選択でした。

醸造方針

醸造の考え方は、足すのではなく引くことに貫かれています。ひとつの区画、ひとつの品種、ひとつの収穫年だけでワインを構成し、複数の畑や年をブレンドしてスタイルを整える手法はとりません。オークは使わず、補酸剤も清澄剤も加えないため、ワインには樽由来の香りも人為的な補正も残りません。

瓶詰め後の仕上げでも糖を添加するドサージュを行わず、ゼロドサージュで出荷されました。甘みで輪郭をぼかさない分、ブドウの熟し具合と畑の条件がそのまま味わいの骨格になります。区画・品種・年・糖分という四つの変数をすべて固定してしまうこの方法は、畑の個性を伝えるための、迷いのない手段でした。

評価とブランドのその後

2008年、フランスの有力ワインガイドであるゴ・エ・ミヨは、シャンパーニュ地方の最優秀醸造家としてセドリック・ブシャールを選出しています。これはブランド単体ではなく造り手個人の仕事に対する評価ですが、アンフロレッサンスもその手から生まれたワインです。

2012年、ブシャールが父の畑を完全に引き継いだことで、ブドウを買い取るという前提そのものが消え、アンフロレッサンスの名は用いられなくなりました。2014年以降、同じ区画のワインは彼のもうひとつの銘のもとで造られています。新たに出荷されることのない名ですが、ひとつの畑と向き合う姿勢は、後の銘へそのまま受け継がれています。

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