「リキュール・デクスペディション」とは

Liqueur d'expédition / リキュール・デクスペディション

「リキュール・デクスペディション」は、シャンパーニュの最終工程で使われる、ワインと糖分(主に甘蔗糖またはブドウ由来の糖)を混ぜ合わせた甘味添加用の液のことです。日本語では「門出のリキュール」「出荷用リキュール」などと訳されることもあります。名前の由来は「expédition(発送・出荷)」で、まさに市場へ送り出す直前に加えられることから来ています。 スパークリングワイン全般に共通する仕組みとして、瓶内二次発酵やティラージュを伴う製法では、発酵によって糖分がほぼ使い切られ、ワインは非常に酸味の際立った辛口の状態になります。そこで澱を取り除くデゴルジュマンの直後に、この甘味調整用の液を少量加えて味わいのバランスを整えます。同じ「リキュール」でも、瓶内発酵を始めるために加える糖と酵母の混合液「リキュール・ド・ティラージュ」とは役割も添加のタイミングも異なるため、混同しないよう注意が必要です。 シャンパーニュ産地では、このドサージュ(加糖する作業そのものを指す語)によって最終的な甘辛度が決まり、瓶のラベルに表示されるブリュットエクストラ・ブリュット「ドゥミ・セック」といった区分の根拠になります。使うワインは同じ生産者のリザーヴワインであることが多く、リキュール自体にその造り手の個性が反映されるため、配合比率やベースのワイン選びはハウススタイルを左右する重要な要素です。近年は糖度を極力抑える、あるいは糖を加えないブリュット・ナチュールを志向する生産者も増えており、リキュール・デクスペディションを使わない、または通常のブリュットでも1リットルあたりの糖分をごく少量に抑える傾向がみられます。糖分だけでなく、ごく少量のブランデーやラタフィアを加えて風味に奥行きを持たせる造り手もあり、レシピは各メゾンの企業秘密とされることが多いのも特徴です。

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