「シュール・リー」とは

Sur lie / シュール・リー

「シュール・リー」は、発酵を終えたワインを、酵母の死骸などからなる澱(おり)に触れさせたまま熟成させる手法の総称です。「sur」は「~の上で」、「lie」は「澱」を意味し、文字通り「澱の上で」寝かせるという意味になります。澱に含まれる酵母細胞は時間とともに自己分解(オータリシス)を起こし、アミノ酸やマンノプロテインといった旨味成分をワインに溶け出させます。これにより、ワインにはパン生地やビスケット、ナッツを思わせる香ばしさと、口当たりのふくよかさが加わります。 ワイン全般で最もよく知られる例は、ロワール地方のミュスカデです。「Muscadet Sur Lie」と表示できるワインは、澱引き(ワインを澱から分離する作業)をせずに冬を越し、翌年決められた時期に直接瓶詰めすることが法律で定められています。このほか、シャルドネなどを使った白ワインでは、樽の中で澱と接触させながら、澱を棒でかき混ぜるバトナージュという作業を併用し、より複雑な風味を引き出す造り手も少なくありません。 シャンパーニュにおいても、この考え方は土台の部分で生きています。ベースとなる原酒(ヴァン・クレール)を仕込んだ後、アッサンブラージュの前段階で澱と接触させたまま数週間から数か月置き、バトナージュを行う造り手もいます。ただし、シャンパーニュの複雑な風味の核心をなすのは、瓶内で二次発酵を行うティラージュ後、澱と共に瓶の中で長期熟成させる工程です。この瓶内熟成の期間は特に「シュール・ラット」と呼ばれ区別されますが、いずれも根っこにあるのは同じ「澱と時間が風味を作る」という発想です。規定の最低熟成期間(非ミレジメのもので15か月、ミレジメ表示のあるもので36か月、いずれも澱との接触が大半を占める)の長さこそが、シャンパーニュの複雑な香りの土台になっています。

関連用語