「シュール・ラット」とは

Sur latte / シュール・ラット

「シュール・ラット」は、シャンパーニュの製法に特有の言葉で、瓶内二次発酵を終えたワインを、澱と共に瓶に横たえたまま貯蔵・熟成させる期間を指します。「latte」はフランス語で「(木の)桟・薄板」のことで、かつて貯蔵庫では瓶を横向きに積み重ねる際、段と段の間に木製の桟を渡して安定させていました。その桟の上に瓶を寝かせて長期間置くことから、この呼び名が生まれたとされています。 一般のスパークリングワインの世界でも、瓶内二次発酵(伝統的方式)を採用する産地では同様の工程が存在しますが、「シュール・ラット」という呼称自体はシャンパーニュ地方で特に定着した表現です。イタリアのフランチャコルタなど、シャンパーニュの製法を範とする産地でもこの語がそのまま使われることがあります。 シャンパーニュ産地においては、この横置き熟成の期間こそが品質の核心部分です。ティラージュで瓶詰めされたワインは、糖分と酵母の働きで瓶内発酵し炭酸ガスを生みますが、発酵を終えた酵母は澱となって瓶の中に留まります。瓶を横に寝かせておくことで澱がワインと接する面積が保たれ、オータリシス(自己分解)による旨味成分の抽出がゆっくりと進みます。CIVC(シャンパーニュ委員会)の規定では、この澱との接触期間はミレジメ表示のないもので最低15か月(うち澱との接触が12か月以上)、ミレジメ表示のあるもので最低36か月と定められていますが、実際にはこれを大きく超えて数年から十数年にわたり「シュール・ラット」で寝かせる造り手も珍しくありません。熟成期間が長いほど、酸化を伴わずに複雑な香りが育つ点が、瓶内二次発酵ならではの利点とされています。この期間を経た後、澱を瓶口に集める「ルミュアージュ」、そして澱を取り除くデゴルジュマンへと工程が進みます。

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