Mutigny / ミュティニー

ミュティニーはグランド・ヴァレ・ド・ラ・マルヌプルミエ・クリュ村でありながら、栽培面積の約80%をピノ・ノワールが占めるという、この地区では際立って黒ブドウ比率の高いテロワールを持つ。グラン・クリュの村アイ=シャンパーニュを見下ろす斜面で育ったピノ・ノワールは、果実の密度と骨格のバランスが取れた1本に仕上がる。

基本情報

地域圏(Région)Grand Est
県(Département)Marne
区(Arrondissement)Épernay
郵便番号 : 51160
面積 : 3.75 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Avenay-Val-d'Or, Germaine, Saint-Imoges, Aÿ-Champagne,

「Mutigny」のぶどう畑

テロワールVallée de la Marne
- Grande Vallée de Marne
格付け93% Premier Cru [?]
栽培面積103.4 ha
- Chardonnay6.7 ha (6.5%)
- Pinot Noir82.4 ha (79.7%)
- Pinot Meunier14.3 ha (13.8%)
- その他0 ha (0%)

特徴

ミュティニーのピノ・ノワールは、アイのように甘やかで肉感的というより、赤系果実のくっきりした輪郭とチョーク由来のドライなミネラル感が前に出るスタイルになりやすい。チェリーやラズベリーの香りに加え、スパイスのニュアンスが重なり、酸は細くシャープ。ブレンドに組み込まれると、骨格と方向感を与える素材として機能する。 この特性から、アイのピノ・ノワールのような「ふくよかさ」を求める飲み手より、緊張感のある構造と清潔なフィニッシュを好む飲み手に響く。海鮮や鶏肉のロースト、塩気のあるシャルキュトリーとの相性は良く、食中酒として楽しみたいシャンパーニュを探しているなら試す価値がある1本だ。

テロワール

ミュティニーの畑はモンターニュ・ド・ランス南側斜面の標高150〜200m帯に広がり、東から南にかけて向きを変えながら連なる。南西に隣接するアイ=シャンパーニュ(グラン・クリュ)とは尾根を共有するが、ミュティニーの区画は斜面が高く傾斜がより急で、冷涼な空気の流れが強くなる傾向がある。この標高差と傾斜が、アイの豊熟した果実感とは異なる、引き締まった酸と凝縮感を同時に生み出す要因となっている。 土壌はベローズ紀のチョークを基盤とし、表層にはわずかな粘土と砂質ローム層が重なる。チョーク層は通気性と保水性を兼ね備え、ピノ・ノワールに骨格となるミネラル感を与える。東方向に隣接するアヴネ=ヴァル=ドールと比較すると、ミュティニーは斜面の方位がより真南に近い区画を多く持つため、ピノ・ノワールの成熟がより安定しやすい。シャルドネピノ・ムニエは合わせても栽培面積の2割に満たず、ミュティニーのテロワールがいかにピノ・ノワールに最適化されているかを物語っている。こうした地形・土壌の組み合わせが、ブレンド素材としてのピノ・ノワールに特有の骨格と香りの複雑さをもたらしている。

詳細

ミュティニーはヴァレ・ド・ラ・マルヌの中でも中核地帯にあたるグランド・ヴァレ・ド・ラ・マルヌに属するプルミエ・クリュ村で、コミューン面積375 ha、人口約200人の小さな農村集落だ。グラン・クリュアイ=シャンパーニュのほぼ真北、モンターニュ・ド・ランスの南麓に位置し、南西にアイ=シャンパーニュ、南にマルイユ=シュル=アイ(プルミエ・クリュ)、東にアヴネ=ヴァル=ドール(プルミエ・クリュ)、北には Saint-Imogès が隣接する。エペルネとランスを結ぶ主要軸からは少し奥まった位置にあり、観光客が足を向けることの少ない静かな村だが、テロワールとしての潜在力はこの立地の控えめさとは対照的に高い。

テロワール

ミュティニーの畑は総栽培面積103.40 haで、46の生産者が村内で栽培に携わる。斜面は主に東から南向きに展開し、モンターニュ・ド・ランスの台地から谷底に向かって流れ下る地形が、独特の冷涼な空気の循環を生んでいる。土壌は典型的なシャンパーニュのチョーク質で、表層に薄い粘土・ローム層が乗る構造だ。エシェル・デ・クリュは白・黒ともに93%で、グラン・クリュに一歩及ばない評価ながら、ピノ・ノワールの出来は隣接するアイ=シャンパーニュの畑のそれに匹敵すると評する生産者も少なくない。

村内の主要単一畑としては、村の南東に広がる南東向き斜面の「レ・クロ(Les Clos)」と、北側の緩やかな北東向き斜面「レ・テリエ・ドゥ・グラン・メゾン(Les Terriers de Grand Maisons)」が知られる。後者はアヴネ=ヴァル=ドールに拠点を置く生産者が区画を持つなど、村をまたいだ栽培の結節点にもなっている。

主要生産者

ミュティニーを代表する生産者として外せないのが、ネゴシアン・マニピュランNM)のジョルジュ・クレモン(Georges Clément)だ。1996年創業でミュティニーと マルイユ=シュル=アイにセラーを持ち、アイ=シャンパーニュ、マルイユ、アヴネ=ヴァル=ドール、ビスイユオーヴィレール、ル・メニル、 トキシエール=ミュトリーヴェルジィなど広域に畑を確保している(2011年時点で8 ha)。同メゾンは「ルルー・プレコフ」「Henry de Valbert(アンリ・ドゥ・ヴァルベール)」といった複数のブランドでもシャンパーニュをリリースしており、ルルー・プレコフはピノ・ノワール65%、シャルドネ35%のヴァンダンジュ・タルディヴ(VT)で知られる。

また、フランソワ・オリヴィエはミュティニーに拠点を置くグロワー系生産者で、6アイテムを手がける村内でも商品ラインナップが充実した1軒だ。

さらにミュティニーはネゴシアン系大手メゾンの畑の供給源としても重要な役割を担っており、ボランジェモエ・エ・シャンドンPhilipponnat(フィリポナ)、パイパー・エドシックルイ・ロデレールがこの村に自社畑または長期契約畑を持つことが知られている。これらのメゾンがミュティニーのピノ・ノワールをブレンド素材として高く評価していることは、村の格付け(93%)の数字以上の実力を証明するひとつの指標でもある。

歴史・由来

ミュティニーの名は中世の文献にも登場し、シャンパーニュ地方のブドウ栽培の歴史と歩みをともにしてきた村だ。村人の呼称は男性形「Mutignats」、女性形「Mutignates」で、長く続く栽培文化を今もコミュニティとして受け継いでいる。グラン・クリュのアイ=シャンパーニュと斜面を共有しながらも独自のプルミエ・クリュ格付けを得た背景には、この村特有の標高と傾斜がもたらすテロワールの個性が評価されてきた歴史がある。ブドウ栽培家の数は46軒にのぼり、村の規模(人口約200人)に比して生産者密度が高く、ミュティニーがいかに農業型の村として成り立ってきたかがわかる。近年は大メゾンの調達先としての地位を保ちながら、若い世代のグロワーがヴァンダンジュ・タルディヴや単一畑キュヴェといった個性的なアイテムに挑戦する動きも出てきており、静かな注目を集めている。

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「Mutigny」を拠点とするシャンパン銘柄

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