「レコルタン・コーペラトゥール」とは

Récoltant Coopérateur / レコルタン・コーペラトゥール

シャンパーニュのラベルには、目立たない場所に小さなアルファベットの組み合わせが記されていることが多い。これはシャンパーニュの「生産者区分」を示すコードで、RM、NM、CMなどさまざまな種類がある。そのひとつが「RC」——レコルタン・コーペラトゥール(Récoltant Coopérateur)の略称だ。 RCとは、自社畑でブドウを栽培しながらも、自社ではシャンパーニュを醸造せず、協同組合(コーペラティブ)に醸造を委託し、できあがったシャンパーニュを自身のブランド名で販売する生産者のことを指す。「レコルタン(récoltant)」は収穫者・栽培農家、「コーペラトゥール(coopérateur)」は協同組合員を意味し、まさにその両方を兼ねた存在がRCだ。 ■ 協同組合とのしくみ シャンパーニュ地方には数多くの協同組合が存在し、加盟する栽培農家から収穫したブドウを受け入れ、圧搾から醸造・瓶詰めまでを一括して担っている。RCはその組合員であり、醸造の専門設備や技術を組合に依存しながら、最終的に自分のラベルを貼って市場に送り出す。 生産者自らが一貫して醸造・瓶詰めを行うRM(レコルタン・マニピュラン)とは異なり、RCは「栽培」と「ブランド」を担い、「製造」は組合に委ねるという分業体制をとっている。小規模な栽培農家が、多額の設備投資なしに自社ブランドのシャンパーニュを持てる点がRCの大きなメリットといえる。 ■ シャンパーニュ市場における立ち位置 RCの数はRMに比べると少なく、シャンパーニュ全体の生産構造のなかでは比較的マイナーな区分に位置する。流通量が限られることもあり、日本市場で見かける機会は多くない。ただ、地元フランスや欧州では、コストパフォーマンスの高い地域密着型シャンパーニュとして一定の支持を集めているケースもある。 消費者にとって注意したいのは、ラベルのブランド名だけでは生産形態がRCかどうか判断しにくい点だ。瓶の底や裏ラベルに記された小さな「RC」の文字と登録番号を確認することで、実際の生産者区分を知ることができる。 ■ 飲み手としての向き合い方 RCのシャンパーニュは、醸造を担う協同組合の技術力や方針が品質を大きく左右する。同じ組合に醸造を委託する複数のRCブランドの間で、味わいに共通点が感じられることもある。一方で、ブドウ栽培者の個性や畑の特徴が風味に反映されるケースもあり、一概に画一的とは言い切れない。 RMやNM(ネゴシアン・マニピュラン、大手メゾンに多い区分)と並べて飲み比べてみると、生産形態の違いが味わいに与える影響を体感できる。ラベルの「RC」という小さな文字は、そのシャンパーニュがどんな背景を持って生まれたかを静かに物語っている。

関連用語