Tauxières-Mutry / トキシエール=ミュトリー

トキシエール=ミュトリーは、プルミエ・クリュでありながらエシェル・デ・クリュ99%という、グラン・クリュに限りなく近い別格の評価を受けた村です。同じく99%を持つのはシャンパーニュ全体でたった2村のみ。ピノ・ノワールが畑の約8割を占め、果実の凝縮感と骨格をそのシャンパンに刻み込みます。大手メゾンも注目した希少区画が点在するこの村のシャンパンは、グラン・クリュとの境界線上にある緊張感がそのままグラスに宿っています。

基本情報

地域圏(Région)Grand Est
県(Département)Marne
区(Arrondissement)Épernay
郵便番号 : 51150
面積 : 10.17 km2
Coomune内の主要な地区
Louvois,
隣接するクリュ(Coomune)
Ville-en-Selve, Bouzy, Fontaine-sur-Ay, Tours-sur-Marne, Aÿ-Champagne, Val de Livre,

「Tauxières-Mutry」のぶどう畑

テロワールMontagne de Reims
- Grande Montagne de Reims
格付け99% Premier Cru [?]
栽培面積240 ha
- Chardonnay37.7 ha (15.7%)
- Pinot Noir190.6 ha (79.4%)
- Pinot Meunier11.7 ha (4.9%)
- その他0 ha (0%)

特徴

ピノ・ノワールが畑の約79%を占めるトキシエール=ミュトリーのシャンパンは、黒ぶどうの豊かな果実味を軸に、チョーク土壌由来のきめ細かい酸とミネラルが骨格を作ります。ブジーやトゥール=シュル=マルヌのようなグラン・クリュ村と近い風土を持ちながら、わずかに高い標高と西寄りの立地が果実にほんのりとした緊張感を加え、熟した赤系果実の甘やかさを引き締めます。 単一畑キュヴェも生まれており、100%ピノ・ノワールのキュヴェ・ロベール・ルジュールのように、品種の純粋な表現を追求したスタイルも見られます。赤ワインの旨みと酸のバランスを好む飲み手、またはブルゴーニュ的なピノ・ノワールの世界観をシャンパンに求める方にとって、この村のキュヴェは理想的な入り口になります。

テロワール

トキシエール=ミュトリーの畑は、グランド・モンターニュ・ド・ランス南部の斜面に広がり、主に南向きの傾斜が日照を最大限に確保します。東にはグラン・クリュ村のブジー、南南東には同じくグラン・クリュのトゥール=シュル=マルヌが隣接し、これら著名村に囲まれる形で位置することが、エシェル99%という高評価の地理的背景を物語っています。 土壌はモンターニュ・ド・ランス南麓に典型的なベロニアン期のチョーク層を基盤に持ち、上層には粘土と石灰岩が混在。チョーク層の優れた保水性がぶどうに水分を均一に供給しつつ、南向き斜面の排水性が根の過湿を防ぎます。同じグランド・モンターニュに属するブジーと比べると、標高がわずかに高く西寄りの位置にあるため、朝の冷涼な空気が果実の酸をより長く保つ傾向があります。 コミューン内には複数の単一畑(リュー・ディ)が存在し、南東部のレ・ザルジャンティエール、南西部のル・クロ・デ・フルシュ、東端のラ・クロワ・ルージュなど、向きと標高がそれぞれ異なる区画が個性的なキャラクターを生み出しています。この多様な地形条件が、ピノ・ノワール主体でありながらも区画ごとに異なる表情を持つシャンパンを可能にしています。

詳細

トキシエール=ミュトリーは、モンターニュ・ド・ランス南部に広がるグランド・モンターニュ・ド・ランスの一角に位置するプルミエ・クリュ村です。アイ=シャンパーニュの北東、ブジーの西斜面に接する立地にあり、グラン・クリュ村に三方を囲まれる形で位置しています。コミューン面積は1017 haで、2012年時点の人口は288人。1882年にタージエールとミュトリーという2つのコミューンが合体して現在の名称となりました。

2016年1月1日より、隣村のルーヴォワと合体して新たな広域コミューン「ヴァル=ド=リーヴル」を形成しています。この委任コミューンは総面積2234 ha・人口589人規模で、市役所はトキシエール=ミュトリーに置かれています。西にはフォンテーヌ=シュル=アイ(プルミエ・クリュ)、北東にルーヴォワ(グラン・クリュ)、東南東にブジー(グラン・クリュ)、南南東にトゥール=シュル=マルヌ(グラン・クリュ)が隣接しており、シャンパーニュ屈指の銘醸地帯に囲まれています。

テロワールと単一畑

トキシエール=ミュトリーのエシェル・デ・クリュは白・黒ともに99%。グラン・クリュの17村がエシェル100%であるのに対し、プルミエ・クリュ全42村の中で99%を付与されているのは当村とマルイユ=シュル=アイのみです。グラン・クリュをわずかに逃した2村という事実は、このテロワールのポテンシャルを端的に示しています。

畑はブジー西側の主に南向き斜面に広がり、総栽培面積240 haのうちピノ・ノワールが190.60 haと約79%を占めます。コミューン内には個性的なリュー・ディが点在しています。コミューン南南東部のほぼ平坦地にあるレ・ザルジャンティエール区画では、ブジーの生産者ブノワ・ラアイがピノ・ノワールとシャルドネを使い、ブラン・ド・ノワールと「ヴィオレーヌ」を手がけています。南西部の東向き緩斜面ル・クロ・デ・フルシュは、名称に「クロ」と付くものの石壁はなく、ブジーとトゥール境界付近に位置します。東端のラ・クロワ・ルージュ区画はルーヴォワ境界沿いにあり、ボランジェがかつてVVF(ヴィエイユ・ヴィーニュ・フランセーズ)の原料ぶどうを2004年ヴィンテージまで調達していましたが、その後ウイルス被害により現在は使用されていません。南東部の南向き緩斜面ル・オー・デ・ザルジャンティエールはブノワ・ラアイのミレジム用シャルドネ原料を供給し、南西部レ・ピュティエはルジュール=ディルヴァンのシングル区画キュヴェの原料として知られています。

主要生産者

当村を拠点とする生産者は52軒。グロワーが中心で、単一村・単一畑の個性を映し出すキュヴェを手がける造り手が揃っています。

Barbier Louvetはレコルタン・マニピュラン(RM)として9村に6.85 haを所有し、ピノ・ノワール80%・シャルドネ20%を基本構成とします。ヴィンテージキュヴェ「キュヴェ・テオフィル・ブロンデル」(PN60%+Ch40%)と100%ピノ・ノワールの「キュヴェ・レ・グット・ドール」が代表作です。

Lejeune Dirvangは4 ha(グラン・クリュ+プルミエ・クリュ6村)を管理するRMで、レ・ピュティエ区画のぶどうのみを使った「キュヴェ・ロベール・ルジュール」はヴィンテージ100%ピノ・ノワールの単一区画キュヴェ。土地のピュアな表現を追求したスタイルです。

  • Banette(RC):11 ha(ドーブ3 ha含む)を管理。トキシエール=ミュトリー、ルーヴォワ、ブジー、アイほかに栽培地を持つ。代表キュヴェ「フュ・ドゥ・シェーヌ」はPN80%・Ch20%で樽発酵。
  • Barbier Louvet(RM):代表キュヴェ「キュヴェ・テオフィル・ブロンデル」「キュヴェ・レ・グット・ドール」。
  • Lejeune Dirvang(RM):レ・ピュティエ区画を中心に4 ha。「キュヴェ・ロベール・ルジュール」は100%ピノ・ノワールのヴィンテージキュヴェ。

歴史・補足

ボランジェがラ・クロワ・ルージュ区画を使用していたことは、この村のテロワールへの評価を示す歴史的な証左です。ボランジェのVVF(ヴィエイユ・ヴィーニュ・フランセーズ)はフィロキセラ以前の台木を持つ希少なぶどう樹から造られるシャンパンで、その調達地の一つがトキシエール=ミュトリーだったという事実は、このコミューンがいかに特別な区画を有していたかを物語っています。ウイルス被害による使用終了は惜しまれますが、現在も多くのグロワーがこの土地の個性を丁寧に引き出しながら、規模は小さくとも質の高いキュヴェを世に送り出しています。

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「Tauxières-Mutry」を拠点とするシャンパン銘柄

参考情報