Germaine / ジェルメンヌ

ジェルメンヌは、グランド・モンターニュ・ド・ランスの中でもきわめて特異な経歴を持つ村だ。栽培面積の約95%をピノ・ムニエが占め、オートル・クリュ格付けながらもモエ・エ・シャンドンが村の畑の大半を所有するという、大メゾン依存の構造が際立つ。

基本情報

地域圏(Région)Grand Est
県(Département)Marne
区(Arrondissement)Épernay
郵便番号 : 51160
面積 : 14.87 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Ville-en-Selve, Avenay-Val-d'Or, Mutigny, Fontaine-sur-Ay, Rilly-la-Montagne, Saint-Imoges, Villers-Allerand, Sermiers,

「Germaine」のぶどう畑

テロワールMontagne de Reims
- Grande Montagne de Reims
格付け80% Autre Cru [?]
栽培面積26.4 ha
- Chardonnay0.8 ha (3%)
- Pinot Noir0.2 ha (0.8%)
- Pinot Meunier25.2 ha (95.5%)
- その他0.2 ha (0.8%)

特徴

栽培面積の95%超をシャルドネでもピノ・ノワールでもなくピノ・ムニエが占めるジェルメンヌのぶどうは、柔らかな赤果実の風味と丸みのある口当たりを持つシャンパンの土台となる。ムニエ由来の親しみやすいフルーティさは、早飲みにも向くアペリティフスタイルに合うキャラクターだ。この村産のムニエの大半はモエ・エ・シャンドンのブレンドに組み込まれ、単一村シャンパンとして市場に出回ることはほとんどない。ジェルメンヌの名を冠したシャンパンを探すより、モエの各キュヴェを通じてその個性を味わうのが現実的な楽しみ方といえる。

テロワール

ジェルメンヌは標高123〜274mと大きな高低差を持ち、ぶどう畑が森林地帯へと変わる境界部に位置する。グランド・モンターニュ・ド・ランスの中でも最も辺縁に近い立地で、南にはエシェル・デ・クリュプルミエ・クリュを誇るアヴネ=ヴァル=ドール、北にも同じくプルミエ・クリュのヴィレ=アルランが接する。こうした優良村に挟まれながら、ジェルメンヌ自身のエシェル・デ・クリュ評価は白黒ともに80%と低め。これは、ぶどう畑が丘陵上部の森林帯との境界付近に分布し、日照・排水の条件がやや不利な区画が多いことと関係している。総栽培面積26.40 haのうち約25.20 haをピノ・ムニエが占め、この品種がテロワールとの相性を見出してきた歴史がある。ムニエは霜害に比較的強く、こうした森林縁辺部の冷涼な環境でも安定した収量を確保しやすい特性を持ち、それがこの偏った品種構成の背景にある。

詳細

ジェルメンヌはマルヌ県グラン・エスト地域圏、エペルネ郡区に属するコミューンで、行政上のインターコミュナリティは「グランド・ヴァレ・ド・ラ・マルヌ」に区分される。コミューン全体の面積は14.87 km²(1,487 ha)と広大だが、そのうちぶどう畑は26.40 haにとどまり、残りの大部分は森林と農地が占める。人口は528人(2023年)と小規模な農村だ。地形的にはアイ(Aÿ)とアヴネ=ヴァル=ドールの北側に位置し、ヴォーレモン(Vaurémont)と呼ばれる地区にぶどう畑が集まる。

テロワールと品種構成

ジェルメンヌのぶどう畑はグランド・モンターニュ・ド・ランスの辺縁部にあたり、畑が森林帯へ移行する境界付近に位置する。標高は123〜274mにわたり、この高低差が区画ごとに異なる日照・温度条件を生む。エシェル・デ・クリュの評価は白黒ともに80%でオートル・クリュに分類され、南のアヴネ=ヴァル=ドールや北のヴィレ=アルラン(ともにプルミエ・クリュ)と比べると格付け上の評価は低い。栽培面積26.40 haのうちピノ・ムニエが25.20 haを占め、シャルドネは0.80 ha、ピノ・ノワールは0.20 haとほぼ存在しない。ムニエが圧倒的多数を占める背景には、この品種が霜害への耐性を持ち、森林縁辺部の冷涼な環境でも収穫量を確保しやすいという実利的な理由がある。

モエ・エ・シャンドンとの深い関係

モエ・エ・シャンドンはジェルメンヌ村内に施設を持ち、約22 haのぶどう畑を所有する。これは村の総栽培面積26.40 haのじつに83%超に相当し、ジェルメンヌは実質的にモエが管理する一大畑となっている。ここで収穫されたピノ・ムニエは同メゾンの各キュヴェのブレンド原料として使われるとみられ、この村から単独のドメーヌ・シャンパンが生まれにくい構造的な理由でもある。

シャンパーニュAOCをめぐる異例の経緯

ジェルメンヌはシャンパーニュの歴史において特殊な立場に置かれてきた村でもある。2007年に行われたシャンパーニュAOCの産地拡張提案の審議において、大多数のコミューンが新たに生産ゾーンへの追加を目指すなか、ジェルメンヌはオルベ=ラベイ(Orbais-l'Abbaye)とともに逆に生産ゾーンから除外する対象として提案された。2011年にはINAOがこの提案を承認したとも報じられたが、最終決定の確認には至らず、2019年時点でも変更は実施されていなかった。

シャンパーニュ評論家トム・スティーブンソンは2008年の論評で、ジェルメンヌとオルベ=ラベイがいわば「スケープゴート」として機能させられた可能性を指摘している。拡張計画全体から大きな利益を得るLVMH(モエ・エ・シャンドンの親会社)やヴランケン・ポメリー・モノポールが、計画に対する批判をかわす手段として、自社が畑を持つ小規模村を「生け贄」に差し出したのではないかという見立てだ。なお、この2村には独立した小規模生産者がほとんど存在しないため、除外に対する対外的な反発が起きにくいという事情も背景にあったとされる。

歴史と自然環境

コミューン名「ジェルメンヌ(Germaine)」の住民はフランス語で男性形 Germinois、女性形 Germinoises と呼ばれる。モンターニュ・ド・ランス地域自然公園(Montagne de Reims Regional Natural Park)の区域内に位置し、豊かな森林と丘陵地形が村の景観をかたちづくっている。アイ(Aÿ)から伸びる鉄道が村内を通り丘の上方まで続いており、かつてのぶどう栽培・輸送の歴史的インフラの痕跡を今もとどめている。

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「Germaine」を拠点とするシャンパン銘柄

参考情報