Orbais-l'Abbaye / オルベ=ラベイ

オルベ=ラベイは、シャンパーニュ生産区域から除外されることを提案された、前代未聞の経歴を持つ村だ。オートル・クリュ格付けでエシェル・デ・クリュは82%。栽培の約94%をピノ・ムニエが占め、大メゾンのブレンド用ブドウを静かに供給し続けている。

基本情報

地域圏(Région)Grand Est
県(Département)Marne
区(Arrondissement)Épernay
郵便番号 : 51270
面積 : 16.03 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Margny, La Ville-sous-Orbais, La Chapelle-sous-Orbais, Suizy-le-Franc,

「Orbais-l'Abbaye」のぶどう畑

テロワールVallée de la Marne
- Vallée de la Marne Rive Gauche
格付け82% Autre Cru [?]
栽培面積43.5 ha
- Chardonnay0.8 ha (1.8%)
- Pinot Noir1.7 ha (3.9%)
- Pinot Meunier41 ha (94.3%)
- その他0 ha (0%)

特徴

栽培面積43.50haのうち約41haをピノ・ムニエが占めるという圧倒的な品種構成が、このコミューンのシャンパンの性格を決定づける。ムニエ主体のワインは丸みのある果実味と柔らかなテクスチャーを持ち、大メゾンのノン・ヴィンテージ・ブレンドにまろやかさとボリュームをもたらすベースワインとして機能する。村を拠点とする生産者は存在しないため、モエ・エ・シャンドンなど大グループのブレンド哲学に興味を持つ飲み手にとって、産地理解の文脈で注目に値するコミューンだ。

テロワール

オルベ=ラベイはヴァレ・ド・ラ・マルヌ・リヴ・ゴーシュ(マルヌ川左岸)に位置し、スュルムラン川の谷あいに広がる農業地帯の一角を成す。コミューン全体の標高は122〜235mと幅があり、ブドウ畑はコミューン北東部のスュルムラン川右岸にまとまって分布する。穏やかな南向き斜面が卓越しており、日照条件は比較的良好だ。 気候はケッペン分類のCfbで、冬季の平均気温は約3℃、年間平均は10.3℃、年間降水量は743mmと比較的湿潤な環境。降水量は年間を通じて均等に分布し、日照量はやや少ない傾向にある。こうした気候条件は、完熟しやすく柔らかな酸を持つ果実を育むことに適しており、ピノ・ノワールやシャルドネがほとんど栽培されない土地でもピノ・ムニエがその特性を最大限に発揮できる下地となっている。

詳細

オルベ=ラベイはヴァレ・ド・ラ・マルヌの支流域、スュルムラン川(全長41km)の谷に開けた村だ。ヴァレ・ド・ラ・マルヌ・リヴ・ゴーシュのなかでも内陸寄りに位置し、エペルネから約25km東に当たる。コミューン総面積は1,603haに及ぶ広大な農村で、周囲はブリー・シャンプノワーズと呼ばれる農業高原が標高200m超の台地を形成する。ブドウ畑は北東部のスュルムラン川右岸に集中し、穏やかな南向き斜面に43.50haがまとまって広がる。

品種構成はシャンパーニュ屈指のムニエ偏重で、ピノ・ムニエが約41haと全体の94%超を占める。シャルドネは0.80ha、ピノ・ノワールは1.70haにとどまり、実質的にムニエのモノカルチャーに近い産地だ。オートル・クリュ格付けでエシェル・デ・クリュは白・黒ともに82%。この数値はヴァレ・ド・ラ・マルヌ・リヴ・ゴーシュのなかでも標準的な水準であり、格付け上の特別な地位を持つ村ではない。

村を拠点とするシャンパーニュ生産者は存在しない。畑の所有・管理はモエ・エ・シャンドン(LVMHグループ)とポメリー(ヴランケン=ポメリー=モノポールグループ)という2大グループが担っており、収穫されたムニエはグループ各社のノン・ヴィンテージ・キュヴェをはじめとする大量生産ブレンドに組み込まれる。

修道院の村としての歴史

村の名称「ラベイ(l'Abbaye)」は「修道院」を意味するフランス語に由来する。7世紀末、ランスの司教聖レオールがベネディクト会修道院を創建したことが、この地の歴史の出発点だ。この修道院は以後、中世を通じてこの地域の宗教・文化の中心であり続けた。村の正式名称が「Orbais」から「Orbais-l'Abbaye」に改められたのは1988年6月21日のことで、修道院の存在を名称に永く刻むための政令による改称だった。

修道院に附属するサン=ピエール=エ=サン=ポール教会は、12世紀末から13世紀初頭にかけてジャン・ドルベの設計によって建設された。ジャン・ドルベはランス大聖堂の建設にも携わった建築家として知られ、この教会には双塔ファサードや5つの放射状礼拝堂をもつ歩廊付き内陣など、ゴシック建築の特徴的な要素が凝縮されている。12世紀のステンドグラスや14〜15世紀の墓碑銘板なども現存しており、ワイン産地としてよりも建築・歴史遺産の文脈で語られることの多い村でもある。

アペラシオン除外提案という前代未聞の経歴

ワインの世界においてオルベ=ラベイが特に注目されるのは、シャンパーニュ産地区域からの「除外提案」という異例の経緯を持つためだ。2008年、INAO(国立原産地・品質研究所)はシャンパーニュ産地の見直し提案を発表した。この提案には40村の新規追加と同時に、マルヌ県内のオルベ=ラベイとジェルメーヌの2村を生産区域から除外する内容が含まれていた。

ワインライターのトム・スティーヴンソンはこの2村を「スケープゴート」と評した。除外の対象となった村にはいずれも小規模なグロワー(栽培農家)が存在せず、影響を受けるのは産地拡大から利益を得るLVMHとヴランケン=ポメリー=モノポールという大グループのみという構図が、その評価の背景にある。2011年にINAOが除外提案を承認したと報じられたが、最終的な法的決定の帰結は長らく不透明なままであった。

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「Orbais-l'Abbaye」を拠点とするシャンパン銘柄

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参考情報