Dizy / ディジー

ディジーは、アイ=シャンパーニュグラン・クリュのすぐ隣に位置しながら、シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエの3品種がほぼ均等に育つ、シャンパーニュでも珍しいプルミエ・クリュの村です。ナポレオンも愛飲したという名門ジャクソンがこの地を本拠に置き、区画ごとの個性を追い求めるリュー・ディ・シャンパンを世に送り出しています。グランに匹敵するポテンシャルを秘めた1本に、ここで出会えるかもしれません。

基本情報

地域圏(Région)Grand Est
県(Département)Marne
区(Arrondissement)Épernay
郵便番号 : 51530
面積 : 3.23 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Magenta, Hautvillers, Champillon, Aÿ-Champagne,

「Dizy」のぶどう畑

テロワールVallée de la Marne
- Grande Vallée de Marne
格付け95% Premier Cru [?]
栽培面積180.4 ha
- Chardonnay70 ha (38.8%)
- Pinot Noir74.3 ha (41.2%)
- Pinot Meunier36.1 ha (20%)
- その他0 ha (0%)

特徴

ディジーではピノ・ノワール約41%、シャルドネ約39%、ピノ・ムニエ約20%という、3品種がほぼ拮抗する希少な比率で栽培されています。南向き斜面の熱量がブドウをしっかり熟させるため、ワインには骨格のしっかりした果実感と、チョーク土壌由来のすっきりとした酸が共存します。 ジャクソンはこの村を拠点に、加糖を極力抑えたエクストラ・ブリュットスタイルを貫き、「コルヌ・ボートレ」(シャルドネ)や「テール・ルージュ」(ピノ・ノワール)といったリュー・ディ・キュヴェで区画ごとの個性を示しています。重厚なピノ系と繊細なシャルドネが同居するスタイルは、食中酒として幅広く機能し、白身魚から鶏肉料理、熟成チーズまで対応できる懐の深さを持っています。

テロワール

ディジーの畑は標高69〜250 mの幅をもつ斜面に広がり、主軸となるのは南向きの傾斜です。この向きは日照量を最大化し、3品種いずれにも十分な熟度をもたらします。土壌は粘土質と砂利が重なり、その下にチョーク(白亜岩)の基盤が続く構造で、水はけと保水のバランスが取れています。 隣接するアイ(グラン・クリュ)が東斜面の黒ブドウ産地として特化しているのに対し、ディジーは方位・品種ともに多様性を維持している点が際立ちます。北西のオーヴィレールや北北東のシャンピヨン(ともにプルミエ・クリュ)と比べると、マルヌ川に近い分だけ平地部の割合がやや高く、川沿いの温度調節効果がピノ・ムニエの栽培を後押ししています。 東部のアイとの境界付近に広がるリュー・ディ「コルヌ・ボートレ」は南西向きで粘土と砂利が混在し、シャルドネに独特のテクスチャーを与えることで知られます。同じくアイ寄りの「テール・ルージュ」はD951沿いの区画で、ピノ・ノワール主体の赤みがかった土壌が深みのある果実味を生み出します。こうした多様な地番の集積が、ディジーのシャンパンにブレンド素材としての幅と奥行きをもたらしています。

詳細

ディジーはグランド・ヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区に属するプルミエ・クリュのコミューンです。エペルネの北東約3 kmに位置し、マルヌ運河とマジャンタ地区を挟んでエペルネの都市圏にほぼ連続しています。東にはグラン・クリュのアイ、北西にはプルミエ・クリュのオーヴィレール、北北東にプルミエ・クリュのシャンピヨンが隣接し、シャンパーニュ屈指の銘醸地に四方を囲まれた好立地にあります。コミューン全体の面積は323 haで、ぶどう畑は180.40 haと半分超を占めます。

畑は主に南向きの斜面に展開し、標高は69〜250 mと幅があります。土壌は粘土質と砂利が表層を構成し、下層にチョーク(白亜岩)の基盤が続く典型的なシャンパーニュの地質構造を持ちます。隣のアイが東斜面とチョーク質土壌でピノ・ノワールに特化しているのに対し、ディジーは南向きの穏やかな傾斜と複数土質の混在により、3品種いずれもバランスよく熟す環境が整っています。マルヌ川に近い低地部ではピノ・ムニエの栽培も盛んで、川沿いの温度調節効果が寒暖差を和らげています。

ディジーを語るうえで外せないのがジャクソン(Jacquesson)です。1798年創業で、ナポレオン1世が愛飲したシャンパーニュとして歴史に名を刻んだ名門メゾンです。1974年にシケ家が買収・移転してからは、ジャン=エルヴェ・シケとロラン・シケ兄弟が経営を担い、全アイテムをエクストラ・ブリュットに統一するという当時としては先鋭的なスタイルを確立しました。自社畑30 haのうちディジーとアイに約6 haを持ち、年間26〜28万本を生産。主力の「700シリーズ」はノン・ヴィンテージながら収穫年の番号を付し、その年ごとのキャラクターを前面に出す個性的なラインナップです。リュー・ディ・キュヴェでは「コルヌ・ボートレ」(1960年植樹のシャルドネ1.0 ha、南西向き)と「テール・ルージュ」(ピノ・ノワール1.35 ha)が代表格で、単一区画の表情を純粋に映し出した作品として高い評価を受けています。

グロワーとしてはガストン・シケ(Gaston Chiquet)が特に注目されます。家系の栽培史は1746年にまで遡り、1919年に現在のメゾンとして創業。オーヴィレール、ディジー、アイなど周辺村に計23 haの畑を持ち、年産約22万本。スペシャル・クラブ(特別仕様のボトルで提供される厳選ヴィンテージ)の生産者としても名を連ねています。

ディジーの名は662年の文書に「Villa Disiacum」として初めて登場します。ローマ系の姓「Decius」に由来するとされ、古代からの居住の歴史を物語ります。1801年まで単独の「Dizy」として存在していましたが、1881年に隣接するマジャンタと合併し「Dizy-Magenta」と改称。その後1965年にマジャンタが再び独立したことで、現在の「Dizy」という村名が復活しました。ドイツ・フランケン地方のワイン産地ゾマーラッハを姉妹都市とするなど、ワインを通じた国際交流も続いています。また村内の「ル・レオン(Le Léon)」という区画には、16世紀にローマ教皇レオ10世がアイのワインを好んだという伝説が伝わっており、この地のワインの歴史的名声の深さを今に伝えています。

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