Taissy / タイシー

タイシーは、シャルドネが約42%を占めるという、モンターニュ・ド・ランスでは異色の品種構成を持つプルミエ・クリュ村。グランド・モンターニュ・ド・ランスの斜面裾野に広がる北向きの緩斜面が、繊細な酸と果実味を兼ね備えたシャンパンを育てる。大都市ランスに接する立地に大手ティエノが本拠を構え、個性派グロワーも点在するこの村のシャンパンは、一口飲めばその「らしくなさ」が新鮮な驚きとなって記憶に刻まれる。

基本情報

地域圏(Région)Grand Est
県(Département)Marne
区(Arrondissement)Reims
郵便番号 : 51500
面積 : 11.53 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Cormontreuil, Reims, Trois-Puits, Saint-Léonard, Montbré, Puisieulx, Ludes, Rilly-la-Montagne,

「Taissy」のぶどう畑

テロワールMontagne de Reims
- Grande Montagne de Reims
格付け94% Premier Cru [?]
栽培面積149.3 ha
- Chardonnay62.5 ha (41.9%)
- Pinot Noir37.3 ha (25%)
- Pinot Meunier49.5 ha (33.2%)
- その他0 ha (0%)

特徴

タイシーのシャンパンを語る上で外せないのが、モンターニュ・ド・ランスらしからぬシャルドネの存在感だ。北向き斜面がゆっくりと熟成させたシャルドネは、コート・デ・ブランのものとは異なり、より丸みを帯びた果実味とほのかなブリオッシュ香を持つ。ピノ・ムニエの比率が高いことで、果実の柔らかさと早飲みしやすさも加わり、全体としては親しみやすいテクスチャーが特徴だ。 ティエノが手がけるブリュット・ノン・ヴィンテージは45%ものリザーヴワインを使用し、複雑さと安定感を両立。オリヴィエ・ブロシェの樽発酵シャルドネは、この村の酸の輪郭をより際立たせた個性派スタイルとして知られる。食中酒として多様な料理に合わせやすく、シャンパーニュ入門者が「次の一本」を探すときにも、愛好家が産地の多様性に気づく契機としても、どちらの飲み手にも応えてくれる懐の深さがある。

テロワール

タイシーのぶどう畑は、コミューン南西部のモンターニュ・ド・ランス斜面下部に集中し、北向きの緩やかな傾斜が続く。同じグランド・モンターニュ・ド・ランスの隣村ピュイジューグラン・クリュ)やリュードプルミエ・クリュ)が山の南東斜面に広がるのに対し、タイシーは斜面の下端に位置するため、標高は比較的低く、直射日光量は抑えられる。 この環境がもたらす最大の特徴は品種構成だ。モンターニュ・ド・ランスはピノ・ノワールの産地として知られるが、タイシーではシャルドネが全栽培面積の約42%(62.50 ha)を占め、ピノ・ムニエ(33%、49.50 ha)、ピノ・ノワール(25%、37.30 ha)の順で続く。北向き斜面の抑制された日照が、シャルドネの生育に適した温度帯と酸の保持を促した結果と見られる。 土壌はシャンパーニュ地帯に典型的なチョーク質石灰岩を基盤とし、表土には粘土と砂質ローム層が重なる。チョーク層が水分を蓄え、乾燥期でも根へ安定した水分補給を行うことで、収量の安定とミネラル感の発現を同時に実現している。北に大都市ランスを控え、都市化の影響を受けた地続きの地形でありながら、斜面下部の独自のテロワールがタイシーのシャルドネに端正な酸味と余韻の長さをもたらしている。

詳細

タイシーはグランド・モンターニュ・ド・ランスに属するプルミエ・クリュ村で、ランス市街地の南東に隣接する。コミューン総面積は1,153 ha、人口は約2,261人(2013年時点)で、住宅地とぶどう畑が連続する独特の景観を持つ。シャンパーニュ最大の都市ランスに接しているため、他の産地村と比べ交通・物流の利便性が高く、大手ネゴシアン・マニピュラン(NM)がセラーや施設を構えやすい立地として知られる。

周辺コミューンとの位置関係は以下のとおり。北にランス、西にトロワ=ピュイ(プルミエ・クリュ)、北西にコルモントライユ(プルミエ・クリュ)、南西にモンブレ(プルミエ・クリュ)、南東にピュイジューグラン・クリュ)、南にリュード(プルミエ・クリュ)、南西にリリー=ラ=モンターニュ(プルミエ・クリュ)。グラン・クリュのピュイジューと隣接しながらもプルミエ・クリュに格付けされており、エシェル・デ・クリュは白黒ともに94%だ。

テロワールの詳細

ぶどう畑はコミューン南西部に集中し、モンターニュ・ド・ランス斜面の下部にあたる北向きの緩斜面に展開する。斜面下端の立地ゆえに標高は比較的低く、南東向きの斜面が多い隣村ピュイジューやリュードと比べ日照量は控えめだ。この抑制された日照環境が、シャルドネの酸を保持しつつゆっくりと成熟させる条件を生み出している。 モンターニュ・ド・ランス全体ではピノ・ノワールが主役だが、タイシーではシャルドネが全栽培面積の約42%(62.50 ha)を占める。ピノ・ムニエが33%(49.50 ha)、ピノ・ノワールが25%(37.30 ha)と続き、この品種構成は同地区内でも異色の存在だ。土壌はチョーク質石灰岩を基盤とし、表土には粘土と砂質ロームが重なる。チョーク層の水分保持能力が安定した果実形成を支え、ミネラル感の発現にも寄与する。

主要生産者

ティエノ(NM)は1985年にアラン・ティエノが創業(2002年までシャンパーニュ・アラン・ティエノ名義)したネゴシアン・マニピュランで、タイシーに大規模施設、ランスにもセラーを構える。グループ・ティエノの中核メゾンとして、傘下にマリー・スチュアートカナール・デュシェーヌジョセフ・ペリエを抱える。ブリュット・ノン・ヴィンテージとロゼには45%という高率のリザーヴワインを使用し、熟成感と安定感を両立させるスタイルが特徴。ヴィンテージ品はシャルドネ50%・ピノ・ノワール50%のアッサンブラージュ。上位キュヴェには、ヴィンテージ・ブラン・ド・ブランの「キュヴェ・スタニスラス」、100%ピノ・ノワールの「キュヴェ・ガランス」、アヴィーズ産シャルドネのみを使ったトップキュヴェ「ラ・ヴィーニュ・オ・ギャマン」が揃う。

マリー・スチュアート(NM)は1994年にグループ・ティエノが取得した歴史あるメゾン。現在は独自施設を持たず、タイシーおよびランスのティエノ設備を共用している。トップキュヴェ「パッシオン・ダンヌ・レーヌ」はシャルドネ52%・ピノ・ノワール28%・ピノ・ムニエ20%の構成で、同グループの技術力が結集した一本だ。

また、キャティアモエ・エ・シャンドンもタイシーに畑を所有しており、大手メゾンのソース産地としても村のぶどうは重要な役割を担っている。

歴史

タイシーという地名はガロ=ローマン期に遡るとされ、住民の呼称「タイソタン/タイソティーヌ(Taissotins/Taissotines)」にその歴史の深さがうかがえる。ランス市街地との連続した都市化が進む一方で、南西斜面のぶどう畑は現代も丁寧に維持されており、都市近郊型テロワールとしての独自のアイデンティティを持ち続けている。大手NMから個性派RMまで33軒の生産者が集まるこの村は、シャンパーニュ産地の多様性を凝縮したような存在だ。

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「Taissy」を拠点とするシャンパン銘柄

参考情報