Mardeuil / マルドゥイユ

マルドゥイユは、エペルネ市街地に隣接しながら独自の畑景観を持つヴァレ・ド・ラ・マルヌ左岸の村。Autre Cruながら総栽培面積193haを超え、ピノ・ムニエが過半を占める一方でシャルドネが約30%と左岸の村では際立って高い比率を誇る。ビオディナミの実践者が手がけるリュー・ディ指定キュヴェから、地元協同組合が磨いてきた定番スタイルまで、一杯の中に多彩な顔が宿っている。

基本情報

地域圏(Région)Grand Est
県(Département)Marne
区(Arrondissement)Épernay
郵便番号 : 51530
面積 : 9.19 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Épernay, Cumières, Hautvillers, Damery, Vauciennes,

「Mardeuil」のぶどう畑

テロワールVallée de la Marne
- Vallée de la Marne Rive Gauche
格付け84% Autre Cru [?]
栽培面積193.9 ha
- Chardonnay59.1 ha (30.5%)
- Pinot Noir35.2 ha (18.2%)
- Pinot Meunier99.4 ha (51.3%)
- その他0.2 ha (0.1%)

特徴

マルドゥイユを代表するのは、ピノ・ムニエ(約52%)が主役のやわらかく果実味豊かなスタイル。赤い小果実や熟したリンゴを思わせるふくよかな香りが特徴で、口当たりはなめらかで親しみやすい。ここにシャルドネ(約30%)が加わることで、同地区の他のムニエ主体村にはない軽やかな酸と清涼感が生まれる。 ボーモン・デ・クレイエールの「Nostalgie」はシャルドネ65%でエレガントな方向性を示し、Vincent Charlot(Charlot-Tanneux)はビオディナミとオーク樽熟成で各リュー・ディの個性を際立たせる。果実の丸みとテクスチャーが豊かで、アペリティフにも食中にも寄り添いやすく、シャンパーニュ入門者から樽熟スタイルを探るマニアまで間口が広い。

テロワール

マルドゥイユの畑はエペルネ市街地の西側に連なる丘陵に広がり、その大半が緩やかな北向き斜面に位置する。標高は66〜210mと変化に富み、土壌は粘土石灰岩(クレイ・ライムストーン)が主体。北向き傾斜という条件は、日照時間をほどよく抑え、昼夜の温度差を生みやすい。これがピノ・ムニエの果実味を穏やかにまとめ、過熟感を抑える効果を持つ。 隣接するキュミエールやオーヴィレールはマルヌ川に面した南〜南東向き斜面が主流で、ピノ・ノワールやシャルドネに恵まれた日当たりを持つプルミエ・クリュ。それと比較すると、マルドゥイユの北向き地形はムニエ栽培への適性がより高く、歴史的にもムニエが主役となってきた背景がある。一方、「Beau Mont des Crayères」「La Genette」「Les Basses Ronces」といったリュー・ディには多様な向きと斜面位置があり、品種の組み合わせ次第でスタイルの幅を生み出せる土地でもある。気候データでは1991〜2020年の年平均気温11.4℃、年間降水量668.9mmと、シャンパーニュの中でも比較的温和な数値を示す。こうした北向き粘土石灰岩の環境が、ムニエに滑らかな酸味と果実の厚みをもたらしている。

詳細

マルドゥイユはエペルネ市街地から西へ約3kmに位置する、マルヌ川左岸(南側)の村。コミューン面積9.19 km²、人口は約1,457人(2023年)。東・南東でエペルネと、北でキュミエール・オーヴィレールと、西でダムリーと、北北東でヴォシエンヌとそれぞれ接する。エペルネ郊外の延長上にある村として、大手メゾンの畑が市境をまたいで広がるほど連続性が高い地帯でもある。

畑はエペルネ西側の丘陵に連なり、標高66〜210mの緩やかな北向き斜面が主体。土壌は粘土石灰岩で、マルヌ川と「フォース・マルヌ」が村内を流れる。隣接するキュミエール・オーヴィレール(ともにプルミエ・クリュ)が南向き斜面を主体とするのに対し、マルドゥイユの北向き地形は日照を抑えてムニエの生育に適した環境を生む。「Beau Mont des Crayères」「La Genette」「Les Basses Ronces」「La Dune」「Le Mont De Bon」など多彩なリュー・ディが認識されており、各区画の向きや標高の違いが品種選択と醸造スタイルに幅をもたらしている。

ボーモン・デ・クレイエール(Beaumont des Crayères)は1955年に設立されたコオペラティヴ・ドゥ・マニピュラシォン(CM)で、村を代表する存在。230人の組合員が合計86.49 haの畑を共同管理し、組合員畑の約3/4はエペルネ周辺の斜面に集中する。ブドウ構成はムニエ60%以上、シャルドネ25%、ピノ・ノワール15%。「Fleur de Meunier」「Fleur Blanche」などフルールシリーズを展開するほか、上位キュヴェ「Nostalgie」(シャルドネ65%・ピノ・ノワール30%・ムニエ5%)は協同組合ならではのブレンド技術を示す一本。村内の優良区画「Beau Mont des Crayères」にその名の由来を持つ。

  • Vincent Charlot(Charlot-Tanneux)(RM)— マルドゥイユ周辺に4.2 haを所有し、ビオディナミへ移行中。多くのキュヴェでオーク樽を使用。リュー・ディ指定キュヴェが充実しており、「L'Or des Basses Ronces」(シャルドネ100%)、「Le Rubis de la Dune」(ピノ・ノワール20%+ムニエ80%のロゼ)、「L'Écorché de la Genette」(ロゼ)、「L'Extravagant」(ブラン・ド・ブラン)などが代表作。
  • タヌー・メイ(Tanneux-Mahy)(RM)— アイ、エペルネ、マルドゥイユ、ヴェルヌイユに合計6.5 haを所有。リュット・レゾネを実践。シャルドネ75%+ピノ・ノワール25%の「Le Mont De Bon」は樽熟成・アグラフ留めで仕上げるこだわりの一本。「Les Ronces」も単一畑キュヴェとして展開。
  • ガメ(Philippe Gamet)(RM)— マルドゥイユ、ダムリー、フルーリー=ラ=リヴィエールに8.6 haを所有。ムニエ80%主体の構成が特徴。
  • エミール・ルクレール(Émile Leclère / Vincent Delouvin)(RM)— 12 haを管理し、ムニエ70%主体のラインナップを展開。
  • ジョアネス・リオテ・エ・フィス(Joannès-Lioté et Fils)(RM)— ブルソー、フルーリー=ラ=リヴィエール、マルドゥイユに8.6 ha。ムニエ61%を軸にした構成。
  • André Lenique(RM)— 5 haを所有し、ヴィニュロン・アンデパンダン(独立栽培家連合)の会員として活動。
  • 大手メゾンではモエ・エ・シャンドン、ドゥ・カステランヌ、アンリオがマルドゥイユに自社畑を保有し、ブレンド素材として活用している。

マルドゥイユの歴史は12世紀に遡る。1156年の記録にはエペルネの「集落(écart)」として7〜8軒が記載されており、1193年にはサン・フィアクルに捧げる礼拝堂が存在した。1693年にカンタベリーのトマス・ベケットに捧げる教区として独立し、1801年に初代市長が就任。1880年に市庁舎と学校棟が完成した。1911年のシャンパーニュ醸造家反乱では村に軍が駐留するなど、産地の歴史的な動乱に巻き込まれた。1955〜56年にはボーモン・デ・クレイエールが設立され(初仕込みは1958年)、村のシャンパーニュ生産の重要な拠点となった。第二次世界大戦中にはマルヌ川の橋梁が破壊され、アメリカ軍のP-38戦闘機が村上空で撃墜される被害を受けた。村民のアルベール・ディディエ夫妻はユダヤ人を匿い、のちにイスラエルから「国民の中の正義の人(Juste parmi les Nations)」として認定されている。

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「Mardeuil」を拠点とするシャンパン銘柄

CMBeaumont des Crayeres
ボーモン・デ・クレイエール
RMGamet
ガメ
RMJoannes Liote
ジョアネス・リオテ
RMEmile Leclere
エミール・ルクレール
RMCharlot Tanneux
シャルロ・タヌー
NMAurore Casanova
オーロール・カサノヴァ
NMecume
エキューム
RMBriaux Lenique
ブリオー・レニック
RMBlaise Lourdez & Fils
ブレーズ・ルーデ・エ・フィス
RMTanneux Mahy
タヌー・メイ
RMA. Fourny
A.フルニィ
RMTourneur Prieur
トゥールヌール・プリュール
RCMoncolin Lendrieux
モコラン・レンドリュ
RMGuy Cadel
ギイ・カデル
RMAndre Lenique
アンドレ・レニック
Pascal Etienne
パスカル・エティエンヌ
CMCharles Leprince
シャルル・ルプリンス
RMVincent Delouvin
ヴァンサン・ドロヴァン
RMEtienne Benard
エティエンヌ・ベナール
CMJacques Lorent
ジャック・ローレント
CMComte Stanislas
コム・スタニスラス
Jean Saint Omer
ジャン・サン・オメル
RMM. Guiborat & SES Fils
M.ギボラ・エ・SES・フィス
RMCharles Barbier
シャルル・バルビエ
RCCrepin Garnier
クレパン・ガルニエ
RMDaniel Guiborat
ダニエル・ギボラ
RCEdith & Bernard Dubois
エディット・エ・ベルナール・デュボワ
RMFranck Plancon
フランク・プラコン
RMGaillard Girot
ガイヤール・ギロ
RML. Albert Pere & Fils
L.アルベール・ペール・エ・フィス
RML. Albert Guichon
L.アルベール・グション
RMLeblond Mauchamp
ルブロン・モーシャン
RCMarcel Garnier
マルセル・ガルニエ
RMMichel Gaillot
ミシェル・ガイロ
RCPlancon & Fils
プラコン・エ・フィス
RCPrieur Delouvin
プリュール・ドロヴァン
RCRene Helliot
レネ・エリオット
NMFranck Ellner
フランク・エルネー
Vincent Charlot
ヴァンサン・シャルロ
Garnier Tryasson
ガルニエ・トリャソン
Desboeufs & Fils
デブフ・エ・フィス
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参考情報