Cuchery / キュシュリー

キュシュリーは、ピノ・ムニエが栽培面積の約80%を占めるヴァレ・ド・ラ・マルヌ・リヴ・ドロワの典型的なテロワールオートル・クリュながら、マルヌ川右岸の粘土質土壌が生む丸みと果実味豊かなスタイルは、名だたるブレンダーたちに重宝されてきた。バイオダイナミック農法の先駆者レジ・ポワシネが拠点を置く今、この村のムニエは新たな輝きを放っている。

基本情報

地域圏(Région)Grand Est
県(Département)Marne
区(Arrondissement)Épernay
郵便番号 : 51480
面積 : 7.03 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Belval-sous-Châtillon, Baslieux-sous-Châtillon, La Neuville-aux-Larris, Cœur-de-la-Vallée,

「Cuchery」のぶどう畑

テロワールVallée de la Marne
- Vallée de la Marne Rive Droite
格付け84% Autre Cru [?]
栽培面積142.2 ha
- Chardonnay11.3 ha (7.9%)
- Pinot Noir17.9 ha (12.6%)
- Pinot Meunier113 ha (79.5%)
- その他0 ha (0%)

特徴

キュシュリーのシャンパンは、ピノ・ムニエ主体のテロワールが生む豊かな果実味と柔らかな口当たりが最大の特徴だ。赤いベリーや桃を思わせるフルーティな香りに、粘土質由来のまろやかなテクスチャーが重なる。鋭いミネラル感よりも「包み込むような丸さ」が前面に出るスタイルで、食前酒として気軽に楽しめる一方、鶏肉のクリーム煮やソフトチーズとの相性も抜群だ。 レジ・ポワシネのCuvée Irizé(100%ピノ・ムニエ、半量樽醗酵)は、このテロワールの可能性を余すところなく表現した一本。マロラクティック発酵をあえて行わないMichel Dervinのスタイルはよりシャープで引き締まり、同じ村でも造り手によって全く異なる個性が楽しめる点が、キュシュリーをマニアが注目する理由のひとつだ。

テロワール

キュシュリーは、ルー・ド・ブルヴァルが刻む谷あいに広がるコミューンで、標高109mの低地から249mを超える丘陵まで変化に富んだ地形を持つ。畑は北側(ラ・ヌーヴィル=オー=ラリとの境)の南〜南西向き斜面と、南・南東側の緩やかな南向き斜面に分かれる。 土壌は第三紀起源の粘土・ローム(シルト質)が表土を形成し、その下にチョーク質の石灰岩が続く。コート・デ・ブランモンターニュ・ド・ランス南斜面のような純粋なチョーク質とは異なり、キュシュリーの粘土ロームはより保水力が高く、ピノ・ムニエの根系に適した環境を提供する。これがムニエ比率80%という際立った品種構成に直結している。 気候は温帯海洋性で、年間平均気温は10.5〜10.7°C、年間降水量は734〜749mm。北東パリ盆地気候区の影響を受けて日照はやや不足気味だが、降水は年間を通じて均等に分布し、ムニエの安定した成熟を支える。ちなみに隣接するベルヴァル=ス=シャティオンバリュー=ス=シャティオンとは丘陵の稜線を共有しており、斜面の向きと標高が微妙に異なることで、村内でも区画ごとのキャラクターに差が生まれる。粘土ロームとチョークの二層構造が、この地のムニエに特有の丸みと凝縮感をもたらしている。

詳細

キュシュリーヴァレ・ド・ラ・マルヌ右岸(リヴ・ドロワ)地区に属するコミューンで、エペルネから北西約17km、ドルマンから北東約18kmの位置にある。ルー・ド・ブルヴァルが刻む浅い谷に沿って村が形成されており、東のベルヴァル=ス=シャティオンからバリュー=ス=シャティオンへと流れる小川が村を横断する。コミューン面積は703 ha、人口は414人(2022年)。モンターニュ・ド・ランス地域自然公園の内に含まれ、周囲の丘陵は標高200mを超える。村内にはOrcourt(南東)、la Fréverge・Ménicourt(南)などのハムレットが点在し、北にラ・ヌーヴィル=オー=ラリ、東にベルヴァル=ス=シャティオン、西にバリュー=ス=シャティオンが隣接する。

テロワールの詳細

村の畑は南〜南西向きの北側斜面と、南向きの南・南東側緩斜面に二分される。表土は第三紀起源の粘土・ローム(シルト質)で、下層にチョーク質石灰岩が続く二層構造。コート・デ・ブランのほぼ純粋なチョーク土壌とは対照的に、保水力の高い粘土ロームがムニエの生育に理想的な環境を提供し、栽培面積の約80%をピノ・ムニエが占める品種構成に反映されている。主要区画として、村北北東に位置する南〜南東向きのLes Chemins de Champlat、村北の南向き斜面L'Olivière、村北北西の斜面上部Les Gautelleriesなどが知られ、いずれもAlbert Levasseurの単一畑キュヴェに使用されている。

主要生産者

キュシュリーで最も注目を集める造り手がレジ・ポワシネ(旧称Poissinet-Ascas)だ。キュシュリーを中心にバリュー=ス=シャティオンなど計7 haを管理し、2011年よりビオディナミ農法への転換を進めるヴィニュロン・アンデパンダン会員。2017年リリースのCuvée Irizé(100%ピノ・ムニエ、半量樽醗酵)はその集大成として高く評価されている。レコルタン・マニピュラン(RM)としてキュシュリーの個性を純粋に表現した仕事は、このアペラシオンの認知向上に大きく貢献した。

Albert Levasseur(アルベール・ルヴァスール)は2003年よりDavid Levasseurが運営する小規模RM。キュシュリー、シャティオン=シュル=マルヌフルーリー=ラ=リヴィエールに計4.2 haを持ち、Les Chemins de Champlatシャルドネを使ったBlanc de Terroir、L'Olivièreのピノ・ノワールを使ったNoir de Terroir、Les Gautelleriesの3品種ブレンドNV Rue du Sorbier(ピノ・ムニエ80%)など、区画の個性を前面に出した単一畑シリーズで知られる。

  • ポワスネ・アスカ(Poissinet Ascas)— レジ・ポワシネの旧称時代のブランド。現在はRégis Poissinetとして活動。
  • クロード・マンシエ(Florence Mancier運営)— ヴィンテージキュヴェを手がけるRM。現在はFlorence Mancierが引き継いで運営。
  • Arnaud Marlé — キュシュリーとヴァンテイユに2.14 haを持つRM。Cuvée Évasion(シャルドネ50%・ピノ・ノワール50%、樽醗酵)が代表作。
  • ミッシェル・デルヴィン(Michel Dervin)— 1983年創業のネゴシアン(NM)。約7.8 ha、年産6万本。マロラクティック発酵をあえて行わず、よりシャープで酸味のある引き締まったスタイルを追求する。
  • Gilbert Charbonnier — ジョニー・アリデーの楽曲名を冠したラベルで知名度を持つRM。
  • ボートン・エ・フィス(Beurton-Vincent)— キュシュリーとバリュー=ス=シャティオンに10 haを持つレコルタン・コオペラトゥール(RC)。均等ブレンドとプレスティージュの2種のミレジメを展開。
  • Coopérative Vinicole Cuchery — 村の協同組合(CM)。

歴史・背景

キュシュリーはタルドノワ(Tardenois)農業地域に属し、16世紀・18世紀にはla Fortesseと呼ばれるハムレットも存在した記録が残る。行政上は2015年以降、カントン・ド・ドルマン=ペイサージュ・ド・ラ・シャンパーニュに属する。栽培面積142 haに116もの生産者が密集するこの村は、マルヌ川右岸の典型的な小規模農家文化を今も色濃く残す。大手メゾンへの原料供給地としての歴史が長い一方、近年はレジ・ポワシネをはじめとするグロワーシャンパーニュの台頭により、キュシュリー単独のテロワール表現が国際的に注目されるようになっている。クール=ド=ラ=ヴァレーを含む周辺コミューンとともに、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ右岸の個性を担う産地として、今後さらなる評価の向上が期待される。

詳細を閉じる

「Cuchery」を拠点とするシャンパン銘柄

参考情報