Dormans / ドルマン

ドルマンはヴァレ・ド・ラ・マルヌ・リヴ・ゴーシュ最西端に位置し、オートル・クリュ格付けながら346haを超える広大な栽培面積を誇る。その87%超をピノ・ムニエが占める「ムニエの里」で、148軒もの造り手が個性豊かなシャンパンを生み出している。

基本情報

地域圏(Région)Grand Est
県(Département)Marne
区(Arrondissement)Épernay
郵便番号 : 51700
面積 : 22.58 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Igny-Comblizy, Courthiézy, Vincelles, Verneuil, Troissy, Trélou-sur-Marne, Vallées en Champagne,

「Dormans」のぶどう畑

テロワールVallée de la Marne
- Vallée de la Marne Rive Gauche
格付け83% Autre Cru [?]
栽培面積346.9 ha
- Chardonnay17.7 ha (5.1%)
- Pinot Noir26.6 ha (7.7%)
- Pinot Meunier302.6 ha (87.2%)
- その他0 ha (0%)

特徴

ドルマンのシャンパンはピノ・ムニエ主体ならではの、フレッシュな赤い果実や桃、白い花のアロマが特徴的だ。石灰質土壌のエペルネ周辺に比べて粘土質由来の丸みと果実の凝縮感があり、飲みやすいNVスタイルから骨格のあるヴィンテージ・キュヴェまで幅広い。コミューン内の集落名を組み合わせた「ヴァシュー=ドルマン」など固有のラベル表記が多く、村ごとのアイデンティティを大切にした小規模RM・RCの造りに触れたいワインラヴァーに向いている。

テロワール

ドルマンはマルヌ川の左岸(南側)、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ最西端部に位置し、マルヌ県とエーヌ県の境界に接する。標高は62〜250mと幅広く、川沿いの低地(65〜100m)から南部の高台(230〜250m)まで多様な地形が広がる。 畑は北向き・北西向き・北東向きの斜面が主体で、斜面はマルヌ川から南へと急速に立ち上がる。土壌の最大の特徴は粘土質(アルジル)の強さにある。東方の石灰岩主体の産地とは対照的で、西方向に向かうほど粘土・砂・石灰岩・泥灰岩(マール)の地層が発達し、アルジロ=カルケール(粘土石灰質)へと変化する。東側のトロワシーやイニ=コンブリジーと比べても、粘土分の多さが際立つ。 この重い粘土質土壌は水分保持力が高く、遅霜リスクのある北向きの低地斜面でも安定して成熟できるピノ・ムニエにとって理想的な環境を提供している。

詳細

ドルマンはマルヌ県最西端に位置し、エーヌ県境に接するヴァレ・ド・ラ・マルヌ左岸の村だ。エペルネからマルヌ川沿いに約25km下流、シャトー=ティエリから約22km上流にあり、RN3号線とパリ=ストラスブール鉄道が通る交通の要衝でもある。行政上は本村のほかトライ(Try)、ヴァシュー(Vassieux)、ヴァッシー(Vassy)、シャンパイエ(Champaillet)、シャヴノ(Chavenay)、ソワイイ(Soilly)など6つの集落を含み、村域は2,258haに及ぶ。クルティエジーは南西、ヴァンセルとヴェルヌイユは川を挟んだ右岸(北側)に隣接し、トレルー=シュル=マルヌとヴァレー=アン=シャンパーニュが北西・南東でそれぞれ接する。

テロワールの核心は粘土質優位の土壌にある。シャンパーニュのなかでも西方に位置するドルマン一帯では、石灰岩より粘土・砂・泥灰岩(マール)の地層が卓越し、アルジロ=カルケール(粘土石灰質)の土壌が広がる。北向き・北西向きの斜面が多く、マルヌ川から南側へ急上昇するコトー(斜面)上に集落と畑が展開する。こうした環境はピノ・ムニエの独壇場となっており、栽培面積346.90haのうち302.60ha(87.2%)をピノ・ムニエが占める。シャルドネは17.70ha(5.1%)、ピノ・ノワールは26.60ha(7.7%)にとどまる。148軒という多数の生産者がひしめく活気あるコミューンだが、その多くは地元消費者や専門店向けに少量生産を行うRM・RCの造り手だ。

ドルマンを代表する生産者のひとりがYves Barbarayだ。ヴィニュロン・アンデパンダン会員として2003年に独立したレコルタン・マニピュラン(RM)で、独立以前はモエ・エ・シャンドンへのブドウ供給者だった。自社畑で収穫したブドウから醸造に転換し、ソワイイの地名を冠したヴィンテージ・キュヴェ「Cuvée Soilleuse」が看板商品となっている。大手への原料供給から自社ブランドへの転身という経歴は、このエリアのRM台頭を象徴している。

もうひとつ注目すべきはBetouzet Brugneau(RC)で、12haの自社畑からピノ・ムニエを軸にシャルドネ・ピノ・ノワールを組み合わせたヴィンテージ・ラインを展開する。「プレスティージュ」(シャルドネ40/ピノ・ノワール40/ピノ・ムニエ20)と「グラン・ヴィンテージ」(三品種均等ブレンド)の2種を手がけ、ムニエ主体のドルマンではやや珍しい多品種均等ブレンドのスタイルを追求している。

  • Jil Accariès(RC)— 17haの大規模グロワー。ピノ・ムニエ12ha、シャルドネ3ha、ピノ・ノワール2haを栽培し、ドルマン内では有数の規模を誇る。
  • Joel Coche(RM)— 8ha。ドルマンのキュヴェのほか、オーブ産のブジー・ルージュも手がける個性派RM。

歴史的には、ドルマンはシャンパーニュを代表する軍事・政治の要衝だった。930年頃に最初の城が築かれ、10世紀にはシャンパーニュ伯爵領の一部に組み込まれた。14世紀にジャン・ドゥ・ドルマン枢機卿が建設した城(現在のシャトー・ドゥ・ドルマン)は無償教育の学校を設け、1370年にパリでコレージュ・ドゥ・ボーヴェを開設——これがのちのリセ・ルイ=ル=グランの前身となった。1575年の「ドルマンの戦い」ではギーズ公アンリが顔に傷を負い「バラフレ(傷顔)」の異名を得た戦場となった。二度の世界大戦では甚大な被害を受け、特に1914年の第一次マルヌ会戦と1918年の第二次マルヌ会戦でクロワ・ドゥ・ゲール(戦争十字章)を二度授与されている。城のパークに設けられた「マルヌ会戦記念館(Mémorial des batailles de la Marne)」はユネスコ世界遺産の一部として登録されており、ワイン産地としての顔とともに歴史の深さを今に伝えている。

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