Château-Thierry / シャトー=ティエリ

シャトー=ティエリは、寓話作家ラ・フォンテーヌの生地として名高い歴史都市でありながら、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ・ウエスト最大の町でもあるオートル・クリュの産地。畑の6割超をピノ・ムニエが占め、西マルヌ渓谷らしいフルーティで親しみやすいスタイルが生まれる一方、地元を代表するパニエはシャルドネ主体という個性派——一つの村で二つの顔が楽しめる。

基本情報

地域圏(Région)Hauts-de-France
県(Département)Aisne
区(Arrondissement)Château-Thierry
郵便番号 : 02400
面積 : 16.55 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Bézu-Saint-Germain, Verdilly, Épaux-Bézu, Étrépilly, Bouresches, Brasles, Chierry, Étampes-sur-Marne, Nogentel, Essômes-sur-Marne,

「Château-Thierry」のぶどう畑

テロワールVallée de la Marne
- Vallée de la Marne Ouest
格付け80% Autre Cru [?]
栽培面積44.4 ha
- Chardonnay7 ha (15.8%)
- Pinot Noir10.5 ha (23.6%)
- Pinot Meunier26.9 ha (60.6%)
- その他0 ha (0%)

特徴

シャトー=ティエリのシャンパンはピノ・ムニエ主体のスタイルが基本軸。熟した赤い果実やプラム、スパイスのニュアンスが前に出やすく、タニックな骨格より丸みと果汁感が勝る。長期熟成よりも若いうちから楽しめる設計で、デイリーシャンパンとして食卓に気軽に並べられる。 その対極に立つのがパニエで、シャルドネ40%・ピノ・ノワール30%・ピノ・ムニエ30%という配合の「ブリュット・セレクション」はこの地の品種主役を意図的に脇に回した造り。果実の丸みを残しながらもクリスピーな酸を持ち、アペリティフから魚介料理まで幅広く合わせられる。ピノ・ムニエ好きにはグロワーのDidier Miraultによるヴィンテージ作品が好奇心に応えてくれる。

テロワール

シャトー=ティエリのブドウ畑は、コミューン南西部(エソーム=シュル=マルヌとの境界付近)と北西部の2か所に分布し、斜面は南西向きから南東向きにかけての緩やかな傾斜をなしている。マルヌ川右岸の河川沿いに市街地が広がり、畑はその縁に沿って点在する地形が特徴だ。 エペルネーから約45km西に位置し、パリから約85kmというヴァレ・ド・ラ・マルヌ西端の立地は、大西洋からの湿潤な気候の影響を受けやすく、東部のコミューンより温暖で降雨量が多い傾向にある。エシェル・デ・クリュは白黒ともに80%で、典型的なオートル・クリュ圏にあたる。 総栽培面積は44.40haで、ピノ・ムニエ26.90ha(61%)、ピノ・ノワール10.50ha(24%)、シャルドネ7.00ha(15%)という品種構成は西マルヌ渓谷の典型。1997年時点の34haから2018年時点43.9haへと着実に拡大しており、産地としての存在感が増している。川沿いの沖積土壌と粘土質の斜面土壌がピノ・ムニエの豊かな果実表現を支え、早熟で飲み頃を迎えやすいシャンパンの素地をつくっている。

詳細

シャトー=ティエリはヴァレ・ド・ラ・マルヌの最西端部、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ・ウエストに属するシャンパーニュの村の中では最大規模の都市だ。マルヌ川右岸に市街地の大部分を持ち、西の主要都市メオーとエペルネのほぼ中間点に位置する。パリから約85km、エペルネから約45km、ランスから約51km。行政区分はエーヌ県・オー=ド=フランス地域圏だが、ブドウ畑はシャンパーニュAOCの管轄内にある。コミューン面積は1,655ヘクタール、人口は約15,097人(2023年)と、周辺の農村型コミューンとは一線を画す都市規模を持つ。

隣接するシャンパーニュ村との関係は密接で、右岸(北側)にはブラスルとエソーム=シュル=マルヌ、左岸(南側)にはシエリ、エタンプ=シュル=マルヌ、ノージャンテルが連なる。これらとシャトー=ティエリはいずれもピノ・ムニエを主軸とする西マルヌ渓谷のコミューン群を形成している。

テロワール

ブドウ畑はコミューン南西部のエソーム=シュル=マルヌとの境界付近および北西部の2か所に集中し、斜面は南西〜南東向きの緩傾斜。川沿いの沖積土壌と粘土混じりの丘陵土壌が組み合わさり、ピノ・ムニエの成熟を安定して促す環境にある。西端の立地ゆえ大西洋性気候の影響を受けやすく、シャンパーニュ東部より温暖で雨量が多い。エシェル・デ・クリュ80%のオートル・クリュだが、総栽培面積44.40haは地区内でも有数の規模で、協同組合Covamaを通じてシャンパーニュ全体のピノ・ムニエ供給を支える役割を果たしている。

主要生産者

パニエ(Pannier)はシャトー=ティエリを代表するメゾンであり、背後にあるCovama(Coopérative Vinicole de la Vallée de la Marne)の主力ブランドだ。1899年にルイ=ウジェーヌ・パニエがディジーで創業し、その後シャトー=ティエリに移転。1971年にCOVAMAが買収した。COVAMAは1963年設立の大規模協同組合で、加盟メンバー450軒以上・ブドウ畑650ha超を擁し、ジャカールやモントードンの運営にも携わるAlliance Champagne UCC傘下に属する。パニエのノン・ヴィンテージ「ブリュット・セレクション」はシャルドネ40%・ピノ・ムニエ30%・ピノ・ノワール30%で、地元のピノ・ムニエ優位の品種構成とは異なるバランスを意図的に選んでいる点が特徴的だ。

  • Didier Mirault:シャルドネ・ピノ・ムニエ・ピノ・ノワール各1/3ずつのヴィンテージ・シャンパンを手がけるRM。三品種均等配合という独自のスタイルで、2009年ヴィンテージが参照例として知られる。
  • Covama(COVAMA):前述の大規模協同組合。設立当初の名称は「Coopérative Vinicole de Champagnisation des Coteaux du Val du Marne」で、7軒・12haからスタートし1971年にパニエを買収、1979年に年間140万本製造体制へ拡大した。

歴史

古代ローマ末期、ソワソン=トロワ街道とマルヌ川の交差点に「オトムス(Otmus)」という小集落が成立したのが起源。8世紀にカール・マルテルがメロヴィング朝の王テウデリク4世をここに幽閉したことから「Castrum Theodorici(テウデリクの城)」と呼ばれ、これがフランス語の「Château-Thierry(ティエリの城)」へと変化した。946年にはヴェルマンドワ家がこの城に居住し、1290年代にはシャンパーニュ伯爵夫人のナバラ女王ジャンヌ1世がフランス王フィリップ4世と結婚して「王室の地」となった。1429年にはジャンヌ・ダルクが無血開城を果たしている。

1621年には寓話作家ジャン・ド・ラ・フォンテーヌがこの地で誕生し、生家は現在「ミュゼ・ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ」として公開されている。近代では1814年のナポレオン戦争(プロイセンとの戦闘)、1918年の第一次世界大戦西部戦線での激戦地となり、フランスで名誉軍団十字章(Légion d'honneur)を授与された64都市のひとつに名を連ねる。ワイン産地としての歴史と、文学・軍事史が重なる稀有な町の背景が、シャトー=ティエリのシャンパンに独特の文脈を与えている。

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「Château-Thierry」を拠点とするシャンパン銘柄

参考情報