Cuis / キュイ

キュイは、コート・デ・ブランのプルミエ・クリュでありながら、白ぶどう95%・黒ぶどう90%と品種によって格付け比率が異なる、シャンパーニュでも珍しい村です。栽培面積の96%超をシャルドネが占め、北向き斜面が生み出す鋭い酸味とミネラル感は、南向きのグラン・クリュ村とは一線を画すクリアで繊細な味わいを実現しています。その個性を最もよく体現するピエール・ジモネのシャンパンは、一口飲めばキュイの説得力がわかります。

基本情報

地域圏(Région)Grand Est
県(Département)Marne
区(Arrondissement)Épernay
郵便番号 : 51530
面積 : 8.27 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Chouilly, Pierry, Cramant, Mancy, Monthelon, Grauves,

「Cuis」のぶどう畑

テロワールCôte des Blancs
格付け blanc:95%,noir:90% Premier Cru [?]
栽培面積176.3 ha
- Chardonnay169.6 ha (96.2%)
- Pinot Noir0.1 ha (0.1%)
- Pinot Meunier6.3 ha (3.6%)
- その他0.3 ha (0.2%)

特徴

キュイのシャルドネから生まれるブラン・ド・ブランは、同じコート・デ・ブランのグラン・クリュと比べると、果実のボリュームよりも「切れ味」が前面に出るスタイルです。白い花やグリーンアップルのアロマに、石灰岩を舐めたような鮮烈なミネラル感が重なり、口に含むと細かい泡と引き締まった酸が一直線に伸びます。クラマンやシュイィのリッチさとは異なる、透明度の高い味わいといえます。 ピエール・ジモネの「ガストロノーム」はこのスタイルを象徴するキュヴェで、生牡蠣やシェーヴル(山羊乳チーズ)、白身魚のカルパッチョといった素材の繊細さを引き立てる食中酒として機能します。ワインに飲み慣れてきた頃に「テロワールの違いを感じてみたい」と思ったとき、キュイはコート・デ・ブランの入門として最適な選択肢になります。

テロワール

キュイのぶどう畑は、総栽培面積176ヘクタールのうち169ヘクタール超をシャルドネが占め、コート・デ・ブランでも際立った品種純度を誇ります。特筆すべきは斜面の向きです。コート・デ・ブランのグラン・クリュ村—東に隣接するシュイィや南東のクラマン—が概して東〜南東向きの斜面で日照を最大限に取り込むのに対し、キュイの畑は北東・北・西向きが主体です。この方向の違いが、果実の熟度よりも酸の保持を優先する気候条件を生み出します。 畑の分布は村の北側にある小さな森の周囲と、クラマン〜シュイィ間の平坦地付近に広がります。土壌はコート・デ・ブランに共通するベロン系白亜岩質が基盤ですが、北向き斜面では日照量が抑えられ、ぶどうの完熟に時間がかかるぶん酸味の輪郭がより鮮明に仕上がります。南側のグローヴ(プルミエ・クリュ)とは地形的に連続しながらも、このわずかな向きの差が果実のニュアンスに違いをもたらします。白亜質土壌の高いミネラル保持力と北向き斜面の冷涼さが組み合わさることで、キュイのシャルドネには独特の張りのある酸と鉱物的な余韻が刻み込まれます。

詳細

キュイはコート・デ・ブランの北端に位置し、エペルネの南南東約5kmにあるプルミエ・クリュのコミューンです。エペルネとコート・デ・ブランの各村を結ぶD10道路が斜面下を走り、周囲には東にシュイィ(グラン・クリュ)、南東にクラマン(グラン・クリュ)、南にグローヴ(プルミエ・クリュ)、北西にピエリー(プルミエ・クリュ)、西にモンテロン、南西にマンシーが隣接しています。コミューンの総面積は827ヘクタール、人口は約400人ほどの小さな農村です。

テロワールの核心は、コート・デ・ブラン特有の白亜質土壌と、グラン・クリュ各村とは異なる北東〜北〜西向きの斜面にあります。この斜面方向は日照量を抑え、ぶどうの熟成ペースをゆるやかにします。結果として酸度が高く保たれ、ミネラル感の強いシャルドネが育ちます。主な単一畑(リュー・ディ)には、Basses Vignes、Blancs Chiens、Bourgs、Croix Blanche、Les Rouallesがあります。

キュイを代表する生産者はピエール・ジモネ(Pierre Gimonnet & Fils、RM)です。ピエール・ジモネが1930年代に自家醸造を始め、息子ミシェルを経て、現在はオリヴィエとディディエのジモネ兄弟が運営しています。所有畑の合計は28ヘクタールで、そのうちキュイに14ヘクタール、クラマンとシュイィに11ヘクタール、オジェに1ヘクタール、ヴェルテュに2ヘクタールと、コート・デ・ブランを中心に畑を持ちます。年産約25万本。ラインナップには、フレッシュなスタイルの「ガストロノーム」、ヴィノースな「フルロン」、ノー・ドザージュの「エノフィル」、主にクラマンの古木を使う「スペシャル・クラブ」が揃い、キュイらしいミネラル主体の軽快なスタイルを軸としながら多彩な表情を見せます。スペシャル・クラブの生産者としても認定されています。

ラルマンディエ・ペール・エ・フィス(Larmandier Père et Fils、RM)もキュイを代表するグロワーです。クラマン、シュイィ、キュイに畑を持ち、年産約2万本。プルミエ・クリュの「ペルレ・ド・ラルマンディエ」とスペシャル・クラブ(グラン・クリュ)を展開しています。ジモネ家とは姻戚関係にあり、キュイの栽培コミュニティにおいて長い歴史を共有しています。

  • ティエリー・ブルモー(Thierry Bournault、RM):4.5ヘクタールの畑を所有し、2004年から自社ブランドで生産を開始。
  • ジャン・ジモネ(Jean Gimonnet、RM):ジモネ家の別系統の生産者。
  • マリー・ル・ブラン(Marie-Le Brun、RM):4ヘクタールのシャルドネを栽培し、プルミエ・クリュおよびグラン・クリュの畑から生産。
  • ジャン・クロード・ヴァロワ(Jean-Claude Vallois、RM):キュイの独立生産者。
  • キュイ醸造協同組合(Coopérative Vinicole de Cuis、1947年設立):「ド・ブレモン(De Blémond)」ブランドでシャンパンを販売。村の協同醸造の拠点として地域栽培農家を支えています。

キュイの畑はビルカール・サルモン、ボランジェ、モエ・エ・シャンドンといった大手メゾンも所有しており、グラン・クリュ隣接村として大手の原料調達地としても機能しています。

キュイという地名の起源はラテン語のCuneus(楔形の土地)に由来するとされ、斜面と平坦地が入り組んだ地形を反映しています。旧エシェル・デ・クリュ制度において、キュイは白ぶどう95%・黒ぶどう90%と品種によって異なる格付け率が設定された数少ない村のひとつでした。これはシャルドネ主体のコート・デ・ブランにありながらピノ系品種の栽培も一定量あることを示しており、現行のプルミエ・クリュ認定にもこの複合的な評価が引き継がれています。

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「Cuis」を拠点とするシャンパン銘柄

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