Chavot-Courcourt / シャヴォ=クルクール

シャヴォ=クルクールは、エペルネ南西のなだらかな斜面に、ピノ・ムニエとシャルドネが肩を並べる異色のコミューン。格付けはオートル・クリュ(エシェル88%)ながら、粘土と白亜が交差する複雑な土壌から、自然派の旗手ラエルト・フレールが「15のテロワール」を識別するほど個性豊かな畑が広がる。無名ゆえに掘り出し物が多く、グロワーたちの挑戦的なキュヴェを探すならここから始めたい。

基本情報

地域圏(Région)Grand Est
県(Département)Marne
区(Arrondissement)Épernay
郵便番号 : 51530
面積 : 4.42 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Moussy, Vinay, Brugny-Vaudancourt, Monthelon, Morangis,

「Chavot-Courcourt」のぶどう畑

テロワールVallée de la Marne
- Côteaux Sud d'Epernay
格付け88% Autre Cru [?]
栽培面積124.6 ha
- Chardonnay56.6 ha (45.4%)
- Pinot Noir6 ha (4.8%)
- Pinot Meunier61.7 ha (49.5%)
- その他0.3 ha (0.2%)

特徴

栽培面積の約半分をピノ・ムニエが占め、シャルドネが約45%を占める構成は、シャンパーニュの中でも珍しいバランスだ。粘土質土壌で育つムニエは、果実の甘みと奥行きが際立ち、マルヌ渓谷の豪快なムニエとも異なる柔らかな質感を持つ。一方のシャルドネはコート・デ・ブランのキリッとした緊張感よりも丸みが強く、白い花や熟した柑橘を思わせる風味が特徴的だ。 ラエルト・フレールの「レ・ヴィーニュ・ドートルフォワ」は複数のリュー・ディのムニエやシャルドネをアッサンブラージュした代表作で、ドザージュ(糖分添加量)を最小限に抑えた仕上がりが、土壌の個性をそのまま伝えてくる。ナチュラルワインの感覚で自然派シャンパンを探している人や、「グラン・クリュ以外に何かないか」と感じ始めたシャンパン好きが次に手を伸ばすべき一本が、ここには揃っている。

テロワール

シャヴォ=クルクールの畑は、ル・キュブリ川が刻む谷の南側斜面に集中し、斜面方位は北向きから北東向きが優勢だ。コート・デ・ブランのように南向きの日照を存分に受ける立地ではなく、より冷涼な条件が酸味の保持に寄与する。 土壌構成がこのコミューンの最大の特徴で、コート・デ・ブランとは明確に異なる。地下には軟質の白亜(チョーク)層が存在するが、その上を覆う粘土層の厚さが50 cm〜1 mと変動し、粘土中にはシレックス(火打石)、石灰岩、片岩、マールが混在する。コート・デ・ブランの硬質チョークが一様に続く地層とは対照的に、ここでは畑ごとに石灰質優勢エリアと粘土石灰質エリアが入り組んでおり、同じ村内で複数の品種が高品質に育つ理由となっている。標高は102 mから241 mまで変化し、標高200 m以上は概ね森林に覆われるため、ブドウ畑は斜面の中腹から谷側に収まる。 隣接するムーシーやブリュニー=ヴォダンクールの畑とも連続しており、この粘土白亜質土壌の帯がコトー・シュッド・デペルネ地区全体を特徴づけている。土壌由来のアーシーなミネラルと、白亜が与える酸の骨格が共存することで、シャルドネにもムニエにも独自の表情が宿る。

詳細

シャヴォ=クルクールはヴァレ・ド・ラ・マルヌ広域地区内のコトー・シュッド・デペルネ(Côteaux Sud d'Épernay)地区に属し、エペルネ市街地から南西に数キロの丘陵地帯に位置する。コミューン面積は約442 ha(4.42 km²)で、ル・キュブリ川が刻む谷の南側斜面にブドウ畑が広がる。人口は約340人(2023年)とごく小規模で、エペルネ都市圏の郊外コミューンに分類される。

コミューンは複数のハムレットから構成されており、北東部の「シャヴォ」地区に主要なブドウ畑と教会が集中し、中央部の「クルクール」との二核構造を成す。北にムーシー、西にブリュニー=ヴォダンクール、東にモンテロン、南にモランジ、北西にヴィネが隣接する。ブドウ畑はこれらの村々の畑と連続しており、コトー・シュッド・デペルネ地区の一体的な丘陵景観を形成している。

このコミューンのテロワールを他地区と区別する最大の要因は土壌の多様性だ。地下には白亜(チョーク)層が存在するが、表土を覆う粘土層の厚さと組成が畑ごとに異なる。コート・デ・ブランの均一な硬質チョークとは異なり、ここでは粘土にシレックス(火打石)、石灰岩、片岩、マールが混在し、石灰質優勢エリアとしっとりした粘土石灰質エリアが入り組む。斜面方位は北向きから北東向きが優勢で、コート・デ・ブランの南向き斜面に比べ冷涼な条件となるが、それが鮮度のある酸の保持に貢献する。ラエルト・フレールのオーレリアン・ラエルトが「シャヴォ村内だけで15種類のテロワールが識別できる」と語るほど、畑の個性は細かく分化している。

このコミューンで最も注目される生産者がラエルト・フレール(Laherte Frères)だ。コトー・シュッド・デペルネを代表するグロワー系NMで、7代目のオーレリアン・ラエルトが主導し、シャヴォ=クルクールを中心に10ヶ村に合計10 ha超の畑を分散所有する。全畑でバイオダイナミック農法(ビオディナミ)を実践し、リュー・ディごとに独立してヴィニフィケーションを行う。代表キュヴェ「レ・ヴィーニュ・ドートルフォワ」はシャヴォ内の複数区画のシャルドネとムニエを使用し、「ロゼ・ド・セニエ・レ・ボーディエ」はリュー・ディ「レ・ボーディエ」の1953・1958・1965年植えの古樹ムニエから造られるロゼで、どちらもドザージュを極力抑えた自然派スタイルが特徴だ。「レ・セット」は7品種(シャンパーニュAOCの認定外品種も含む)を使用するという野心的なキュヴェで、自然派シャンパンの文脈で国際的な注目を集めている。

ディオジェーネ・ティシエ・エ・フィスは1931年創業の老舗で、シャヴォ=クルクールを中心に約9 haを保有し、年間約12万本を生産する。同家の孫娘イザベル・ユベールとパトリック・ラヴォールが1999年に設立したラヴォール・ユーベルも、同村を拠点とする注目の小規模生産者だ。

コミューンの歴史は先史時代にさかのぼる。新石器時代にはシャヴォ台地に磨製石斧が残され、ガリア人はモン・フェリックスの頂上に狼煙台を設置していた。952年には木製の城塞が建設されモン・フェリックス城主領の中心地となったが、12世紀に破壊された。1108年創建のエグリーズ・サン=マルタン・ド・シャヴォ教会はブランシュ・ド・カスティーユ王妃の援助で改修されたと伝わり、1567年のユグノー戦争中にコンデ公の軍勢によって焼かれた後、1579年に再建されている。現在のコミューン名「シャヴォ=クルクール」は、1852年7月9日にヴォダンクールの一部を吸収した際にナポレオン3世が大統領時代に調印した決定によって正式に取得された。格付けこそオートル・クリュにとどまるが、自然派・グロワー志向の高まりの中で、このコミューンの再評価は静かに進んでいる。

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