Jouy-lès-Reims / ジュイ=レ=ランス

ジュイ=レ=ランスは、プティット・モンターニュ・ド・ランスに属するプルミエ・クリュの村でありながら、シャンパーニュでほぼ忘れられていた希少品種を現代に復活させた産地として知られます。主力はピノ・ムニエですが、アルバンヌプティ・メリエなど古代品種が混醸された個性的なキュヴェは、他のどの村でもなかなか味わえません。

基本情報

地域圏(Région)Grand Est
県(Département)Marne
区(Arrondissement)Reims
郵便番号 : 51390
面積 : 1.86 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Les Mesneux, Ville-Dommange, Pargny-lès-Reims, Bouilly,

「Jouy-lès-Reims」のぶどう畑

テロワールMontagne de Reims
- Petite Montagne de Reims
格付け90% Premier Cru [?]
栽培面積95.6 ha
- Chardonnay14.5 ha (15.2%)
- Pinot Noir29.7 ha (31.1%)
- Pinot Meunier50.3 ha (52.6%)
- その他1.1 ha (1.2%)

特徴

ジュイ=レ=ランスのシャンパンは、ピノ・ムニエが主軸となる村らしく、赤い小果実の親しみやすい果実香と柔らかな口当たりが基調となります。そこに、アルバンヌやプティ・メリエが加わると蜜と白い花のニュアンスが層を成し、単品種では表現しにくい複雑なアロマが生まれます。オブリの「ル・ノンブル・ドール」のように7品種をブレンドしたキュヴェは、どこかひとつの品種に収まらない多声的な味わいを持ち、飲み手に次の一口を促し続ける引力があります。希少品種に興味を持ちはじめたシャンパン愛好家にとって、ジュイ=レ=ランスは手がかりとして最適な村といえます。

テロワール

ジュイ=レ=ランスの畑は、モンターニュ・ド・ランス北側の丘陵地帯に広がり、主に北東向きの斜面に展開します。総栽培面積は約95ヘクタールで、隣接するレ=メヌーヴィル=ドマンジュと同じく東向き〜北東向きの傾斜地が中心ですが、南西部ではブイイ、ヴィル=ドマンジュとの境界に近い区画も存在し、方位の振れ幅が生産者に選択肢を与えています。 品種構成はピノ・ムニエが約53%を占め、ピノ・ノワール(約31%)、シャルドネ(約15%)が続きます。プティット・モンターニュに典型的な石灰質土壌を基盤としながら、丘の北面ゆえに冷涼な微気候が維持されやすく、酸がしっかりと残るブドウが育ちます。日照の穏やかな斜面はピノ・ムニエの完熟を程よく制限し、果実の凝縮感よりも軽やかな果実香と鮮度を際立たせます。「その他」品種が1ヘクタール強残るのも、この村の冷涼な気候がアルバンヌやプティ・メリエの生育に向くためであり、古代品種の個性を引き出すうえでテロワールの素性が大きく働いています。

詳細

ジュイ=レ=ランスはランス市街の西南西約15キロメートル、プティット・モンターニュ・ド・ランスの中腹に位置するプルミエ・クリュ村です。コミューン総面積は約186ヘクタールで、その半数以上がブドウ畑に充てられています。北北西にパルニー=レ=ランス(プルミエ・クリュ)、東にレ=メヌー(プルミエ・クリュ)、南南東にヴィル=ドマンジュ(プルミエ・クリュ)と、プルミエ・クリュ村に囲まれた立地で、ヴァレ・ド・ラ・ヴェスルヴァレ・ド・ラルドルが接するエリアの一角を占めます。人口は200人余りと小さな村ですが、栽培面積はプティット・モンターニュの中では比較的まとまった規模を持ちます。

テロワールと品種構成

ブドウ畑はモンターニュの北東向き斜面が主体で、冷涼な微気候のもと酸が豊かに残るブドウが育ちます。品種構成はピノ・ムニエが約53%と過半を占め、ピノ・ノワールが約31%、シャルドネが約15%と続きます。ピノ・ムニエ主体という点はプティット・モンターニュ全体の傾向に沿いますが、ジュイ=レ=ランスが他の周辺村と一線を画するのは、1.1ヘクタールほど残る「その他」品種の存在です。アルバンヌプティ・メリエピノ・グリといったシャンパーニュ古代品種がここで栽培されており、これはオブリが1989〜1990年に同地への植栽を開始したことに端を発します。村南西部の単一区画「ロディトゥール(l'Auditeur)」は、ブイイおよびヴィル=ドマンジュとの境界付近に位置し、シャルドネ主体の特別なキュヴェ向けに使われています。

主要生産者

この村を語るうえで欠かせないのがオブリ(Aubry)です。1790年からの歴史を持つ家族経営のRMレコルタン・マニピュラン)で、現在はピエールとフィリップ兄弟が運営しています。ヴィル=ドマンジュ、パルニー=レ=ランス、ジュイ、そしてクロムにわたる約15ヘクタールの畑を管理し、シャンパーニュの古代品種復活を先導してきたメゾンとして国際的に評価されています。代表作のひとつ「オーブリー・ドゥ・ユンベール(Aubry de Humbert)」はアルバンヌ・プティ・メリエ・ピノ・グリを各1/3ずつブレンドした希少なキュヴェ。「イヴォワール・エ・エベーヌ(Ivoire et Ebene)」はロディトゥール区画のシャルドネ(70%)とオーク樽熟成のピノ・ムニエを組み合わせた複雑な一本。「ル・ノンブル・ドール(Le Nombre d'Or)」は古代品種を含む全7品種をアッサンブラージュした看板キュヴェで、ピノ・グリを主体に他の品種を重ねることでシャンパーニュの多様な個性を一杯に凝縮しています。低〜無ドザージュのヴァン・グリ「サブレ・ロゼ」も独自のスタイルを持ちます。

  • ジャン・オブリ・エ・フィス(Jean Aubry & Fils)RM:オブリと同地に拠点を置く別法人。ヴィンテージ・ブラン・ド・ブラン「サンフォニー(Symphonie)」がシグネチャーキュヴェ。
  • ボネ・クリンク(Bonnet-Crinque)RC:ジュイ、パルニー=レ=ランス、シャムリーに約6ヘクタールを持つグロワー。1996年にルネ・ボネから改称。熟成ヴィエイユ・ヴィーニュ「ヴィーニュ・ダンタン」や樽発酵ブラン・ド・ブラン「スフュ・アン・プレジール(Ce fût un plaisir)」など手間をかけた少量生産が特徴。
  • コーペラティヴ・リュラル・エ・ヴィニコル(通称:クープ・ジュイ=パルニー):ニコラ・フィアット傘下の共同醸造組合。村の栽培農家の一部が加盟しており、独自ラベルのシャンパンを産出しています。

農業と村の取り組み

ジュイ=レ=ランスでは「コンフュジョン・セクスュエル(confusion sexuelle)」と呼ばれる手法が農薬削減に用いられています。フェロモンカプセルを畑に設置して害虫の交配を攪乱するこの技術は、殺虫剤の散布を最小化しながら病害虫を防ぐもので、フランスのテレビ番組でも取材された事例があります。大量生産型の農業とは一線を画す、村全体としての丁寧な栽培姿勢が、オブリーをはじめとした生産者の品質観と共鳴しています。1790年代から続く家族農業の伝統と、1980年代末に始まった希少品種の再評価という二つの流れが、現在のジュイ=レ=ランスのアイデンティティを形成しています。

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「Jouy-lès-Reims」を拠点とするシャンパン銘柄

参考情報