Sillery / シルリィ

シルリィはモンターニュ・ド・ランスのグラン・クリュでありながらシャルドネが約60%を占める、地区随一の「白優位」グラン・クリュ。ルイナールの「ドン・ルイナール」の主要成分として名高く、「10年経っても若々しい」と評される長命なシャンパンを、ぜひ体験してみてください。

基本情報

地域圏(Région)Grand Est
県(Département)Marne
区(Arrondissement)Reims
郵便番号 : 51500
面積 : 9.20 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Puisieulx, Prunay, Mailly-Champagne, Verzenay,

「Sillery」のぶどう畑

テロワールMontagne de Reims
- Grande Montagne de Reims
格付け100% Grand Cru [?]
栽培面積92.4 ha
- Chardonnay54.2 ha (58.7%)
- Pinot Noir29.7 ha (32.1%)
- Pinot Meunier8.5 ha (9.2%)
- その他0 ha (0%)

特徴

シャルドネが約60%を占めるシルリィは、ピノ・ノワールが主役のモンターニュ・ド・ランスにあってシャルドネが過半数を誇る際立った存在です。生まれるシャンパンは緻密な酸とミネラルを骨格に持つ遅咲き型—若いうちは引き締まった印象ですが、熟成とともにほぐれ奥行きある複雑さを見せます。François Secondéのキュヴェはそのスタイルをよく体現しており、ルイナールが「ドン・ルイナール」の主要成分として使用することがその品質を証明しています。ブルゴーニュ的な骨格のシャンパンを求める方に、シルリィは格好の入口になります。

テロワール

シルリィの畑はモンターニュ・ド・ランスの主要な南向き斜面から外れた、A4高速道路の北側平地に立地します。ブドウ畑はコミューン南部—ヴェルズネイやマイィ=シャンパーニュとの境界付近—に集中しており、傾斜は緩やかで向きは北東向き。南向き急斜面が主体のヴェルズネイと比べると、日照蓄積量は控えめで、成熟はよりゆっくりと進みます。 土壌はシャンパーニュ地方に共通するチョーク質(白亜土)ですが、シルリィの地形的特性がもたらす低い積算温度は、このチョーク土壌の特性—豊富な水分保持と良好な排水—とあいまって、ブドウの成熟に独自のリズムをもたらします。北東向きの緩斜面が生み出す「ゆっくりとした成熟」こそが、シルリィのシャルドネが若いうちに閉じ、長い時間をかけて徐々に解放されていく理由です。

詳細

シルリィはグランド・モンターニュ・ド・ランスに属するグラン・クリュ村で、人口約1,700人の農工業が共存する村です。モンターニュ・ド・ランスの大半のグラン・クリュがランス山地の南向き斜面に集中するのとは異なり、シルリィはA4高速道路を北に越えた平坦地側に位置するという点で地理的に特殊な存在です。ブドウ畑はコミューン南部—ヴェルズネイやマイィ=シャンパーニュとの境界付近—の緩やかな北東向き斜面に集中しており、西にピュイジュー、東にプリュネが隣接します。村内にはBP石油貯蔵施設やEridania砂糖工場が立地するなど工業施設も多く、他のグラン・クリュ村とは一線を画す景観を持っています。

テロワール

畑が展開する緩やかな北東向き斜面は、南向きが卓越するヴェルズネイやマイィ=シャンパーニュと比べて日照積算量が低く、成熟は穏やかなペースで進みます。地下にはシャンパーニュ地方特有のチョーク質(白亜土)が広がり、優れた水分保持と排水性を両立しています。グラン・クリュとしては最小規模のひとつ、総栽培面積92 haのうち約59%をシャルドネが占めるという品種構成は、ピノ・ノワール主体の村が多いモンターニュ・ド・ランスにあって著しく異彩を放ちます。また「Les Champs de Romont」という区画ではグラン・クリュとして稀有なピノ・ムニエが栽培されており、1807年以来モエ・エ・シャンドンが所有しています。

主要生産者

シルリィ村内を本拠とする中核生産者がFrançois Secondé(フランソワ・スコンデ)です。レコルタン・マニピュランとして村のテロワールを体現するキュヴェを手掛け、日本市場でも入手可能な製品があります。シルリィのグラン・クリュを体験する入口として最も身近な選択肢のひとつです。

大手メゾンでは、ルイナールがシルリィのシャルドネをプレスティージュ・キュヴェ「ドン・ルイナール」の主要成分(平均35%)として活用しています。ルイナールのワインメーカーはシルリィのシャルドネを「コルトン=シャルルマーニュに似た、10年経ってもまだ若々しい」と評しており、その長熟ポテンシャルの高さを公式に認めています。モエ・エ・シャンドンはLes Champs de Romontを長年所有し、ピノ・ムニエを栽培。かつてはリュー・ディ表記で瓶詰めしていた時代もありました。

  • François Secondé(フランソワ・スコンデ)— シルリィを本拠とするRM。村のテロワールを正面から体現するキュヴェが揃う。
  • Duval Charpentier(デュヴァル・シャルパンティエ)— シルリィを含む複数の産地に畑を持つ生産者。
  • Collin Guillaume(コラン・ギョーム)— 村内生産者。
  • Fresnet Baudot(フレネ・ボード)— 村内小規模生産者。

そのほかビルカール・サルモン、ペリエ・ジュエ、テタンジェ(Virginie T.として独立)なども畑を所有しており、大手がシルリィのポテンシャルを高く評価していることがわかります。

歴史と名声の変遷

シルリィの名が欧州で広く知られるようになったのは17世紀のこと。ブリュラール・ド・シルリィ家がシャトー・ド・シルリィを拠点に「シルリィのワイン」をフランス宮廷や英国貴族の間に広め、当時はアイ(Aÿ)と並ぶ国際的知名度を誇っていました。1875年にはイギリスの著述家ヘンリー・ヴィゼテリーがシルリィを特筆するほどの評価を受けていました。ただし「シルリィのワイン」の実態は、コミューン単独の産物ではなく、モンターニュ・ド・ランス北側斜面の広域から調達したブドウを使用していた可能性が高いとされています。

フランス革命後、ブリュラール家の旧畑はモエとルイナールへ売却されました。19世紀末以降は村としての存在感が急速に薄れ、今日では畑の多くを他村の大手メゾンが所有し、村内本拠の独立生産者は少数にとどまります。しかしルイナールやモエが長年にわたりシルリィの区画を手放さない事実が、このグラン・クリュの特異なテロワールの価値を雄弁に物語っています。

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「Sillery」を拠点とするシャンパン銘柄

参考情報