「コトー・シャンプノワ」とは

Coteaux Champenois / コトー・シャンプノワ

シャンパーニュといえば泡、というイメージが強いが、同じ産地・同じブドウから造られる非発泡の「スティルワイン」のAOCが存在する。それがコトー・シャンプノワだ。赤・白・ロゼがあり、1974年にAOC認定を受けた。 使用品種はシャンパーニュと同じ、ピノ・ノワールピノ・ムニエシャルドネが中心。ラベルには村名を併記でき、「コトー・シャンプノワ・ブジー」のように産地をより詳しく示すことができる。 味わいはブルゴーニュの赤を想像してもらうとわかりやすいが、より線が細く、酸が鋭い。北緯48〜49度という冷涼な気候ゆえ、果実の厚みよりもミネラルと酸が前面に出るスタイルになりやすい。ただし近年は温暖化の影響でブドウの熟度が上がり、特に恵まれた年のブジーやアンボネー産の赤は、ブルゴーニュのグラン・クリュに迫ると評されることもある。 シャンパーニュ産地においてコトー・シャンプノワが希少な理由は、経済的な構造にある。このスティルワインの生産分はシャンパーニュの収量割り当てから差し引かれるため、高く売れる発泡ワインを優先するのが自然な選択だ。結果として生産量は極めて少なく、日本への輸入も限られる。 それでもあえて造るのは、「情熱から」という生産者も多い。代表格はアンボネー村のエグリ=ウーリエ。樹齢の高いピノ・ノワールを単一区画から収穫し、樽で約22ヶ月熟成させた「キュヴェ・デ・グラン・コテ」は、シャンパーニュ産スティルワインの中でも特にブルゴーニュ的と評される一本だ。大手メゾンではボランジェの「ラ・コート・オ・ザンファン」も知られる。 シャンパーニュを深く知るほど、この「泡なし」の世界が気になってくる。入手は難しいが、見かけたときはぜひ試してみてほしい。

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