Gueux / ギュー

ギューは、2.2haの単一畑からわずか13,000本しか生まれないジェローム・プレヴォーの拠点として、世界中のシャンパン愛好家が注目するプティット・モンターニュ・ド・ランスの小村。オートル・クリュ格付けながら、ピノ・ムニエがほぼ全域を占める個性的な品種構成が、ここでしか味わえないキュヴェを生み出している。そのボトルを探し求めるマニアが後を絶たない。

基本情報

地域圏(Région)Grand Est
県(Département)Marne
区(Arrondissement)Reims
郵便番号 : 51390
面積 : 8.86 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Thillois, Méry-Prémecy, Muizon, Janvry, Vrigny, Rosnay,

「Gueux」のぶどう畑

テロワールMontagne de Reims
- Petite Montagne de Reims
格付け85% Autre Cru [?]
栽培面積19.6 ha
- Chardonnay0.8 ha (4.1%)
- Pinot Noir2.2 ha (11.2%)
- Pinot Meunier16.6 ha (84.7%)
- その他0 ha (0%)

特徴

ギューのシャンパンは、ピノ・ムニエが主役のスタイルが基本となる。赤系果実のやわらかな香りと、スパイスや土を思わせるアーシーなニュアンスが合わさった、どこか素朴でありながら複雑な味わいが特徴だ。 この村の名を世界に広めたジェローム・プレヴォーの「ラ・クロズリー」シリーズは、ビオディナミ農法で育てた単一畑「レ・ベギンヌ」のムニエから生まれ、還元的なワイン醸造スタイルと相まって、熟成とともに深みを増す独特の構成を持つ。一般的なノン・ドザージュや低糖添加のキュヴェが多く、甘さに頼らない骨格のある仕上がりは、鴨や発酵食品との相性がよく、食事の場で真価を発揮するシャンパンを好む飲み手にとって見逃せない存在だ。

テロワール

ギューのブドウ畑は、ランス西方約8kmに広がるモンターニュ・ド・ランス北西端の緩やかな斜面に位置する。行政区分としてはプティット・モンターニュ・ド・ランスの一画を担うが、ランス市内を流れるヴァレ・ド・ラ・ヴェスルに近い地理的特性から、この河谷テロワールの延長として捉えられることもある。 標高は77〜210mと比較的変化に富み、畑の多くは北西向きの斜面に展開している。この向きは、南向き斜面が卓越するコート・デ・ブランやグランド・モンターニュ・ド・ランスの主要グラン・クリュ村と大きく異なり、日照量はやや抑えられる。その分、熟成がゆっくり進みやすく、ピノ・ムニエの持つ柔らかな果実味が過熟に傾かず表れやすい環境といえる。 隣接する南のヴリニーはプルミエ・クリュに格付けされており、両村の境はA4/E50高速道路が走る。ヴリニーと比べると、ギューは平坦地に近い区画の割合が多く、土壌のポテンシャルにやや差が生じることがエシェル・デ・クリュ(白・黒ともに85%)の数字にも反映されている。 気候はケッペン分類Cfbの変質海洋性気候で、年平均気温10.7℃、年間降水量734mmと記録されている。この冷涼な環境こそが、全栽培面積のおよそ85%を占めるピノ・ムニエに独特の軽さと繊細さをもたらす基盤となっている。

詳細

ギューはモンターニュ・ド・ランス北西部、ランスの西約8kmに位置する小村で、行政上はプティット・モンターニュ・ド・ランスに属する。南はプルミエ・クリュのヴリニー、南西はメリ=プレムシー、西はジャンヴリー、北西はロネ、北はMuizon(ミュイゾン)、東はThillois(ティロワ)と接している。コミューン全体の面積は886haで、総栽培面積は19.60haと比較的小規模。A4/E50高速道路(ランス〜パリ間)が村内を横断し、南側でヴリニーとの境界線を形成している。シャンパーニュ観光街道「ルート・トゥーリスティック・デュ・シャンパーニュ」がギューを通過しており、ドライブルートとしての顔も持つ。

テロワールの特徴は品種構成に端的に現れている。総栽培面積19.60haのうち、ピノ・ムニエが16.60ha(約85%)を占め、ピノ・ノワールが2.20ha、シャルドネはわずか0.80haにとどまる。畑は北西向きの緩斜面に展開しており、南向きが主体のグラン・クリュ村群と比べると日照条件は穏やか。この環境がムニエの柔らかな果実味を過熟させず、繊細に引き出す土台となっている。エシェル・デ・クリュは白・黒ともに85%で、隣接するヴリニー(プルミエ・クリュ、100%)との格差は地形と日照条件の差を反映したものだ。

ギューを語るうえでジェローム・プレヴォーは欠かせない存在だ。祖母から相続した2.2haのピノ・ムニエ単一畑「レ・ベギンヌ(Les Béguines)」のみを使用し、年産わずか13,000本というガラージスト的規模で世界的なカルト的地位を築いたRM生産者である。ビオディナミ農法(未認証)を実践し、ラベル名は「ラ・クロズリー(La Closerie)」。白はヴィンテージごとにリリースされ、ロゼは「ファック・シミル(Fac Simile)」名義で不定期に登場する。初ヴィンテージは1998年で、アンセルム・スロス(アヴィーズの生産者)が自セラーを提供して独立を後押しした。2002年以降は自社セラーを所有し、現在に至る。レ・ベギンヌは村中心部南西に位置し、植樹は1962〜1964年と古樹の域に達している。

ギューの地名の由来は「ゴート族(Goths)」をラテン語化したGotiにさかのぼり、最古の記録は850年頃のGothi。ゲルマン系民族の定住地であったことを示している。中世には14世紀にコション家が領主を務め、フェレ家もギューの領主として名を連ねた。1575年にはユベール・ド・フェレがアンリ3世の戴冠式で天蓋を担う栄誉を授かっている。

19世紀にはルイ・ロデレールの弟ウジェーヌ・ロデレールが1856年にシャトーと公園を購入し、ネオゴシック様式の新邸を建設した。その後、フィロキセラが19世紀末にギューのブドウ畑をほぼ全滅させ、ブドウ栽培は大打撃を受けた。第一次世界大戦中は村が前線後方の休養地となり、シャトーは救急病院に転用されたが、1918年の火災でシャトーは焼失。戦後、村は壊滅状態と認定され、1920年10月1日に武功十字章を授与された。1928年にはルイ・ロデレールのグランド・マルク組合の主導により跡地がゴルフ・ド・ランスとして整備され、現在も「シャトー・エ・パルク・ド・ギュー」として文化遺産に登録されている。なお、1926年に開設されたサーキット・ド・ランス=ギューはモータースポーツの歴史にも名を刻んだが、1969年に閉鎖された。

詳細を閉じる

「Gueux」を拠点とするシャンパン銘柄

参考情報