高級シャンパーニュ“クリスタル”で知られるメゾン、ルイ ロデレール。カリフォルニアへ進出し、新たなスパークリングワインを手がけたのは他のメゾンと同様だが、今は英国南西部のケント、サセックス両州でブドウ畑の視察を行っている。ついに、英国でのスパークリングワイン造りを視野に入れたのだ。
地球温暖化の影響で、ワイン産地の世界地図が塗り替えられる、という説がある。気温が上昇すると、現在の有力生産地よりも、英国南部、ドイツ北部、北欧などが高級ワイン産地になる可能性もあるという。
ブドウ栽培地として北限に近いとされてきたシャンパーニュ地方の生産者も、この地球温暖化問題を危惧している。英国南部の土地はシャンパーニュに近い石灰質土壌を持ち、高品質のスパークリングワインの生産者が現れてきていることから、この地に興味を示している生産者は多い。さらに魅力なのは、価格の安さ。今なら英国のブドウ畑は、シャンパーニュの三分の一程度の価格で購入できる。
英国といえば、これまでワイン造りに適しているとはいえない土地とされてきた。まず、気温が十分に上がらないためブドウが成熟しにくいし、また雨が多いため果実にカビが発生しやすい、といった栽培上の理由。歴史上の理由としては、英国領だったボルドーを始めとする世界の有名ワインを流通させており、必ずしも自国でのワイン生産にこだわる必要がなかったという事情も。
しかし、近年の気温の上昇傾向で栽培環境が改善され、技術の進歩が加わって、より良質なワインが造られるようになった。なかでも、シャンパーニュと同じ品種を使用し、伝統的方法で造られた高品質のスパークリングワインは注目を集めている。ケント州にある Chapel down Wines、サセックス州にあるRidge View Wine Estate といったワイナリーの造るスパークリングワインは、世界的なコンクールで入賞するなど評価も高く、英国国内で売上げも好調だという。
今回視察を行ったルイ ロデレールによると、実際に英国でブドウ畑を購入するのは、地球温暖化による気候変化が一時的なものではないことが確認できてからということだが、シャンパーニュ生産者が英国でのスパークリングワイン造りに興味を示しているのは確か。
注目の英国産スパークリングワイン、ルイ ロデレールが進出する前に試してみてはいかが。
via : WINE21