「シャンパン」はロシア産だけ。ロシアの法律の改正に仏生産者抗議

7月2日ロシア国内のシャンパンはロシア産のみとする法律の改正がプーチン大統領の署名により成立しました。

この改正は連邦法171「アルコール飲料の規制について」にワイン製品の定義を明確にする追加要件を導入するものでウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の署名を経て成立しました。

これはロシアでシャンパンを意味する「シャンパンスコエ(shampanskoye)」はロシア国内で造られたワインのみに使用できものとし、外国産のシャンパンは「スパークリングワイン」の名称を記載することを義務付け、仏シャンパーニュ(Champagne)地方産のものも対象となっています。

これに対し、シャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会やフランス農水相が抗議の声をあげ、欧州委員会も「自分たちの権利を保護」するための措置を講じていく考えを表明しています。

ロシアではソ連時代以降、スパークリングワインの総称としてこの「シャンパンスコエ」が使用され誕生日などのお祝いの席では定番の酒として親しまれていますが、この改正によりだまされるのはロシア国内の消費者となりそうです。

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シャンパーニュ 委員会からのリリース

シャンパーニュは、ロシアで新たに制定されたワインの表示に関する法律に憤慨している。

今回成立した新法によると、シャンパーニュの表ラベルの「 Champagne 」というアルファベット表記はそのままでよいが、裏ラベルに”Shampanskoe”(露語でシャンパーニュの意)と記載できなくなり、キリル文字で「スパークリングワイン」として表示しなければならなくなる。今後”Shampanskoe” という名称を表記できるのはロシア産スパークリングワインのみとなる。

シャンパーニュ委員会の共同会長マクシム・トゥヴァール、ジャン・マリー・バリエールは以下の通り声明を出した。

『我々シャンパーニュから「シャンパーニュ」の名称使用(キリル語での)を奪うとはありえないスキャンダルである。シャンパーニュのワインはシャンパーニュ地方にとって独自の、かけがえのない歴史的財産である。』

この新法によってロシアの消費者がワインの起源と特性に関して明瞭で透明性ある情報を得られなくなること、またフランスとロシア間で20年以上にわたって続けられてきた原産地保護協議が無為に帰することを委員会は極めて遺憾としている。現在、ロシア当局から予告のなかった新法の詳細と影響の分析確認がすすめられている。

シャンパーニュの名称は世界120カ国以上で保護されている。

シャンパーニュは、容認しがたいこの法律の修正を求めるべくフランス及び欧州の外交筋に上訴している。ジャン・マリー・バリエールとマクシム・トゥヴァール共同会長は、シャンパーニュ各社へ事態が明らかになるまでロシアへの出荷を全面停止するよう求めている。

シャンパーニュ委員会日本事務局より

日本では、”Shampanskoe”(露語でシャンパーニュの意)と表示のあるロシア製スパークリングワインは、その表記を消したラベルに貼り替えないと販売できません。”California Champagne”のラベルを日本では “California Sparkling Wine”のラベルに貼り替えて販売しなければならないのと同様 です。

また、日本では、EUと日本との経済協定 EPAにもみられるように「シャンパーニュ」、「シャンパン」、「シャンペン」の3語ともシャンパーニュ名称保護の対象となっております。シャンパーニュ産以外の発泡ワインは “Sparkling Wine”スパークリングワインと呼ばれます。

お問い合わせ:シャンパーニュ委員会日本事務局

https://wandsmagazine.jp/archives/11161