「シャンパンの騎士」とは、17世紀半ばルイ14世時代にシャンパーニュ地方で宮廷貴族たちによって発足された究極の美食を追及する歴史と権威ある協会「シャンパーニュ騎士団」(オルドゥル・デ・コトー・ドゥ・シャンパーニュ / Ordre des Coteaux de Champagne / url)の会員に送られる称号。シュヴァリエとも呼ばれる。
会員叙任は世界的に大変栄誉あるものとされている。6月9日、そのシャンパンの騎士の叙任式をフォーシーズンホテル東京・椿山荘(東京都文京区)にて、日本ではじめて行った。この叙任式を主催したのはC.I.V.C.。
冒頭のあいさつで、近年日本では2000年には300万本だった消費量が2005年には 600万本になるなどシャンパンの消費拡大を紹介した。ハレの日の飲み物としてだけでなく、シャンパンはスタリッシュに楽しんだり、ワインと共に食中酒としても楽しまれるようになってきたという。
今回の受章者は、日本市場においてシャンパンの普及啓蒙に貢献したことへの評価によるもの。叙任の前に誓いの言葉が交わされ、受章者一人一人にシャパンの騎士の称号が与えられた(日本での全受章者は50名ほど)。オペラ歌手の中丸三千繪さんのほか、荻野アンナさん、フジテレビアナウンサーの佐藤里佳さん、エルメス・ジャポン社長の齋藤峰明氏、バカラ・パシフィック社長の小川博氏、脚本家の小山薫堂氏、ワインアドバイザーの田辺由美さんや、料理人ではモナリザの河野透氏、シェ・イノの井上シェフ、ソムリエでは2002年に全日本最優秀ソムリエに輝いたシャンパンバーヴィオニスの阿部誠氏、BEIGE東京総支配人の渋谷康弘氏、BEIGE東京接客担当支配人の石田博氏、リードオフジャパン代表取締役社長の渡邊弘之氏なども受章した。
フランスの協会、「シャンパンの騎士」の受章者である料理人、ソムリエ、インポーターに、それぞれの立場から、ここ数年のシャンパンの消費動向について聞いた。
フレンチレストラン「モナリザ」オーナーシェフ河野透氏
「シャンパンは人が作った飲み物の中で一番神秘的な特別なもの。自分の料理スタイルに最もフィットした飲み物だと思っている。ひらまつ時代には、いち早く料理とシャンパンのマリアージュを提案したコースも考案した」。
河野氏はシャンパーニュテタンジュが好みで、店ではヴィンテージを含めてテタンジュだけで十数種類を揃える。店での注文も食前酒としてグラスで飲むよりも、フルボトルでの食中酒としての注文が多いいという。シャンパン好きの常連の中には500回以上通ってくる人もいるとそうだ。最近では銘柄をソムリエに任せるばかりではなく、「これがいい」と指定する人も増えてきた。
その要因は「美味しいシャンパンが日本に数多く入ってくるようになり、消費者側も選んで買えるようになったこと、美味しい飲み方、楽しみ方が浸透してきたからではないか」という。
シャンパンバー「ヴィオニス」の阿部誠氏
シチュエーションに合わせたシャンパンの楽しみ方を提案する阿部氏も、「(シャンパンの普及は)個人のインポーターさんなどが増え、より品質が高いシャンパンが日本に流通してきたからではないか」という。
店には、飲み比べができるおためしセットを用意している。いろいろと試しているうちに、料理とシャンパンのマッチングにハマる人も多い。「ワインと同様にシャンパンを楽しむ人が増えつつある」そうだ。「これからは専門バーだけの経営だけではなく、ワインやシャンパン、フラワーコーディネートも一緒にしたスクールの開講も予定している」。
「リードオフジャパン」の渡辺弘之氏
以前よりユニークなシャンパンを取り扱いたいと考えていた渡辺氏。ベルフォンは、唯一つの「食中シャンパン」で、パリの3つ星シェフのために作られたもの。食事しながらシャンパンを飲んでもおなかが一杯にならないようガスを抑えている。甘みをほとんど感じさせないのが、好評の理由。現在は、500ケース(9 リットル換算)の売り上げを記録し、「食中シャンパンという新しいカテゴリーが受け入れられた」と自信を持っているという。
via : nikkei BP net