忘年会にクリスマス、お正月と宴会やパーティーがめじろ押しの年末年始。この時期弾けるのがシャンパンに代表されるスパークリングワインの需要。11~1月で年間の5割以上を売り上げるが、今年は過去最高だった昨年をさらに上回ることが確実だ。価格は1本(750ミリリットル)1000円台から数万円と幅広いが、製法や生産地などの基礎知識を知れば、予算や好みに応じたスパークリングワインを選ぶ楽しみも増える。
昨年のスパークリングワインの輸入量は前年比25%増の約2万キロリットルと、98年の2倍に増加。ワイン全体に占める比率も3%弱から11%強まで上昇。料理にも合わせやすくおしゃれなイメージが女性の支持を得ているようだ。
牽引役はフランス・シャンパーニュ地方で生産されるシャンパン。ほかのスパークリングワインと比較すると高価で敷居が高いイメージが強かったが、ハーブボトルやミニボトルの投入が相次いだほかグラスでサービスしてくれるレストランも増え、手軽に楽しめるようになった。
シャンパン輸入量は10年前の3倍に上り、スパークリングワイン全体を上回る伸びだ。ルイ・ヴィトン傘下のヴーヴ・クリコジャパン(東京都港区)によると、「(製造年号の記載がなく比較的廉価な)ノンビンテージを日常的に楽しむ人が増え、消費量は着実に伸びている」(コミュニケーション部)という。
ワイン市場全体が伸び悩むなかで、スパークリングワイン人気に目を付けた輸入業者や国内大手ワインメーカーも輸入販売を強化している。低価格で高品質なスパークリングワインが数多く流通。専門店やインターネット販売で手軽に選べるようになったことも市場拡大に貢献している。
国内ワインメーカーでも、メルシャンが今年6月に国産ブドウだけを原料に炭酸注入方式で製造した「勝沼のあわ(白)」と「穂坂のあわ(ロゼ)」を発売、1万5000ケース(1ケース12本)はほぼ完売した。89年からシャンパン方式でスパークリングワインを製造しているタケダワイナリー(山形県上山市)は今年、アンセストラル方式(1次発酵途中の瓶詰め)の微発泡ワイン「サンスフル」を開発、試験販売した。
岸平典子社長は「瓶内2次発酵はどうしても高価になるため、もっと手軽に飲んでもらうため低コストな製品を造りたかった」という。醸造期間も3カ月と短く10月に出荷された新酒2000本は1カ月ほどで売り切れた。
昔からある発泡性日本酒でも、アルコール度数を抑えた女性向け日本酒として新製品が続々登場。火付け役は97年に一ノ蔵(宮城県大崎市)が製造した「発泡清酒 すず音」。シャンパンと同じ瓶内2次発酵で造ったすず音のアルコール度数は5%前後と通常の日本酒の3分の1程度。マーケティング室の永井靖二さんは「肉料理や脂っぽい料理とも合う」と日本酒とは違うシーンでの楽しみ方を提案する。いまや、おしゃれな瓶の発泡日本酒が何種類も酒販店に並んでいる。
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