Hermonville / エルモンヴィル

エルモンヴィルは、栽培面積の約62%をピノ・ムニエが占めるマッシフ・ド・サン・ティエリー随一のムニエ主体村。オートル・クリュながら、接木なしの老樹が残り、樽発酵・長期熟成にこだわるグロワーが注目を集める。かつてランス大聖堂の建材となった石灰岩を土台に育つブドウは、柔らかくフルーティでありながらミネラルの骨格を持つシャンパンへと変わる。

基本情報

地域圏(Région)Grand Est
県(Département)Marne
区(Arrondissement)Reims
郵便番号 : 51220
面積 : 13.30 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Bouvancourt, Loivre, Pouillon, Villers-Franqueux, Cauroy-lès-Hermonville, Trigny, Chenay, Pévy,

「Hermonville」のぶどう畑

テロワールMontagne de Reims
- Massif de Saint-Thierry
格付け84% Autre Cru [?]
栽培面積103.4 ha
- Chardonnay16.9 ha (16.3%)
- Pinot Noir25.3 ha (24.5%)
- Pinot Meunier61.2 ha (59.2%)
- その他0 ha (0%)

特徴

エルモンヴィルのシャンパンは、ピノ・ムニエの丸みと果実感が前面に出るスタイルが基本。赤系果実やミルキーな質感、ほんのりスパイシーなニュアンスが重なり、堅くなりすぎないのがこの村の持ち味だ。 一方、フレデリック・エ・ロドルフ・ミニエールのような高品質生産者が手がけるキュヴェは、全て樽発酵・マロラクティック発酵なしで仕上げられ、レモンクリームとミネラル、フォレストハーブのニュアンスを持つ複雑な質感を見せる。接木なし老樹の区画から造られる「Les Voirmissa」(ブラン・ド・ノワール)や「Les Moineaux」(ブラン・ド・ブラン)は、ムニエ村のイメージを更新するほどの緊張感と深みを備えている。 アペリティフとしてはもちろん、鶏肉のクリーム煮や白身魚のバター焼きなど、ソースに旨みのある料理と合わせると村の個性がより際立つ。

テロワール

エルモンヴィルの畑を支えるのは、ルテシアン期(約4,800万年前)の石灰岩層。地元では「バン・ロワイヤル・デルモンヴィル」や「ピエール・デュール・デルモンヴィル」と呼ばれるこの岩盤は、ランス大聖堂の建材にも使われたほど硬質で、豊富なミネラル分を土壌に供給し続けている。丘陵上部は砂質ローム、下部は粘土・ローム・砂の混合土壌で、排水性が高く、根が深く伸びやすい。 地形はコート・デ・ブランやグランド・モンターニュ・ド・ランスのような急傾斜とは異なり、緩やかな丘陵が広がる。村の北・北西・南に畑が展開し、南〜南東向きの露出を持つ区画が多い。主要生産者のフレデリック・エ・ロドルフ・ミニエールが手がけるリュー・ディ「Les Moineaux」は村北の南向き緩斜面に、「Voirmissa」はその南隣の平坦地に広がり、小区画ごとに微妙に土壌と光の当たり方が異なる。 気候はケッペン分類Cfbの温帯海洋性で、年平均気温10.5℃、年間降水量712mm。ランスよりさらに北西に位置し、日照量は抑えめ。この比較的冷涼な条件が酸の保持に働き、ムニエ主体でも締まりのある味わいを生む土台となっている。

詳細

エルモンヴィルは、ランスの北西約10〜14kmに位置するマッシフ・ド・サン・ティエリー地区の村。モンターニュ・ド・ランスのサブゾーンに属し、コミューン面積1,330ha、標高73〜217mの緩やかな丘陵地帯に103.40haのブドウ畑が広がる。北にコロワ=レ=エルモンヴィル、東にロワーヴル、南東にヴィレ=フランキュー、東南東にプイヨン、南南東にシュネイ、南南西にトリニー、西にブヴァンクールが隣接する。

テロワールの核心は、ルテシアン期の石灰岩「バン・ロワイヤル・デルモンヴィル」にある。ランス大聖堂の建材として切り出されたほど堅牢なこの岩盤が地下水を適度に蓄えつつ排水を促し、根が深層のミネラルにアクセスしやすい環境を生んでいる。表土は丘陵上部の砂質ローム、下部の粘土・ローム・砂の混合へと徐々に変化し、区画ごとに土壌構成が異なる。一部の区画にはフィロキセラの被害を免れた接木なしの老樹が現存しており、土壌個性をより直接的に反映した果実が得られるとされる。

主要リュー・ディとしては、村南のD530道路東側に広がる「Le Clos de Marzilly」、村北の南向き緩斜面「Les Moineaux」(フレデリック・エ・ロドルフ・ミニエールがシャルドネを栽培)、その南隣の平坦地「Voirmissa」(同、ピノ・ノワールを栽培)などがある。その他、La Couturelle、Les Fauvagnes、Les Fosselles、Les Grands Blancs、Les Rosièresといった区画も存在する。

フレデリック・エ・ロドルフ・ミニエールは、現在のエルモンヴィルを語る上で外せない生産者だ。フレデリック&ロドルフ兄弟が村内を中心に8ha弱を管理し、2005年に自家醸造を開始。アンセルム・スロスのもとで修業したフレデリックの哲学を受け継ぎ、全キュヴェを樽発酵・樽熟成、マロラクティック発酵なしで仕上げる。瓶内熟成は基本キュヴェで5〜6年、ヴィンテージでは8〜10年以上。代表キュヴェ「Influence」(ピノ・ムニエ主体)、「Blanc Absolu」(シャルドネ100%)、「Brut Zero」(ノン・ドザージュ)、「Les Voirmissa」(ブラン・ド・ノワール)、「Les Moineaux」(ブラン・ド・ブラン)はいずれも高評価を得ており、Jancis Robinsonのライターから「ライジングスター」と称された。接木なし老樹の区画も保有し、エルモンヴィルのテロワールを最も深く掘り下げている。

村名はガロ・ローマ期の人名に由来するラテン語「Heremundi villa」(ヘレムンドゥスの荘園)に遡る。村内のla Croix de Ringletではメロヴィング朝期(7〜8世紀)のネクロポリスが発見されており、集落の歴史は2000年以上に及ぶとみられる。カロリング朝期には聖レミ大修道院の財産目録にも記載され、中世にはサン・ティエリー修道院が荘園領主として支配。12〜13世紀には「山のワイン(vin de montagne)」として北方(ベルギー・オランダ方面)にまで名声を博し、1406年には王室御用達の供給地にも名を連ねた。

1900年頃にフィロキセラが壊滅的打撃を与え、193haあった畑はわずか8haにまで激減。その後、数十年をかけた再植によって現在の103.40haまで回復した。第一次世界大戦の戦場にも近く、村内には英国軍の軍人墓地「Hermonville Military Cemetery」が今も残り、激動の近代史を静かに伝えている。

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「Hermonville」を拠点とするシャンパン銘柄

参考情報