Crouttes-sur-Marne / クルット=シュル=マルヌ

クルット=シュル=マルヌは、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ最西端に位置するオートル・クリュの村。栽培面積の約60%をピノ・ムニエが占める典型的なムニエ村でありながら、ビオディナミ農法とオーク樽熟成を駆使したフランソワーズ・ベデルが生む複雑なシャンパンや、ピノ・グリ100%という希少なキュヴェまで、個性的な作り手が集う村。そのシャンパンはきっと、あなたの「ムニエ」観を塗り替えてくれる。

基本情報

地域圏(Région)Hauts-de-France
県(Département)Aisne
区(Arrondissement)Château-Thierry
郵便番号 : 02310
面積 : 4.33 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Nanteuil-sur-Marne, Citry, Bézu-le-Guéry, Villiers-Saint-Denis, Charly-sur-Marne,

「Crouttes-sur-Marne」のぶどう畑

テロワールVallée de la Marne
- Vallée de la Marne Ouest
格付け80% Autre Cru [?]
栽培面積172.5 ha
- Chardonnay45.3 ha (26.3%)
- Pinot Noir23.4 ha (13.6%)
- Pinot Meunier103.1 ha (59.8%)
- その他0.7 ha (0.4%)

特徴

ピノ・ムニエが約60%を占めるこの村のシャンパンは、赤系果実のジューシーな風味と、飲み込んだあとに残るやわらかな甘みが特徴。重さや渋みよりも、春の果物を思わせる軽やかさが前面に出るスタイルが基本だ。 一方でフランソワーズ・ベデルのように、ビオディナミ農法とオーク樽熟成を組み合わせることで、ムニエ由来のフルーティさの奥に土壌のミネラル感と酸の骨格を持ち込んだ複雑な表情も生まれる。またデロ・ドゥリュニーが手がけるピノ・グリ100%のキュヴェは、シャンパーニュ全体でも類を見ない稀少な存在。 シャルドネ主体の繊細さよりも、ムニエの包容力ある果実感を求める飲み手に、あるいは「品種で遊ぶ」マニア的な一本を探している人に、この村は意外な発見をもたらしてくれる。

テロワール

クルット=シュル=マルヌの畑は、マルヌ川右岸(北側)の南向き・西向き斜面に広がる。標高54〜201 mと変化に富み、平均標高は63 m程度。エペルネから西へ大きく離れた、シャンパーニュ最西端に近い場所に位置し、行政区画としてはエーヌ県シャトー=ティエリー郡に属する。 土壌は粘土・砂・石灰岩の混合層が基本で、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ西部の典型的な構成をもつ。コート・デ・ブランやモンターニュ・ド・ランスに多いチョーク(白亜)の比率は相対的に低く、保水力の高い粘土質が優勢。この土壌がピノ・ムニエの栽培に好条件をもたらしている。ピノ・ムニエは寒さへの耐性が高く、粘土質土壌への適応力が他の主要品種に比べて際立つため、総栽培面積172.50 haのうち103.10 haをこの品種が占める構成は、土壌が自然に導き出した結果といえる。 東から南にかけてシャルリ=シュル=マルヌ、西にナンテュイユ=シュル=マルヌ、川を挟んだ対岸(南側)にシトリーが隣接する。シャルリ=シュル=マルヌと同じくムニエ主体の地帯だが、クルット=シュル=マルヌはシャルドネ比率(約26%)が一定程度確保されており、ブラン・ドゥ・ブランを手がける生産者も存在する点で個性を発揮する。粘土質土壌の保水力が生む果実の丸みと、南向き斜面が確保する日照量がこの村のシャンパンのベースをかたちづくっている。

詳細

クルット=シュル=マルヌは、マルヌ川右岸(北側)に位置するエーヌ県シャトー=ティエリー郡の村。行政上はエソーム=シュル=マルヌ・カントンに属し、郵便番号は02310、INSEEコードは02242。コミューン面積は433 ha(4.33 km²)、人口は591人(2023年)。エペルネからマルヌ川を西へ大きく下った地点に位置し、シャンパーニュ生産地域の最西端に近い村として「シャンパーニュの辺境」とも呼ばれることがある。

サブエリアヴァレ・ド・ラ・マルヌ・ウエストに分類され、東・南東にシャルリ=シュル=マルヌ、西にナンテュイユ=シュル=マルヌ、北東にヴィリエール=サン=ドニ、北北西にベズ=ル=ゲリー、南の左岸側にシトリーが接する。

テロワールの詳細

畑は南向き・西向きの斜面に集中し、標高は54〜201 mの範囲に分布する。土壌はヴァレ・ド・ラ・マルヌ西部の典型で、粘土・砂・石灰岩の混合層。コート・デ・ブランやモンターニュ・ド・ランスに比べてチョーク(白亜)の比率が低く、保水力の高い粘土質が卓越している。この土壌特性がピノ・ムニエの優勢を自然に説明しており、総栽培面積172.50 haのうちピノ・ムニエは103.10 ha(約60%)を占める。シャルドネは45.30 ha(約26%)、ピノ・ノワールは23.40 ha(約14%)で、生産者数は45軒。

主要生産者

クルット=シュル=マルヌを語るうえで外せない存在が、フランソワーズ・ベデル(RM)だ。クルット=シュル=マルヌ、ナンテュイユ=シュル=マルヌ、シャルリ=シュル=マルヌ、ヴィリエール=サン=ドニにまたがる計8.4 haを、78%ピノ・ムニエ / 13%シャルドネ / 9%ピノ・ノワールで栽培。1998年からビオディナミ農法に転換し、ヴァレ・ド・ラ・マルヌを代表するビオディナミ生産者として国際的な評価を確立している。代表キュヴェのL'Ame de la Terre(ヴィンテージ、60%ピノ・ムニエ / 30%シャルドネ / 10%ピノ・ノワール)は、土壌の個性を全面に出した複雑な表情をもち、Comme Autrefoisはオーク樽熟成・昔ながらの紐栓(アグラフ)仕様が話題を呼ぶ。

デロ・ドゥリュニー(RM)は約12 haを管理し、シャンパーニュでもきわめて珍しいピノ・グリ100%のキュヴェ「Cuvée des Fondateurs」を手がける。シャンパーニュ法定品種のなかで栽培面積が極小に近いピノ・グリを単一品種でキュヴェ化するのは、生産者のなかでもごく限られた例であり、収集家や愛好家の注目を集めている。

  • ブルジョワ・ディアス(RM)— 7 ha(ピノ・ムニエ3 ha / シャルドネ2 ha / ピノ・ノワール2 ha)。ビオディナミ農家。
  • ピエール・クルトワ(RM)— 6 ha。シャルドネ主体のヴィンテージ・ブラン・ドゥ・ブラン「L'Amour Courtois」を生産。
  • グラシオ・デゥルーニ— 約10 ha(クルット=シュル=マルヌ、ナンテュイユ=シュル=マルヌ、シャルリ=シュル=マルヌにまたがる)。ブラン・ドゥ・ブラン Millésiméと、オーク樽熟成・90%シャルドネ / 10%ピノ・ノワールの「Histoire d'Hommes」を生産。

歴史・文化

かつてクルット=シュル=マルヌでは、ブドウ栽培の守護聖人サン=ヴァンサン(Saint-Vincent)の像をマルヌ川左岸でパレードし、サン=ポール(Saint Paul)の像を右岸でパレードする独自の慣習があった。現在もヴィニュロン(ブドウ栽培農家)たちはサン=ヴァンサンの祝日に彼を称え続けており、村の教会エグリーズ・サン=キリアス(Église Saint-Quiriace)がその中心となっている。サン=ポールはネロ帝配下の兵士だったが、ダマスカスへの途上でキリスト教に改宗した使徒。迫害から逃れるためヴィニュロンがバスケットに彼を隠したという言い伝えが残り、日曜礼拝やヴィニュロンの祝祭では彼の書簡が朗読される習わしが続いている。

栽培面積は1997年時点では155 haだったが、その後拡大が続き現在の172.50 haに達している。シャンパーニュ最西端に近い立地ゆえに「辺境」と称されながらも、ビオディナミへの転換など農法の革新においていち早く先進的な取り組みを進めてきた村でもある。

詳細を閉じる

「Crouttes-sur-Marne」を拠点とするシャンパン銘柄

参考情報