Spoy / スポワ

スポワはコート・デ・バールのバール・シュル・オウボワテロワールに位置する村で、オートル・クリュ格付けながら栽培面積の約87%をピノ・ノワールが占める「ピノ・ノワールの村」。ブルゴーニュのシャブリと同じキンメリジャン系石灰岩土壌がこの品種に独自の個性をもたらしている。

基本情報

地域圏(Région)Grand Est
県(Département)Aube
区(Arrondissement)Bar-sur-Aube
郵便番号 : 10200
面積 : 10.36 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Magny-Fouchard, Maison-des-Champs, Argançon, Fravaux, Couvignon, Proverville, Meurville,

「Spoy」のぶどう畑

テロワールCôte des Bar
- Bar-sur-Aubois
格付け80% Autre Cru [?]
栽培面積71.3 ha
- Chardonnay6 ha (8.4%)
- Pinot Noir61.7 ha (86.5%)
- Pinot Meunier3.6 ha (5%)
- その他0 ha (0%)

特徴

シャルドネは6haにとどまり、ピノ・ムニエも3.6haとわずかで、圧倒的な主役はピノ・ノワール。キンメリジャン系粘土石灰岩がこの品種の果実味と構造感を引き出し、赤系果実の香りとしっかりとした酸を備えたふくよかなスタイルを生み出す。地元の旗手Binon Coquardが手がける100%ピノ・ノワールの「Extra Pinot Noir(ゼロ・ドサージュ)」は、添加物を極力排したシンプルな造りの中にこの村の素直な果実味を映し出す一本。ブルゴーニュ的な土壌の恩恵を受けたピノ・ノワール主体のシャンパンを探すなら、スポワはその候補として真っ先に挙がる産地だ。

テロワール

スポワの葡萄畑はランディオン川(Le Landion)の両岸斜面に広がる。この川はバール・シュル・オーブの支流で村を貫流し、微気候の形成にも影響を与えている。土壌はジュラ紀キメリジャン層に由来する粘土石灰岩で、ブルゴーニュのシャブリと同じ地層にあたる。コート・デ・バール北部の白亜質平野とは地質的に異なり、スポワを含むバール・シュル・オウボワ地区は「シャンパーニュ・ユミッド(Champagne humide)」と呼ばれる湿潤地帯の一部だ。有機物を豊富に含む重めの粘土質がピノ・ノワールに果実の凝縮感と個性(typicité)をもたらすと地元生産者は語る。 標高188m、気候はロレーヌ=ラングル高原気候圏に属し、冬は平均1.5℃と厳しく秋冬に霧が頻発する。年平均気温は10.0〜10.5℃、年間降水量は842mm。この冷涼で湿潤な気候と粘土石灰岩の組み合わせが、ピノ・ノワールに骨格と熟度を同時に与える環境を作り出している。

詳細

スポワはコート・デ・バール地区のバール・シュル・オウボワテロワールに属するコミューン。トロワから南東に約49km、バール・シュル・オーブの町からは北西に約11kmの位置にある。コミューン総面積は約1,036haで、総人口は2023年時点で143人と小規模な農村だ。1841年には884人のピーク人口を記録していたが、農村離脱が続いて現在に至る。村の中心をランディオン川が貫流し、その両岸斜面に71.30haの葡萄畑が広がる。周辺にはアルガンソン(北北西)、フラヴォー(北東)、プロヴェルヴィル(東)、クヴィニヨン(南南東)、ムールヴィル(南)といったコミューンが隣接する。

テロワール

土壌はジュラ紀キンメリジャン層に由来する粘土石灰岩(argilo-calcaire kimméridgienne)。バール・シュル・オウボワ地区は「シャンパーニュ・ユミッド」と呼ばれる湿潤地帯に含まれ、コート・デ・バール北部の白亜質平野とは地質的に明確に区別される。この地層はブルゴーニュのシャブリ地区と同じものとされ、ピノ・ノワールに特有の果実の凝縮感と骨格をもたらすとビノン・コカールは説明している。主要なリュー・ディとして村南部のランディオン左岸に南向き斜面「レ・ヴォセル(Les Vaucelles)」があり、ビノン・コカールが所有する区画として知られる。また「オー・ド・ダンピエール(Haut de Dampierre)」はヴィエイユ・ヴィーニュ・キュヴェに使用される区画だ。

主要生産者

スポワを代表する生産者はビノン・コカール(Binon-Coquard)。1669年から代々この村で葡萄栽培を続けてきた農家で、コート・デ・バールの中でも特に長い歴史を持つ一軒だ。RC(Récoltant-Coopérateur:収穫した葡萄の一部を協同組合に供出しつつ自社シャンパンも手がける生産者)の区分で、スポワ・ムールヴィル・シャンピニョル=レ=モンドヴィルにまたがる6.5haを管理。2012年からTerra Vitis認証を取得し、持続可能農法に取り組んでいる。主要キュヴェはピノ・ノワール70%・ピノ・ムニエ20%・シャルドネ10%で構成する「Classic」のほか、ヴィエイユ・ヴィーニュ区画の果実を三品種均等割で仕込むミレジメ・キュヴェ、2004〜2012年ヴィンテージのリザーヴワインのみをブレンドした「Esprit Solera」など、この土地の個性と時間の蓄積を丁寧に表現したラインナップを揃える。またピノ・ノワール100%をドサージュ・ゼロで仕上げた「Extra Pinot Noir」はキメリジャン土壌由来の果実の純粋さを真っ直ぐに伝える一本だ。

大手ではモエ・エ・シャンドンが当村に葡萄畑を所有しており、コート・デ・バールのピノ・ノワールを原料ブレンドに組み込んでいる。

歴史

村名「Spoy」の語源は古名の「Cypetum」「Cepeium」「Cepoi」に遡り、「切り株」または葡萄栽培(viticulture)を意味する語に由来するとされる。1世紀にはローマ人がランディオン川にアーチ式石橋「ポン・ロメン(pont romain)」を建設し、現パリとバーゼルを結ぶローマ街道がこの村を通過した。この橋は1971年に修復され、1973年には歴史建造物に指定されている。12世紀には守護聖人サン・ディディエを祀るロマネスク様式の教会堂が建立され、内部には16世紀のルターブルが現在も残る。葡萄栽培の記録としては1669年にビノン=コカール家が栽培を開始したことが同家の記録に残っており、その後18世紀末には製ガラス工場(verrerie)も設立されるなど、農業と軽工業が共存する村の歴史を物語っている。

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「Spoy」を拠点とするシャンパン銘柄

参考情報