Béthon / ベトン

ベトンはコート・ド・セザンヌを代表するシャルドネの村。総栽培面積194 haのうち実に93%以上をシャルドネが占め、オートル・クリュながらブラン・ド・ブランの一大産地として確固たる地位を築く。コート・デ・ブランとは一線を画す、トロピカルでアロマティックな果実味が詰まった一杯は、飲む者に南マルヌの豊かさを余すなく伝えてくれる。

基本情報

地域圏(Région)Grand Est
県(Département)Marne
区(Arrondissement)Épernay
郵便番号 : 51260
面積 : 15.23 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Montgenost, Potangis, Chantemerle, Nesle-la-Reposte, La Forestière,

「Béthon」のぶどう畑

テロワールCôte de Sézanne
格付け80% Autre Cru [?]
栽培面積194.9 ha
- Chardonnay180.7 ha (92.7%)
- Pinot Noir12.8 ha (6.6%)
- Pinot Meunier1.2 ha (0.6%)
- その他0.2 ha (0.1%)

特徴

栽培面積の93%以上をシャルドネが占めるベトンでは、ブラン・ド・ブランが主流のスタイル。ただしコート・デ・ブランのキリッとしたミネラル感とは対照的に、パイナップルや白桃を思わせるトロピカルなアロマと柔らかな酸が持ち味だ。ル・ブルン・ド・ヌヴィルの「Lady de N.」シリーズや、Dekeyne & Filsの1962年植樹の古樹由来のキュヴェがその個性をよく体現している。シャープな泡よりも果実の豊かさを求めるシャンパン好きや、アジア料理・エスニック系のスパイスと合わせたいときに、その実力が際立つ。

テロワール

ベトンの土壌は石灰岩、泥灰土、砂、粘土が複雑に混在する不均質な構成が特徴だ。下層にはコート・デ・ブランと同様にチョーク(白亜)の基盤岩が存在するものの、表層にはチョークが露出しておらず、この違いがコート・デ・ブランとは異なるワインスタイルを生む根本的な要因となっている。斜面は主に緩やかな南向きで、日照をゆったりと受け止める地形。気候は大西洋由来の海洋性の穏やかさと、内陸からの大陸性の影響が交差する地帯にあり、年間平均気温10.6℃、年間降水量768 mmという数値が示すとおり、シャンパーニュ全域の中でもやや温暖な条件が整う。チョークが表層に出ていないことで、コート・デ・ブランのような鋭いミネラル感よりも、丸みのある果実味を引き出す土壌特性が形成されており、それがセザンヌ地区全体のスタイルの骨格をなしている。

詳細

ベトンはマルヌ県南部、セザンヌの南南西約12 kmに位置するコミューンで、コート・ド・セザンヌサブリージョンに属する。コミューン総面積は1,523 haで、2023年時点の人口は222人。AOCシャンパーニュ内で東にシャントメルル、西にモンジェノストが隣接し、ブドウ畑はこれら隣村の畑と東西方向に連続する帯状に広がる。行政上はマルヌ県エペルネ郡、コミュノテ・ド・コミューン・ド・セザンヌ=シュッド・ウエスト・マルネに属する。

テロワール

土壌は石灰岩、泥灰土、砂、粘土が混在する不均質な層構造をなす。下層にはチョーク(白亜)の基盤が存在するが、コート・デ・ブランとの決定的な違いは、表層にチョークが露出していない点だ。この表土の違いが、コート・デ・ブランに比べてミネラル感よりも果実の丸みを前に出すスタイルを生み出す。斜面は主に緩やかな南向きで、大西洋由来の海洋性気候と大陸性気候の影響が交差するため、年間平均気温10.6℃とシャンパーニュの中でも比較的温暖な条件にある。

主要生産者

ベトン最大の存在感を持つのが、協同組合のル・ブルン・ド・ヌヴィル(Le Brun de Neuville)だ。約170名の組合員、栽培面積150 ha(シャルドネ88%、ピノ・ノワール11%)を擁し、年間約450,000本を生産。「Grand Vintage」「Authentique」「Lady de N.」といったシリーズを展開し、コート・ド・セザンヌのブラン・ド・ブランを全国・海外に広める主要な担い手となっている。

ポール・ローラン(Paul Laurent、NM)は1993年設立のメゾンで、トップキュヴェ「l'Essentiel」をはじめ、Antoine Damont、Pierre Darcys、Charles Vincentなど複数ブランドを傘下に持つ。ベトンのグロワー果実を中心に仕入れ、セザンヌ地区の個性を表現したシャンパンを多品番展開している。

  • ティエリー・トリオレ(Thierry Triolet、RM)— ベトン、ヴィルノーズ=ラ=グランド、モンジェノストにわたる11 ha(シャルドネ80% / ピノ・ノワール15% / ピノ・ムニエ5%)を栽培。ヴィンテージ「Les ヴィエイユ・ヴィーニュ」が代表作。
  • Dekeyne & Fils(RM)— シャルドネ88%・ピノ・ノワール12%の畑を保有。旗艦キュヴェ「Cuvée Vieilles Vignes」は1962年植樹の古樹からの100%シャルドネ。
  • Dominique Jarry(RM)— ベトン6 ha・シャルリー=シュル=マルヌ2 haの計8 ha。年間40,000本生産。「Cuvée Prestige」は古樹由来の100%シャルドネ。
  • Vandier(RM)— 10 haの畑を持ち、ヴィンテージ・シャンパンも手掛ける。
  • Union Vinicole des Coteaux de Bethon(UVCB、CM)— 102名の組合員・約120 ha(シャルドネ80%)。ジルベール・グリュエが1967年に設立。 G. Gruet & Fils、Quentin Lebel、リナール・ゴンティエ(Linard-Gontier)ブランドを展開し、ヴィンテージ・ブラン・ド・ブランも生産。

大手メゾンではビルカール・サルモンモエ・エ・シャンドンがベトン内に畑を所有しており、ベトン産シャルドネの評価の高さを裏付けている。

歴史・由来

村名の起源は古く、1146年頃のラテン語文書に「Villa Fons Bethunie」、1147年には「Fons Betonis」として記録される。フランス革命期には「Fontaine-Bethon」とも呼ばれた。聖セレーヌが伯爵ボゾンを癒すために泉を湧き出させたという伝説が地域に残り、村内には16世紀建造の教会「Église Saint-Serein」と「Château de Bethon」が現存する。

ベトンがシャンパーニュAOCに加入したのは1962年。翌1963年には26名の生産者がコーペラティヴ「La Crayère」(後のル・ブルン・ド・ヌヴィル)を設立した。ブランド名はシャトー・ド・ベトンの19世紀の所有者、ル・ブラン夫人にちなむ。1967年にはジルベール・グリュエ(1931〜1999)がUVCBを設立し、30名の組合員でスタートを切った。

さらにジルベール・グリュエは1983年にアメリカのニューメキシコ州を訪れてブドウ栽培の可能性を見出し、翌1984年にシャルドネとピノ・ノワールを現地に植樹。1987年ヴィンテージから醸造を開始した「Gruet Winery」は現在、米国屈指のスパークリングワイン生産者として高い評価を受けている。シャンパーニュの一村から海を渡った物語は、ベトンというコミューンの開拓精神を象徴するエピソードとして語り継がれている。

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「Béthon」を拠点とするシャンパン銘柄

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