Buxières-sur-Arce / ビュキシエール=シュル=アルス

ビュキシエール=シュル=アルスは、コート・デ・バールのバルセカネエリアに刻まれた、ピノ・ノワールへの一途な村。全栽培面積の約81%をピノ・ノワールが占め、その純粋な果実味がグラスに宿る。そしてここから生まれたヴェット・エ・ソルベのシャンパーニュは、自然派ワインの世界で今や一つの伝説になっている。

基本情報

地域圏(Région)Grand Est
県(Département)Aube
区(Arrondissement)Troyes
郵便番号 : 10110
面積 : 10.43 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Beurey, Magnant, Bar-sur-Seine, Chervey, Ville-sur-Arce,

「Buxières-sur-Arce」のぶどう畑

テロワールCôte des Bar
- Barséquanais
格付け80% Autre Cru [?]
栽培面積43.5 ha
- Chardonnay8.6 ha (19.8%)
- Pinot Noir34.7 ha (79.8%)
- Pinot Meunier0.2 ha (0.5%)
- その他0 ha (0%)

特徴

ビュキシエール=シュル=アルスのシャンパーニュは、ピノ・ノワールが主役を張る赤果実の密度感と、冷涼な気候が刻む引き締まった酸が特徴だ。熟したラズベリーやブラックチェリーの果実味に、土っぽいミネラルのニュアンスが重なる、コート・デ・バールらしい実直なスタイルといえる。 この村の個性を最も鮮明に表現しているのが、ヴェット・エ・ソルベのラインナップだ。ピノ・ノワール100%の「Fidèle」はドサージュゼロでも果実の豊かさが際立ち、「Saignée de Sorbée」はピノ・ノワールのロゼとして圧倒的な存在感を放つ。樽発酵・無補糖・低亜硫酸というアプローチは、ブドウそのものの力を前面に押し出す。ピノ・ノワールの深みを探る飲み手や、ナチュラルワインに入門したいシャンパーニュファンにとって、この村は必ず一度たどり着くべき場所になっている。

テロワール

ビュキシエール=シュル=アルスは、アルス川右岸の斜面に27の生産者が畑を営む、バルセカネテロワールの典型的な村だ。標高182mに位置し、斜面の向きは南東から西まで多様で、ほぼ真南を向くセクターも含まれる。この向きの多様性は、果実に複雑な熟度のグラデーションをもたらす。 気候はケッペン分類Cfb——温帯海洋性に属しながらも、モンターニュ・ド・ランスやコート・デ・ブランとは異なり、ロレーヌ・ラングル高原・モルヴァン気候区の影響を受ける「海洋性変質気候」だ。冬は厳しく気温1.5°C前後まで落ち込み、秋冬には霧が谷を覆う。年間平均気温は11.4°C、降水量は747mmで(近隣Celles-sur-Ourceの気象台データ)、シャンパーニュの中では内陸的・大陸的な季節の振れ幅がある。 土壌の詳細な地質情報は現時点で限られているが、リュー・ディ「Bas de Biaunes」では粘土質(argile)を名に冠したキュヴェが生まれており、粘土石灰質の地層がピノ・ノワールの骨格形成に寄与していると推察される。コート・デ・バール全体に共通するジュラ紀キンメリジャン系石灰岩の存在も、隣接コミューンとの連続性を示す。こうした土壌と気候の組み合わせが、肉付きのある果実味と明確な酸のコントラストをシャンパーニュにもたらしている。

詳細

ビュキシエール=シュル=アルスは、コート・デ・バールサブリージョンのバルセカネに属するコミューンで、Aube県トロワ郡に所在する。アルス川(全長26km、Côte-d'Or県Saint-Usageを源流としBar-sur-Seineでセーヌ川に合流)の右岸に沿って開け、コミューン面積は10.43 km²。北西にバル=シュル=セーヌ、南西にヴィル=シュル=アルス、東にシェルヴェが隣接する。格付けはオートル・クリュ(エシェル・デ・クリュ80%)で、総栽培面積は43.50 haに27の生産者が畑を構える。

畑はアルス川右岸の斜面上に広がり、南東から西まで向きが多様で、真南に近い好条件のセクターも含まれる。気候はロレーヌ・ラングル高原の影響を受ける「海洋性変質気候」で、冬の寒さと秋冬の霧が際立つ。近隣Celles-sur-Ourceの気象台データによれば年間平均気温11.4°C、降水量747mm(1991〜2020年)。記録最高気温40.6°C(2019年7月25日)、記録最低気温-15°C(2005年3月1日)と季節の振れ幅は大きく、内陸的な大陸性の刻印がある。土壌の詳細な地質情報は限られているが、コート・デ・バール全体に広がるジュラ紀キンメリジャン系石灰岩・粘土質地層の連続性の上に畑が成立していると考えられる。

品種構成はピノ・ノワールが34.70 ha(約81%)と圧倒的で、シャルドネ8.60 ha、ピノ・ムニエ0.20 haが続く。この比率はバルセカネテロワール、ひいてはコート・デ・バール全体の傾向をそのまま体現している。

主要リュー・ディ

  • Bas de Biaunes——村の北側、西〜南西向き斜面。粘土質(argile)を名に冠したヴェット・エ・ソルベの「Blanc d'Argile」の主要原料畑。
  • Fonnet——村の西北西、南向き。ヴェット・エ・ソルベがPinot Blancを栽培し、キュヴェ「Textures」に使用。
  • Vignes de Sorbée——村の北北東、南向き。ヴェット・エ・ソルベの屋号の由来でもあるピノ・ノワール畑。「Saignée de Sorbée」に使用。

主要生産者

ヴェット・エ・ソルベ(RM)——Bertrand Gautherrotが率いるビオディナミ生産者で、この村を世界的な自然派シャンパーニュの聖地へと押し上げた存在だ。5 haの畑を所有し、1998年からAB認証(有機農業)・DEMETERの認証を取得、2001年より自家醸造を開始。全キュヴェを樽発酵・無補糖・低亜硫酸で仕上げ、収穫年もラベルに「R11」(2011年)形式で表記するなど独自のフィロソフィを貫く。代表キュヴェは、ピノ・ノワール100%の「Fidèle」、Bas de Biaunesほかの粘土質畑から生まれるシャルドネ100%の「Blanc d'Argile」、ピノ・ノワールのロゼ「Saignée de Sorbée」、そしてFonnetのピノ・ブランを単一使用した希少な「Textures」。

歴史

「ビュキシエール(Buxières)」という村名はbuis(ツゲの木)に由来し、1095年にはBusserie(ビュッスリー)と記録されていた。最初の文献上の言及は770年——カロリング朝時代のカピトゥラリーおよびディジョンのサン・ベニーニュ修道院文書にまでさかのぼるとされる(歴史家ルシアン・クータンの研究)。

村域では新石器時代の人類居住の痕跡が確認されており、18枚のガリア硬貨の埋蔵物(デポ・モネテール)は古代ローマ期の活動を裏付ける。またトロワとラングルを結ぶローマ街道がこの村を通過していたとされ、交通の要衝としての歴史も持つ。16世紀建造の聖マルタン教会(Église Saint-Martin)は一部にロマネスク様式の痕跡を残すとされ、村のランドマークとなっている。近年は村の洗い場(lavoir ouvert)も修復された。人口は1793年の470人をピークに一貫して減少を続け、2023年現在は100人と過疎化が深刻な状況にある。

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「Buxières-sur-Arce」を拠点とするシャンパン銘柄

参考情報