Trannes / トランヌ

トランヌはコート・デ・バールのバール・シュル・オウボワ地区に位置するオートル・クリュの小村。総栽培面積わずか8.1 haながら、地区30村の中でピノ・ノワール比率が最も低く、ピノ・ムニエ比率が最高という、際立って均整のとれた品種構成が特徴だ。

基本情報

地域圏(Région)Grand Est
県(Département)Aube
区(Arrondissement)Bar-sur-Aube
郵便番号 : 10140
面積 : 10.11 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Bossancourt, Jessains, Unienville, Juvanzé, La Rothière, Éclance, Petit-Mesnil,

「Trannes」のぶどう畑

テロワールCôte des Bar
- Bar-sur-Aubois
格付け80% Autre Cru [?]
栽培面積8.1 ha
- Chardonnay1.6 ha (19.8%)
- Pinot Noir3.7 ha (45.7%)
- Pinot Meunier2.8 ha (34.6%)
- その他0 ha (0%)

特徴

トランヌの際立った特徴は品種バランスの独自性にある。ピノ・ノワールが45.7%と地区最低、ピノ・ムニエが34.6%と地区最高、シャルドネが19.8%(地区2位)という3品種の均衡は、バール・シュル・オウボワの他村では見られない構成だ。ピノ・ノワール一辺倒でなくピノ・ムニエが存在感を持つことで、果実のやわらかさと丸みが加わり、親しみやすい飲み口のシャンパンになりやすい。石灰岩・粘土混合土壌がもたらすミネラル感がその骨格を支え、派手さより日常的な食卓で映えるスタイルを生む。

テロワール

トランヌはオーブ川右岸沿いに位置し、バール・シュル・オウボワ地区のシャンパーニュ村のうち最も下流(北西)にあたる。隣接するボサンクール、Jessains、Juvanzé、La Rothière、ÉclanceはいずれもシャンパーニュAOCの対象外であり、トランヌはこの地区の端点に近い孤立した産地でもある。 土壌はコート・デ・バール全般と共通するマール(泥灰岩)と石灰岩・粘土の混合が主体で、シャブリ周辺と地質的な親縁性を持つ。地区唯一の生産者Arnoult Ruelleのドメーヌでは3種類の異なる土壌タイプが確認されており、単一村としては多様な土壌構造を内包している。 気候はMétéo-Franceが「変質した海洋性気候(climat océanique altéré)」と分類し、ロレーヌ・ラングル高原・モルヴァン気候区に属する。冬は月平均1.5°C前後と厳しく、秋〜冬にかけて霧が多い。年間平均気温は10.5°C、年間降水量は803mm(1971〜2000年平均)で、モンターニュ・ド・ランスより冷涼かつ湿潤な条件が、ブドウの成熟にゆっくりとした時間をもたらす。

詳細

トランヌはコート・デ・バールのバール・シュル・オウボワ地区に位置し、オーブ川右岸に沿った地区最下流(北西端)の村である。コミューンの総面積は1,011 haに及ぶが、シャンパーニュAOCとして認定された栽培面積は8.10 haと非常に小さい。2023年時点の人口は194人。隣接するJuvanzé(北)、La Rothière(北)、Éclance(東)、ボサンクール(南東)、Jessains(西)はいずれもシャンパーニュAOCの対象外であり、最寄りの同AOC村はDolancourt(ドランクール)やArsonval(アルソンヴァル)など南東方面に位置する。

もうひとつの地理的特記事項として、トランヌはフォレ・ドリアン地方自然公園(Parc naturel régional de la Forêt d'Orient)の圏内に含まれており、この自然公園内でシャンパーニュを生産する唯一の村でもある。自然公園が周囲を囲む特異な立地は、農業・環境管理の観点でも特別な文脈を持つ。

テロワールと土壌

土壌はバール・シュル・オウボワ地区全般と同様、マール(泥灰岩)と石灰岩・粘土の混合が主体。コート・デ・バールの土壌はシャブリ周辺と地質的な親縁性が指摘されており、石灰質土壌が根を深く張らせ、ミネラル感のある果実を育む。地区唯一の生産者の農地では3種類の異なる土壌タイプが確認されており、小規模ながら地内の多様性がある。エシェル・デ・クリュはコート・デ・バール全村一律で白黒ともに80%(オートル・クリュ)。これはオーブ地方が歴史的に「二次ゾーン」として評価されてきた経緯を反映した一律格付けであり、テロワールの個性に由来するものではない。

主要生産者

トランヌに拠点を置くシャンパーニュ生産者として代表的な存在が、アルヌー・リュエル(Arnoult Ruelle)だ。1971年創業のレコルタン・マニピュラン(RM)で、Olivier Arnoultがオーブ川流域の村内に構える農場でピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・ムニエの3品種を計5 haで栽培する。「VDC:シャンパーニュの持続的栽培(Viticulture Durable en Champagne)」認証を取得しており、環境負荷の低減を意識した栽培管理を行っている。通常3〜6種のキュヴェを手がけ、要予約で試飲にも対応している。フォレ・ドリアン地方自然公園内でシャンパーニュを造る唯一のメゾンという立地は、国立公園の規制に配慮した農業実践の面でも注目される。

また、バール・シュル・オウボワ地区では協同組合メゾンのde Barfontarcがトランヌを含む8村の54生産者家族で構成されており、バロヴィルに拠点を置く。ピノ・ノワール90%、シャルドネ10%という構成で醸造し、地区の主要品種を軸にしたスタイルを体現している。

歴史と由来

村名はTrena → Tranne → Trannes と変遷し、語末の「s」が文書に現れるのは1826年以降とされ、住民はTrannois / Trannoises と呼ばれる。中世期、領主権はブリエンヌ伯爵家が保有し、その後トロワ伯爵家の支配下に移った。1153年、ボーリュー修道院(Abbaye de Beaulieu)がタイユボワ(Taillebois)という地名に農園(Grange)を設けたことが記録されており、この農園は16世紀まで存続した。1789年時点ではシャロン(Châlons)の総督府・バール=シュル=オーブ選挙区・ショーモン(Chaumont)のバイイに属していた。村のランドマークであるサン=ミシェル教会(Église Saint-Michel de Trannes)は現在も村内に立つ。

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「Trannes」を拠点とするシャンパン銘柄

参考情報