Montgueux / モンギュー

モンギューはシャンパーニュの南端でひとり気を吐くシャルドネの孤島。周囲にシャンパーニュ生産村がひとつもない中、208ヘクタールのブドウ畑がチョークの丘に集まり、あの銘醸地コート・デ・ブランに匹敵すると囁かれるブラン・ド・ブランを生み出す。格付けはAutre Cruながら「シャンパーニュのモンラッシェ」と呼ばれる実力派――その一杯は、数字では語れない説得力を持っている。

基本情報

地域圏(Région)Grand Est
県(Département)Aube
区(Arrondissement)Troyes
郵便番号 : 10300
面積 : 11.25 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Barberey-Saint-Sulpice, La Chapelle-Saint-Luc, Saint-Lyé, Macey, Messon, Torvilliers,

「Montgueux」のぶどう畑

テロワールTroyes
格付け80% Autre Cru [?]
栽培面積208.4 ha
- Chardonnay188.4 ha (90.4%)
- Pinot Noir18.9 ha (9.1%)
- Pinot Meunier0.8 ha (0.4%)
- その他0.3 ha (0.1%)

特徴

栽培面積の約90%をシャルドネが占め、生まれるシャンパンはブラン・ド・ブランがスタイルの核心をなす。コート・デ・ブランのシャルドネが石灰の緊張感と塩味のミネラルを前面に出すのに対し、モンギューはもう少し肉感的で、熟したレモンや白桃、ほのかなトロピカルフルーツの香りが開く。バターやブリオッシュのニュアンスも乗りやすく、泡は細かく舌の上でクリーミーに溶ける。 ジャック・ラセーニュの「Vignes de Montgueux」はこのスタイルを最もわかりやすく体現するキュヴェで、単一畑「Le Cotet」では木樽熟成が深みをさらに重ねる。かつてパイパー・エドシックやシャルル・エドシックがブレンドの要として重宝したことが物語るように、料理との相性は幅広い。バター系ソースの魚料理や、塩気のある熟成チーズと合わせると、このリッチなシャルドネの本領が発揮される。

テロワール

モンギューの畑は、平坦な農耕地の中からぽつりと突き出した石灰岩の丘(標高268m)にへばりつくように広がる。この孤立した地形こそが、このコミューンの個性を決定づけている。 土壌は白亜(チョーク)と粘土の混在で、オーブ県内の他村と共通する粘土質の上に、コート・デ・ブランと同じチュロニアン期の白亜とシレックス(火打石)が重なる。この多孔質な地層は雨水を蓄え、乾燥期に段階的に放出する天然の水分貯留機能を果たしており、夏の干ばつ年でもブドウのストレスを緩和する。地下には9,000万年以上前の石灰岩層が連続し、インポーターのJenny & Françoisはル・メニルと同一地層の延長にあると指摘している。 斜面は南〜南南東向きで日照量が最大化される。丘の四方を農業平地が囲むため通気性が高く、病害リスクが低い。エレーヌ・ボーグランが「シャンパーニュで最も健全な畑」と語るのは、1970〜90年代に農薬の影響を比較的受けなかった土壌の清潔さにも起因している。コート・デ・ブランとオーブを結ぶ地質的連続性と、孤立した丘ならではの通風と日照——この二つが重なることで、ここのシャルドネは南の太陽の豊かさと北のミネラル感の両方を手に入れる。

詳細

モンギューは、フランス北東部オーブ県の県都トロワから西へ約5〜10 kmに位置するコミューンで、シャンパーニュ生産地帯の中では最南端に近い飛び地的な存在だ。コミューン全体の面積は1,125 haに及ぶが、ブドウ畑は208.40 haで、村の南側に一塊のかたまりとして広がっている。周囲のコミューン——Barberey-Saint-Sulpice、La Chapelle-Saint-Luc、Saint-Lyé、Macey、Messon、Torvilliers——はいずれもシャンパーニュAOCに含まれておらず、モンギューはこのテロワールをたった一村で構成する、シャンパーニュ唯一の「孤立した生産地」である。

この地形的孤立は、ブドウ畑の環境にも直結している。平坦な農耕地に囲まれた中から石灰岩の丘が単独で突き出し、標高268 mの南〜南南東斜面にブドウが植わる。四方が平地に囲まれているため風通しが良く、病害のリスクが低い。土壌はチュロニアン期の白亜(チョーク)とシレックス(火打石)、そしてオーブ県に共通する粘土が混在する。白亜とシレックスの多孔質な地層は天然の水分貯留機能を持ち、乾燥時にもブドウへ安定した水分供給を行う。地下9,000万年以上前の石灰岩層はコート・デ・ブランのル・メニルと地質的に連続しているとも指摘されており、このコミューンの高いポテンシャルの根拠とされている。

モンギューを代表する生産者は、ジャック・ラセーニュだ。1999年よりエマニュエル・ラサーニュが運営し、自社畑4.7 haと村内からのごく少量の買いブドウを組み合わせる。ノン・ヴィンテージのブラン・ド・ブラン「Vignes de Montgueux」はモンギューのスタイルを最もわかりやすく表現するエントリー的キュヴェであり、単一畑「Le Cotet」(一部木樽)や全量木樽の「La Colline Inspirée」はより複雑な奥行きを持つ。静止ワイン(コトー・シャンプノワ)「Haut Revers du Chutat」も手がけ、モンギューのシャルドネが発泡せずとも十分な個性を持つことを証明している。

エレーヌ・ボーグランは2018年創業の新鋭で、自社畑3 ha・6キュヴェを展開するHVE Level 3認証の生産者だ。シングル・プロット「Derrière la Cabane」「Le Grand Carré」など区画ごとの個性にこだわったラインナップを持つ。彼女の祖父レオン・ボーグランは1927年のAOC認定に尽力した人物であり、現在も村の目抜き通りに「Rue Léon Beaugrand」としてその名が刻まれている。モンギューと家族の歴史が重なる、この村を語る上で欠かせない存在だ。

モンギューでブドウ栽培が始まったのは1960年代のことで、シャンパーニュ全体の歴史からすれば新参者に近い。転機は1927年7月22日、オーブ地域がシャンパーニュAOCに正式に組み込まれた時だ。この認定を地元で推進したのがレオン・ボーグランであり、現在の目抜き通りにその名が残る。エシェル・デ・クリュでは長らく80%(Autre Cru)と格付けされてきたが、これはオーブ県のほぼ全村に一律適用された数字であり、実際の品質を反映したものではないという批判が根強い。「シャンパーニュのモンラッシェ」というニックネームはシャルル・エドシックの元醸造長ダニエル・ティボーに由来するとされ、かつてパイプール・エドシックやシャルル・エドシックがブレンドの核としてモンギューのシャルドネを重用していたことを物語る。現在、周辺11コミューンを加えた「コート・ド・トロワ」構想も提唱されており、このひと村のテロワールがより広い文脈で語られる日も近いかもしれない。

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