Merfy / メルフィ

メルフィは、砂質土壌というモンターニュ・ド・ランスでは異色のテロワールを持つマッシフ・ド・サン・ティエリーのオートル・クリュ村。地下に眠るチョーク層と砂土が組み合わさり、接木なしの古樹ブドウが今も生き残る稀有な環境を生んでいる。シャルトーニュ・タイエが牽引するリュー・ディキュヴェの世界は、一度知ったら忘れられない。

基本情報

地域圏(Région)Grand Est
県(Département)Marne
区(Arrondissement)Reims
郵便番号 : 51220
面積 : 6.69 km2
隣接するクリュ(Coomune)
Saint-Brice-Courcelles, Champigny, Saint-Thierry, Pouillon, Châlons-sur-Vesle, Chenay,

「Merfy」のぶどう畑

テロワールMontagne de Reims
- Massif de Saint-Thierry
格付け84% Autre Cru [?]
栽培面積46.2 ha
- Chardonnay16.2 ha (35.1%)
- Pinot Noir9.6 ha (20.8%)
- Pinot Meunier20.4 ha (44.2%)
- その他0 ha (0%)

特徴

メルフィで最も多く栽培されるのはピノ・ムニエ(約44%・20.40 ha)で、次いでシャルドネ(約35%・16.20 ha)、ピノ・ノワール(約21%・9.60 ha)と続く。砂質土壌由来の軽やかなテクスチャーと、地下チョーク層がもたらす骨格の締まりが共存するのがこの村のスタイルで、果実の丸みと細かい酸が調和した飲み口が特徴だ。 特筆すべきはシャルトーニュ・タイエが手がけるリュー・ディキュヴェの存在。接木なし自根のピノ・ムニエ老木から生まれる「Les Barres」や「Les Alliées」は、砂土ならではの独特のテクスチャーと凝縮感を持ち、通常のメルフィとは一線を画す複雑さを見せる。また希少品種アルバンヌも0.17 ha栽培されており、ブレンドに異なる次元のニュアンスを加えている。グロワー・シャンパンに興味を持ち始めた飲み手が「産地の個性とは何か」を体感するのに、これほど適した村はそう多くない。

テロワール

メルフィのテロワールを語るうえで欠かせないのが、マッシフ・ド・サン・ティエリー地区では際立った存在感を持つ砂質土壌だ。ランスの北西に位置するこの村の畑は、村の南側を中心に、メルフィとシュネイの間の西側にも広がっており、地形は全体的に平坦で、南向きを含む緩やかな複数の斜面が折り重なるように分布している。 ほとんどの畑で砂質土壌が卓越しており、リュー・ディによっては地下1.6〜2メートルの深さに白亜(チョーク)層が存在する。この砂とチョークの二層構造こそが、メルフィを隣接するサン=ティエリーやシュネイと区別する最大の個性だ。砂質土壌はフィロキセラの害虫が根に侵入しにくい性質を持つため、通常は必須とされる接木台木を用いないフラン・ド・ピエ(自根樹)の老木が現役で残っている。こうした自根の古樹は世界的にも希少で、砂の恩恵なしには存在し得ない。 地下のチョーク層は排水性と保水性を適度に補い、夏の乾燥期でも根が一定の水分を得られる環境を整える。砂質の軽い表土と白亜の下層が組み合わさることで、ピノ・ムニエやシャルドネの根が縦方向に深く伸び、リュー・ディごとに異なるミネラルや酸味の表情を引き出している。

詳細

メルフィはモンターニュ・ド・ランスの西端に位置するマッシフ・ド・サン・ティエリー地区のコミューンで、ランス市街から北西へすぐの場所にある。コミューン全体の面積は669 haで、A26/E17高速道路(ランス〜カレー方面)が南部を通過する。北にプイヨン、北東・東にサン=ティエリー、南西にシャロン=シュル=ヴェル、西にシュネイが隣接しており、マッシフ・ド・サン・ティエリーの中核を構成するコミューンのひとつだ。人口は約609人(2016年時点)で、住民はMerfiens/Merfiennes(メルフィアン/メルフィエンヌ)と呼ばれる。

テロワールの最大の特徴は砂質土壌だ。シャンパーニュの多くのコミューンがチョーク(白亜)主体の土壌を持つ中、メルフィでは地表付近に砂質層が広がり、場所によっては地下1.6〜2メートルにチョーク層が続く二層構造をなしている。この砂質環境はフィロキセラの侵害を受けにくい性質を持つため、通常は世界中で義務化されている接木台木を使わない「フラン・ド・ピエ(自根樹)」の老木が現在も生き残っている。リュー・ディごとに砂の質感やチョーク層の深さが異なり、シャルドネには石灰質砂土(Le Chemin de Reims、Les Heurtebise)、ピノ・ムニエの古木には暗色砂土や地下2 mにチョークを持つ砂土(Les Alliées、Les Barres)、ピノ・ノワールには粘土と岩の上に石灰質砂土が重なる区画(Les Couarres)など、多様な微地形が折り重なる。

メルフィを代表する生産者はシャルトーニュ・タイエ(Chartogne-Taillet)だ。現当主のアレクサンドル・シャルトーニュが2006年に家業を引き継ぎ、コート・デ・ブランのアヴィーズを本拠とするアンセルム・セロスに師事。11 haを所有し、接木なし老木を含む13区画からリュー・ディキュヴェを次々とリリースしている。村のスタンダードキュヴェ「Sainte Anne」、シャルドネ比率の高い上位キュヴェ「Fiacre」に加え、単一区画の「Les Barres」(2006年初ヴィンテージ)、「Orizeaux」「Heurtebises」「Alliées」「Chemin de Reims」(いずれも2007〜2008年以降)など、リュー・ディごとの個性を追求するラインアップが国際的な評価を高め、マッシフ・ド・サン・ティエリーの名をシャンパーニュ愛好家に広く知らしめた。

  • イヴ・ルモワン(Yves Lemoine)(RC)— 3.6 haを所有。メルフィのほかサン=ティエリー、シュネイ、エルモンヴィルの畑を持ち、シャルドネ主体のアッサンブラージュを得意とする。
  • マルク・ルモワン(Marc Lemoine)(RC)— 2.6 ha。シャルドネとピノ・ノワールを主体としたキュヴェを手がける。
  • ティエリー・ルモワン(Thierry Lemoine)(RC)— ルモワン家の一軒として地元に根ざした生産を行う。
  • ルイ・アノ(Louis Anot)(RC)— ヴィンテージ・シャンパンも手がける小規模生産者。
  • プレヴォトー・イルナール(Prévoteau-Hiernard)(RC)— メルフィを拠点とするグロワー。
  • リュック・メラ(Luc Merat)(NM)— マッシフ・ド・サン・ティエリーとヴァレ・ド・ラルドル合わせて7 haを所有するネゴシアン。
  • ルモワン・ビル(Lemoine-Billet)(NM)— ヴィンテージ・シャンパンを含むラインアップを展開。

メルフィにおけるブドウ栽培の歴史は7世紀に遡る。隣村サン=ティエリーの修道院の修道士たちがこの地にブドウを植えたのが起源とされており、中世にはその修道院がシャンパーニュ地方最大規模のブドウ畑を保有していたと伝えられている。長い年月を経て農家が受け継いできた畑には、砂質土壌に守られてフィロキセラを生き延びた自根の古木が今も残り、単なる産地情報を超えた生きた歴史として村の個性を形づくっている。1997年の栽培面積43 haから現在の46.20 haへとほぼ横ばいで推移しており、大きな開発や再編を経ることなく小規模生産者中心の構造が保たれている。

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「Merfy」を拠点とするシャンパン銘柄

参考情報