Marie Noëlle Ledru / マリー・ノエル・レドリュは、フランス北東部のシャンパーニュ地方で生産されるシャンパン(発泡性ワイン)の銘柄、Ambonnayを本拠とするRM / レコルタン・マニピュラン、いわゆる栽培醸造家の銘柄で、自社でブドウを育て、そのブドウでシャンパンを生産しています。
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目次

Marie Noëlle Ledru / マリー・ノエル・レドリュ

Marie Noëlle Ledru

マリー・ノエル・レドリュ

マリー・ノエル・レドリュは、グラン・クリュ格付けの村アンボネイで、当主がひとりで栽培から瓶詰めまでを手掛けた小さなドメーヌです。ピノ・ノワールの赤い果実味とアンボネイらしい張りのある酸が響き合う味わいで知られ、2016年ヴィンテージを最後に生産を終えた今も熱心な愛好家が探し続ける存在です。

基本情報

地区Montagne de Reims / モンターニュ・ド・ランス
- Grande Montagne de Reims / グランド・モンターニュ・ド・ランス
51150 Ambonnay / アンボネイ [Grand Cru]
所在地5 place de la Croix, 51150 Ambonnay (Google Maps)
公式サイト-
SNS@champagnemarienoelleledru
Tel+33 (0)3 26 57 09 26
製造業者種別RM
生産者表記Marie-Noëlle Ledru

商品更新情報

特徴・スタイル

畑の85%を占めるピノ・ノワールが、このドメーヌの味わいの背骨をつくります。赤い果実の香りははっきりと感じられますが、甘やかに広がるのではなく、柑橘のシャーベットを思わせる冷たさとミネラル感が輪郭を引き締めます。 醸造でも足し算はほとんどありません。ろ過も低温安定化も行わず、ドサージュ(加糖による甘みの調整)は極めて少量かゼロ。マロラクティック発酵によって角の取れた質感を得ながら、アンボネイが持つ力強さと酸のコントラストをそのまま瓶に写し取ったスタイルです。

歴史・ブランドストーリー

マリー・ノエル・レドリュの物語は、1946年に彼女の両親がアンボネイに自社ドメーヌを構えたところから始まります。当時のシャンパーニュは大手メゾンが市場を握る時代で、栽培農家はブドウを売り渡すのが当たり前でした。そのなかで自社畑のブドウだけを自ら瓶詰めするという選択は、決して主流ではない道でした。 両親の引退を受けて畑を引き継いだのは1984年のこと。モンターニュ・ド・ランス南部で4代続く栽培家系に生まれた彼女は、自らを醸造家ではなく「女性栽培家(viticultrice)」と称し続けました。 以後32年間、剪定から収穫、醸造、動瓶やデゴルジュマンに至るまで、ほぼすべての工程を自身の手で行い続けます。そして2016年ヴィンテージを最後に、2017年に静かに生産の幕を下ろしました。畑は近親者に引き継がれ、ブドウとして販売されているとも伝えられます。いま市場に残るのは、彼女がひとりで仕上げた最後の収穫までのボトルだけです。

詳細

マリー・ノエル・レドリュの畑は、モンターニュ・ド・ランスの南に位置するアンボネイと、その隣のブジーに分かれて所在します。どちらもグラン・クリュに格付けされた村で、ピノ・ノワールの銘醸地として知られる一帯です。区画はアンボネイ村内の南東向きの急斜面にあり、白亜質土壌が卓越する場所とされます。日照を受けやすい傾斜と、水はけがよく地中に水分を蓄える白亜という条件が、果実の熟度と酸の張りを同時に満たす下地になっています。

畑の規模については情報が一定しません。かつては6ha程度と紹介されてきましたが、家族間での分割を経て2ha台にまで縮小したとする記載や、さらに小さい面積を示す記録もあり、時期によって実態が変化してきたとみられます。品種構成はピノ・ノワールが約85%、シャルドネが約15%で、シャルドネはブジーの区画に植えられています。平均樹齢は約40年に達し、収量よりも凝縮度を優先する古木が中心です。植え替えを最小限にとどめてきた結果、根は深く伸び、天候の変化に左右されにくい果実が得られます。

栽培は、正式な有機認証こそ取得していないものの、実質的には有機栽培に準じる方針で行われてきました。殺虫剤と除草剤は使わず、やむを得ず資材を用いる場合も環境負荷の小さいものに限られました。除草や土壌の手入れは機械に頼らず手作業が中心で、畑に立つ時間の長さがそのまま品質管理になっていました。当主が自らを醸造家ではなく栽培家と呼んだのは、この働き方をそのまま言い表したものです。

栽培から醸造、瓶詰め、出荷までをひとつの手で完結させるレコルタン・マニピュラン(RM)という形態は、規模の拡大には向きません。しかし、収穫の判断からデゴルジュマンのタイミングまで、すべての決定が同じ人物の感覚で一貫するという強みがあります。このドメーヌは、その利点を最大限に引き出す方向へ振り切った造りを続けてきました。

栽培・熟成データ
ピノ・ノワール比率約85%
シャルドネ比率約15%
平均樹齢約40年
澱との接触期間(ノン・ヴィンテージ)36か月以上
澱との接触期間(ミレジメ)60か月以上
当主による生産期間32年

醸造方針

一次発酵はステンレスタンクとホーロータンクで行われ、木樽は用いません。素材の輪郭をぼかさず、畑ごとの個性をそのまま拾い上げる意図がうかがえます。全キュヴェでマロラクティック発酵(乳酸発酵)を行うため、グラン・クリュのピノ・ノワールが持つ強い酸は角が取れ、クリーミーな質感へと変わります。

瓶詰め後の熟成は、ノン・ヴィンテージで最低36か月、ミレジメでは最低60か月を澱とともに過ごします。規定を大きく上回る期間をセラーで待つ設計で、泡はきめ細かく、酵母由来の香ばしさが果実味に厚みを加えます。熟成に使うのは小規模な低温セラーのみで、大量生産を前提とした瓶熟施設は持ちませんでした。

仕上げの工程も一貫して手仕事です。動瓶(ルミュアージュ)とデゴルジュマンはすべて手作業で行われ、ろ過と低温安定化は実施しません。澱を取り除く以外に余計な操作を加えないため、ワインの旨みや微細な要素が損なわれにくくなります。ドサージュは低めからゼロドサージュが中心で、甘みで味わいを整えるのではなく、ブドウそのものの熟度で均衡を取る考え方が貫かれています。

評価と現在

レドリュのシャンパーニュは、アンボネイのピノ・ノワールを飾らずに表現する造り手として、専門家や愛好家から長く支持を集めてきました。業界内では「アンボネイの女王」と呼ばれることもあり、ひとりで畑と醸造を担い続けた姿勢そのものが評価の対象になっています。大々的な宣伝を行わない造り手でしたが、味わいの一貫性が専門家の間で語り継がれてきました。

2016年ヴィンテージを最後に生産は終了し、新規の受注も行われていません。それでも関心は途切れず、2024年には過去のキュヴェ19種類を並べる垂直試飲イベントが開かれ、専門メディアで紹介されました。すでに新しいボトルが生まれることはありませんが、32年分の仕事は、いま手元に残る一本一本のなかで確かめることができます。

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