Henri Abele / アンリ・アベレは、フランス北東部のシャンパーニュ地方で生産されるシャンパン(発泡性ワイン)の銘柄、Reimsを本拠とするNM / ネゴシアン・マニピュランの銘柄です。
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目次

Henri Abele / アンリ・アベレ

Henri Abele

アンリ・アベレ

アンリ・アベレは、ランスに1757年創業し、シャンパーニュ地方で5番目に古いメゾンを標榜する老舗。自社畑を持たないネゴシアン・スタイルながら、コート・デ・ブランなど厳選クリュの栽培家と長年の信頼関係を築き、「時間をかける」を標語に骨太な味わいを紡ぎ出す。

基本情報

地区Montagne de Reims / モンターニュ・ド・ランス
- Vallée de la Vesle / ヴァレ・ド・ラ・ヴェスル
村51100 Reims / ランス
所在地50 rue de Sillery, 51051 Reims (Google Maps)
公式サイトhttps://www.abele1757.com/
https://www.abele1757.fr/
Tel+33 (0)3 26 87 79 80, +33 (0)326 87 79 81(fax)
設立1757
製造業者種別NM
生産者表記HENRI ABELÉ
資本グループTerroirs & Vignerons de Champagne 傘下

商品更新情報

特徴・スタイル

アンリ・アベレが掲げる「Prendre le temps(時間をかける)」という標語どおり、じっくりと醸されるスタイルが持ち味。シャルドネを軸に、コート・デ・ブランやモンターニュ・ド・ランスなど複数クリュのブドウを組み合わせることで、単一畑にはない奥行きと安定感を生み出す。ブラン・ド・ブランは瓶詰め後3〜4年もの熟成を経てからリリースされ、まろやかな泡と穏やかな酸のバランスが特徴。ランス地下のクレイヤードで静かに時を重ねたシャンパーニュは、華やかさよりも滋味深さを感じさせる、飲み手に「間」を思い出させる一本に仕上がっている。

歴史・ブランドストーリー

アンリ・アベレの物語は1757年、ランスでテオドール・ヴァンデルヴェケンが興したメゾンに始まる。1816年には後の当主アンリの祖父アントワーヌ・ド・ミュレールが、ヴーヴ・クリコ・ポンサルダンのシェフ・ド・カーヴ時代にボトルを斜めに差し込む台を考案し、「ルミュアージュ」の礎を築いたと伝えられる。1842年に家業を継いだミュレールの娘はフランソワ・アベレと結ばれ、生まれた息子アンリが1876年に当主となり自らの名をメゾンに冠した。1884年には氷を使った冷却デゴルジュマンを導入し、品質へのこだわりを深めていく。第一次世界大戦でランスが焼け野原となったのち、1920年にアンリは戦火で首を失った大聖堂の「微笑む天使像」の修復費用を全額負担。この逸話は後年、プレステージキュヴェ「ル・スーリール・ド・ランス」の名として結実する。1939年にアベレ家が経営から退いたのち、メゾンの歩みは幾度かのオーナーシップの変遷を経て2019年にニコラ・フイヤットの生産者協同組合の傘下に入り、独立採算・独立醸造の方針のもと今もランスの地でクラフトマンシップを守り続けている。

詳細

アンリ・アベレは、自ら栽培は行わず購入したブドウで醸造を手がける生産者区分「NM(ネゴシアン・マニピュラン)」に属するメゾンである。モンターニュ・ド・ランスの中心地ランスに本拠を置きながら、1757年の創業以来、シャンパーニュ地方で5番目に古いメゾンを標榜する歴史を背景に、コート・デ・ブラン、モンターニュ・ド・ランス、コート・ド・セザンヌ、ヴィトリャ、レ・リセといった性格の異なる複数のクリュから、区画と栽培者を厳選して調達している。

自社畑を持つRM(レコルタン・マニピュラン)とは異なり、NMは畑を持たない分、複数の産地から最良の区画を選び取れる自由度を持つ。アンリ・アベレはこの利点を最大限に生かし、単一の畑や気候に依存しないスタイルを磨いてきた。自ら畑を耕さないからこそ、産地を横断する視点でアッサンブラージュの可能性を追求できるのが、このメゾンの強みである。畑を所有しない代わりに、1980年代から続く約30戸の栽培家との長期的な信頼関係を軸に、産地ごとの個性を見極めながらブドウを買い付ける調達スタイルを確立してきた。単年の収穫や単一畑の出来に左右されにくいこの体制が、ヴィンテージを超えて安定した品質を保つ礎になっている。

調達するブドウはシャルドネを主体とし、コート・デ・ブランやモンターニュ・ド・ランス、コート・ド・セザンヌ、ヴィトリャといった各産地の白亜質土壌が育む果実味を活かす。単一の畑に依存せず複数のテロワールを組み合わせるアッサンブラージュの発想は、シェフ・ド・カーヴのエティエンヌ・エトゥノーが体現する哲学そのものである。彼は醸造学と農学エンジニアの二重学位を持ち、CIVCでテロワールと土壌の研究に従事したのち、オーストラリアやカリフォルニアのスパークリングワイン生産者で経験を積んで着任した人物であり、複数産地を見渡す視点をメゾンの醸造に持ち込んでいる。

生産データ
項目数値
創業年1757年
提携栽培家数約30戸
ドサージュ6〜8g/L
ブラン・ド・ブラン熟成期間瓶詰め後3〜4年
カーヴ深さ20m以上
ギャラリー総延長約2km
カーヴ内温度11〜13℃

醸造方針

醸造の指針は「Prendre le temps(時間をかける)」という標語に集約される。ドサージュはキュヴェにより6〜8g/Lの幅で調整され、果実の凝縮感とバランスを両立させる。なかでもブリュット・ブラン・ド・ブランは瓶詰め後3〜4年の熟成を経てからリリースされ、じっくりと澱と向き合う時間が滑らかな泡立ちときめ細やかな味わいを育む。

現在はニコラ・フイヤットの生産者協同組合の傘下にありながら、独立採算・独立醸造の方針を貫いており、栽培契約からアッサンブラージュ、熟成に至るまで自社の裁量で意思決定を行う体制を維持している。この体制が、グループ入り後もアンリ・アベレらしいスタイルを保つ支えとなっている。

現行ラインナップはエクストラ・ブリュット限定版、ブリュット、ブリュット・ロゼ、ブラン・ド・ブラン、ブリュット・ミレジメ2014、そしてプレステージキュヴェ「ル・スーリール・ド・ランス」ブリュット・ロゼまで幅広く、いずれも複数クリュのブドウを組み合わせるアッサンブラージュの妙で仕上げられている。

カーヴとヴィノテーク

熟成の舞台となるのは、1870〜1872年にかけてランスのビュット・サン・ニケーズ地下に築かれたカーヴである。深さ20m以上の白亜(クレイ)採掘坑を利用したギャラリーは総延長約2kmに及び、温度11〜13℃、湿度が一定に保たれた完全な暗闇という、熟成に理想的な環境を備える。この一帯はユネスコ世界遺産「シャンパーニュ地方の丘陵・家屋・貯蔵庫」の構成要素の一部としても登録されている。こうした環境で育まれた保存性の高さは、収穫年を超えて安定した品質のシャンパーニュを届けることにもつながっている。

カーヴに併設されたヴィノテークには1920年代にまでさかのぼるヴィンテージが静かに眠り、アンリ・アベレが刻んできた歳月の厚みを物語っている。こうして積み重ねられた時間の厚みは、瓶詰め直後には出せない熟成感を各キュヴェにもたらしている。

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