「ゴ・エ・ミヨ」とは

Gault & Millau / ゴ・エ・ミヨ

ゴ・エ・ミヨ(Gault & Millau)は、フランス人ジャーナリストのアンリ・ゴとクリスチャン・ミヨが1969年に創刊した食のガイドブックである。ミシュランと並ぶフランスの二大グルメガイドとして知られ、現在は15カ国以上で版が展開されている。日本では2017年から刊行がはじまり、国内のレストランを独自の基準で評価している。 評価の方法はミシュランとは大きく異なる。20点満点の採点方式を採用し、評価基準は料理の質だけでなく、雰囲気やサービス、コストパフォーマンスなども含まれる。高得点のレストランには、1〜4つの「コック帽(トック)」が贈られる。ミシュランが星の数という端的な記号で格付けするのに対し、ゴ・エ・ミヨは点数とともにシェフやレストランの個性をより詳しく読み物的に伝えるスタイルが特徴だ。また、掲載にあたって一切の費用を請求しない点は、ミシュランと共通する信頼性の根拠となっている。 ■ ヌーヴェル・キュイジーヌとの深い関係 このガイドが美食史に刻んだ最大の功績が、「ヌーヴェル・キュイジーヌ(新しい料理)」の提唱だ。1973年、ゴとミヨは自誌に「ヌーヴェル・キュイジーヌの十の戒律」と題した記事を発表。重厚なソースや過剰な装飾を特徴とする伝統的なオート・キュイジーヌ(高級フランス料理)を批判し、素材の持ち味を生かした軽やかで創造的な料理を支持した。ポール・ボキューズ、ジョエル・ロブションといった後に世界的巨匠となるシェフたちを早い段階から取り上げ、その名声を後押しした。「新しい才能の発見」はゴ・エ・ミヨの看板精神として今も受け継がれている。 ■ シャンパーニュとゴ・エ・ミヨの接点 シャンパーニュの文脈でゴ・エ・ミヨが登場するのは、主にふたつの場面である。 ひとつは、レストランの格付けとしての間接的な影響だ。シャンパーニュは食事と切り離せない飲み物であり、ゴ・エ・ミヨで高評価を受けるレストランの多くはシャンパーニュのリストにも力を入れている。ガイドの評価はソムリエやバイヤーの目にも止まり、どのメゾンやレコルタン(ブドウ栽培者自らが醸造・販売する生産者)のシャンパーニュがそのような店に採用されるかは、生産者の評判に少なからず影響する。 もうひとつは、ゴ・エ・ミヨがワインそのものの評価にも踏み込んでいる点だ。フランス版をはじめとする一部の国版では、料理だけでなくワインや生産者についても言及することがある。シャンパーニュの生産者がゴ・エ・ミヨの評価やスコアを輸出資料や販促物に掲載するケースも見られ、特に小規模なレコルタン・マニピュラン(RM、自社畑のブドウで一貫生産する生産者)にとっては、ミシュランのような知名度をまだ持たない生産者の品質を伝えるひとつの指標となりうる。 ミシュランが「どの店に行くべきか」を示すガイドだとすれば、ゴ・エ・ミヨは「誰が料理を作っているか」「その土地の食文化は何か」という視点に重きを置く。テロワール(土地の個性)を重視するシャンパーニュの世界観とは、その点で親和性が高いといえるだろう。

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