ヴァレ・ド・ラ・マルヌ とは

ヴァレ・ド・ラ・マルヌ / Vallée de la Marne

シャンパンの主要生産地区のひとつ。
和訳すると、マルヌ渓谷。

ヴァレ・ド・ラ・マルヌは、エペルネから西へと蛇行して流れるマルヌ川とその支流に沿ってセーヌ=エ=マルヌ県まで8000haにわたって葡萄畑が続く、オーヴネ=ヴァル=ドールからキュミエールの村落まで一つにまとめた地区になります。この長く延びた地区は異なる自然環境が入り混じり、その為産するワインも多様性に富んでいて、シャンパーニュ地方のなかでももっとも複雑な産地です。

マルヌ川の両岸に畑はありますが、日照の関係から右岸の南向きの畑のほうが優勢となっており、北向きの斜面はシャトー=ティエリー付近で徐々に消えていきます。

マルヌ川からの霧の発生によっておこる湿度、川の反射光によって温暖な気候となり、シャンパーニュにある324村の中で一番に収穫がはじまるキュミエール村もここにあります。斜面中腹以上の南向きの区画は霜の被害を受けず、温暖な気候を享受でき、ピノ・ノワール種の栽培が行われる。ここでつくるピノ・ノワールはすばらしいシャンパーニュになり、数多くの大手メゾンがここに畑を所有しています。一方、谷間に冷気が落ちこみ、川が運んだ粘土質による冷たい地表温度が霜を呼ぶことも多く、霜に強いピノ・ムニエ種が栽培されるようになりました。

作付面積はかなりありますが、他の地区に比べると影が薄く、ことに下流へ下るほど白亜質を含んだ石灰粘土質が次第に肥沃な草地に変化していくためか葡萄の品質が落ちていきます。

グラント・ヴァレとエペルネー付近では3つの葡萄品種が栽培されていますが、なかでもピノ・ムニエ種が全体の7割強から8割とピノ・ムニエの植え付けが多くなっています。
また有名なブジィの赤のように、この地区でも赤ワインの生産も続いています。


ヴァレ・ド・ラ・マルヌには、グランクリュに格付けされている村が2あります。(格付けについては「シャンパンの格付けⅠ」で解説しています)

【ヴァレ・ド・ラ・マルヌのグラン・クリュ、プルミエ・クリュ】
グラン・クリュプルミエ・クリュ
Ay / アイ
Tours-sur-Marne(Noirs) / トゥール・シュール・マルヌ
Avenay-Val-d'Or
Bisseuil
Champillon
Cumieres
Dizy
Hautvillers
Mareuil-sur-Ay
Mutigny
Tours-sur-Marne(Blancs)



※(Blancs) - 白ブドウのみの格付け、(Noirs) -黒ブドウのみの格付け。白ブドウと黒ブドウで格付けが違う村が存在します。

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