Veuve Blanche Estelle / ヴーヴ・ブランシュ・エステルは、フランス北東部のシャンパーニュ地方で生産されるシャンパン(発泡性ワイン)の銘柄です。
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Veuve Blanche Estelle / ヴーヴ・ブランシュ・エステル

Veuve Blanche Estelle

ヴーヴ・ブランシュ・エステル

ヴーヴ・ブランシュ・エステルは、コート・デ・ブランのグラン・クリュ村ル・メニル=シュル=オジェに畑を構え、シャルドネだけで造るブラン・ド・ブランを軸とするメゾンです。イタリア人夫妻が一枚の畑との出会いから始め、化学農薬に頼らない栽培と伝統的な手仕事で、白亜の土壌が生む純度の高い味わいを描きます。

基本情報

地区Côte des Blancs / コート・デ・ブラン
村51190 Le Mesnil-sur-Oger / ル・メニル=シュル=オジェ [Grand Cru]
所在地-
公式サイトhttps://www.champagne-encry.com/
製造業者種別ND
生産者表記Union Champagne
関連銘柄Encry

商品更新情報

特徴・スタイル

ヴーヴ・ブランシュ・エステルの味わいの芯にあるのは、ル・メニル=シュル=オジェの白亜がもたらす張りのある酸とミネラル感です。シャルドネ100%のブラン・ド・ブランを軸に据え、マロラクティック発酵を行わないことで、レモンや白い花を思わせる引き締まった果実味をそのまま瓶に閉じ込めます。 一方で、味わいが痩せないよう複数年のリザーヴワインをキュヴェの約20%まで用い、42か月に及ぶ瓶内熟成でナッツやブリオッシュのような香ばしさを重ねていきます。ロゼにはブジーのピノ・ノワールを少量加え、白亜由来の緊張感に赤い果実の丸みを添えています。

歴史・ブランドストーリー

物語は、シャンパーニュとは無縁だったイタリア人技術者の仕事から始まります。環境工学と法面緑化を専門とするエンリコ・バルディンは、2000年代初頭にル・メニル=シュル=オジェの斜面畑で緑化工事を請け負い、その畑を代々守ってきたヴィニュロンが自ら瓶詰めしたシャンパーニュに心を奪われました。 2007年、パートナーのナディア・ニコリとともにこの畑への投資を決断し、二人はメゾンづくりに乗り出します。ただし、正式な登録を整えないまま販売に踏み切ったことで待ったがかかり、シャンパーニュの世界で名乗るための正当性を証明する必要に迫られました。 そこで手がかりとなったのが、ナディアの祖母が1917年に登録していた商標「ブランシュ・エステル(Blanche Estelle)」でした。祖母から孫へ受け継がれた名という経緯が認められてナディアが法的なオーナーとなり、シャンパーニュ委員会の指導のもと、メゾンは「未亡人」を意味するヴーヴを冠した現在の名を得ます。2016年には母国イタリアで初のお披露目を果たし、100年前の商標は再び生きたブランドとして動き出しました。

詳細

ヴーヴ・ブランシュ・エステルの畑は、コート・デ・ブランを代表するグラン・クリュ村ル・メニル=シュル=オジェの西側丘陵、その斜面上部に位置しています。この一帯を代々管理してきたのは地元のヴィニュロン家系で、メゾンはその区画と栽培の技を受け継ぐ形で自らのシャンパーニュを生み出してきました。植えられているのはシャルドネのみで、グラン・クリュのシャルドネに認められるシャブリ式の剪定を採り、1ha当たり約10,000本という高い密度で仕立てています。

土壌は白亜、すなわち炭酸カルシウムを主体とする石灰質です。白亜は水を含んで蓄える性質を持つため、雨の少ない時期にもブドウ樹へ少しずつ水分を供給し、果実に均質な熟しをもたらします。この地層が、コート・デ・ブランのシャルドネに特有の張りのある酸と塩気を思わせるミネラル感を与えています。

栽培では化学農薬を使いません。害虫にはフェロモントラップで対処し、テントウムシやミツバチといった有用昆虫を呼び込む設備を畑に置くことで、生き物同士の均衡によって病害虫を抑える方針をとっています。畝の間には草を生やし、さらに創業者が本業としてきたハイドロシーディング(法面緑化)の技術を斜面の畑に応用して、土の流出を防ぎながら根に酸素を届けています。こうした取り組みはHVEとVDCという2つの環境認証にも裏づけられています。

栽培・醸造データ
品種構成シャルドネ100%
植栽密度約10,000本/ha
一番搾り収量ブドウ4,000kgあたり20.5hL
二番搾り(タイユ)500L
一次発酵18〜20℃で10〜15日間
リザーヴワイン比率キュヴェ全体の約20%
瓶内熟成期間42か月
環境認証HVE、VDC

醸造方針

ヴーヴ・ブランシュ・エステルの造りは、畑を知り尽くした人の手に委ねられています。区画を代々耕してきた地元のレコルタン・マニピュランがシェフ・ド・カーヴの役割を兼ね、栽培から醸造までを一貫して見届ける体制です。法定表示の上ではネゴシアン・ディストリビュトゥール(ND)として登録され、瓶詰めはアヴィーズに拠点を置く協同組合連合が担いますが、味わいの設計そのものは畑に根ざした人々の判断に基づいています。

収穫されたブドウは、伝統的な垂直式圧搾機コカール(Coquard)にかけられます。4,000kgのブドウから一番搾りとして得られる果汁は20.5hLで、続く二番搾り(タイユ)は500Lにとどまり、こちらは出来のよい年に一部だけを使います。搾りの段階で果汁を絞り込みすぎないことが、繊細な白い果実の輪郭を残す前提になっています。

一次発酵はステンレスタンクで行い、18〜20℃に温度を保ちながら10〜15日間かけてゆっくりと進めます。マロラクティック発酵は行わず、シャルドネ本来の鋭い酸を残す設計です。清澄も濾過に頼らず、温度を管理した環境で澱を自然に沈める方法をとっており、素材の質感を損なわない配慮が一貫しています。

アッサンブラージュには複数年のリザーヴワインを組み合わせ、キュヴェ全体の約20%を占めるまで用います。これが年ごとの出来不出来をならし、味わいに深みと骨格を与えます。瓶詰め後の二次発酵と熟成はスタンダードなキュヴェでも42か月に及び、ルミュアージュは木製のピュピトルを用いた手作業、デゴルジュマンは瓶を凍らせずに澱を吹き飛ばす伝統的なア・ラ・ヴォレで行われます。ラインナップはクラシックとセレクションの2系統で構成され、ブリュットからドサージュ・ゼロ、ロゼ、ミレジメまでを揃えています。

国際的な評価

メゾンの主要なキュヴェは、ジェームス・サックリングやワイン・スペクテーターといった国際的な評価媒体で90点台の評価を得ています。またイタリアのワインメディアIntravinoは2021年にレンジ全体を試飲し、ブリュットからドサージュ・ゼロ、ロゼ、ミレジメに至るまでいずれも90点を超える評点を与えました。

創業者夫妻の母国であるイタリアでは、2016年の見本市でのお披露目以来、着実に紹介の機会を重ねてきました。ル・メニル=シュル=オジェのセラーには迎賓と試飲のための設備を整える構想も伝えられており、畑と造り手の物語を訪れた人へ直接伝える場づくりが視野に入っています。

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