「ドゥミ・ミュイ」とは

Demi-muid / ドゥミ・ミュイ

■ ワイン全般における位置づけ 木樽での醸造・熟成といえば、ボルドー由来のバリック(容量228L前後の小樽)を思い浮かべる方が多いかもしれません。ドゥミ・ミュイはそれよりひとまわり大きく、600L前後の容量を持つ木樽です。「ミュイ」はフランスで使われてきた古い容積単位で、「ドゥミ」は「半分」を意味することから、かつての基準容量の半分というのが名前の由来です。 樽は容量が大きくなるほど、ワインの量に対して木材が触れる表面積の割合が小さくなります。つまりドゥミ・ミュイはバリックに比べてオーク由来の香りやタンニンの影響を穏やかに抑えながら、木樽ならではの緩やかな酸素透過による熟成効果は活かせるという、両者の中間的な性格を持つ容器です。オーク香を前面に出したくないが、ステンレスタンクとは違う奥行きを出したい、という造り手に選ばれる傾向があります。 ■ シャンパーニュにおけるドゥミ・ミュイ シャンパーニュでは、ベースワインの発酵や熟成に伝統的な木樽を用いる生産者が一定数存在し、その中でドゥミ・ミュイは近年とくに存在感を増している容器です。小樽のバリックほど木の風味が強く出過ぎず、大樽のフードルほど扱いにコツを要さないという中庸さが、テロワールの繊細さを表現したいヴィニュロン・アンデパンダンや、ビオディナミリュット・レゾネ的な哲学を持つ造り手に好まれる理由です。 シャンパーニュはもともとマロラクティック発酵の有無やリザーヴワインの使い方など、ステンレスタンクでの管理を前提とした近代的な醸造が主流の産地ですが、木樽由来のわずかな酸化的ニュアンスが複雑味を与えるとして、一部のキュヴェでドゥミ・ミュイ由来の原酒をアッサンブラージュに組み込む生産者も増えています。ラベルや紹介文に「樽熟成」とだけ書かれていても、実際にはこのドゥミ・ミュイが使われているケースは少なくありません。