「アンフォラ」とは
Amphore / アンフォラ
■ ワイン全般における位置づけ
アンフォラは素焼きの陶製容器で、ワイン造りの歴史そのものといえるほど古い起源を持ちます。ジョージア(グルジア)の「クヴェヴリ」やローマ時代のアンフォラがその代表格で、近年は世界的なナチュールワイン・自然派ワインの潮流のなかで改めて注目されています。陶器はわずかに空気を通す多孔質の素材であるため、木樽と同じように緩やかな酸化的熟成を促しながら、オーク由来の香りやタンニンは一切付与しません。内側に蜜蝋を塗って多孔性をコントロールする造り手もいます。
■ シャンパーニュにおけるアンフォラ
シャンパーニュは伝統的にステンレスタンクを中心とした近代的な醸造が主流の産地ですが、ビオディナミやリュット・レゾネ的な哲学を掲げる一部のヴィニュロン・アンデパンダンの間で、ベースワインの一部やリザーヴワインの熟成にアンフォラを試みる動きが見られます。とはいえ、これはまだごく一部の造り手による実験的な取り組みという位置づけで、産地全体としては主流とは言えません。
木樽ともステンレスとも異なる第三の選択肢として、テロワールの表現方法を模索する造り手の姿勢を示す象徴的な容器と捉えると理解しやすいでしょう。紹介文でアンフォラの使用に触れられている場合、その生産者が既存の枠にとらわれない仕込みに取り組んでいるサインとして読むことができます。伝統と規律を重んじるイメージの強いシャンパーニュにおいて、こうした試みは産地の多様化を示す小さな指標のひとつにもなっています。